【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(8日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる8日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア軍のさらなる進軍は困難か 米シンクタンク分析

バフムトの戦況についてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は7日、ロシア軍が市の東部を掌握した可能性が高いと指摘しながらも、長引く攻防で損失が続き、バフムト全域を掌握したとしても、さらに部隊を進めるだけの戦力は著しく限られる可能性があると分析しています。

そして仮にバフムトを掌握すれば、北西に位置するスロビャンシクやクラマトルシクといった要衝に向かう可能性があるものの、ウクライナ軍はこうした地域に続く道路で強固な防衛態勢を築いていて、ロシア軍が大きな損害を被る可能性が高いという見方を示しています。

一方、イギリス国防省は8日、ドネツク州の激戦地のひとつブフレダルでロシア軍がこの3か月間、攻撃を仕掛けながら失敗していると指摘した上で「ロシア軍の計画立案者は再びブフレダルでの攻撃を試みるか、バフムトなどでの激しい戦闘を支援するか、ジレンマに直面しているようだ」と分析しています。

ウクライナ政府 バフムトに残る子どもたちを避難へ

ウクライナ政府は激しい戦闘が続くバフムトに残る子どもたちを避難させることを閣議決定したと7日、SNSで明らかにしました。

その理由として特に危険な地域から子どもの命を守る必要があるとしていて、避難には保護者が同伴し避難を拒むことはできないとしています。

ベレシチュク副首相は地元メディアのインタビューの中で、バフムトには今も子ども38人を含む最大で4000人の市民が残っているとみられるとしていて「子どもの命を守るのは国の義務だ」と述べています。

ロシア側 バフムト東部を支配下に置いたと主張

ウクライナ東部で激戦が続くバフムトについて、戦闘員を投入しているロシアの民間軍事会社のトップは8日、バフムトの東部を支配下に置いたと主張しました。

ウクライナ側は徹底抗戦の構えを崩しておらず、攻防はいっそう激しくなっているものとみられます。

海底パイプラインガス漏れ 親ウクライナ派の攻撃か 米メディア

ロシアとドイツを結ぶ天然ガスの海底パイプラインで去年9月に起きた大規模なガス漏れについて、アメリカのメディアは、親ウクライナ派の勢力による攻撃が原因だったことを示す新たな情報があると伝えました。

これについてウクライナ政府は、関与を否定しています。

一方、ロシアのポリャンスキー国連次席大使は、自身のツイッターに「国連事務総長が主導して調査を行う安保理決議を求めてきたロシアの主張が正しいことが証明された」と投稿し、国連が主導して調査を行うべきだという考えを示しました。

“武装していないウクライナ兵射殺”の動画拡散 ウクライナ反発

武装していない捕虜とみられるウクライナ兵の男性が射殺される様子だとする動画がSNS上で拡散し、ウクライナ側は強く反発しています。

動画は、たばこを吸っている男性がウクライナ語で「ウクライナに栄光あれ」とつぶやいたあと射殺される様子を映しています。
イギリスの公共放送BBCによりますと、この動画は6日にSNS上に最初に出回ったものの、いつ、どこで撮影されたか、具体的なことはわかっていないということです。

この動画についてウクライナのゼレンスキー大統領は6日に公開した動画で「きょう『ウクライナに栄光あれ』と勇敢に言い放った兵士をロシア側が残忍に殺害する動画が出回った。われわれはこの殺人犯を見つけ出す」と述べました。
また、クレバ外相はSNSに「加害者は裁きを受けなければならない」と投稿した上でICC=国際刑事裁判所に直ちに捜査を始めるよう求めました。

動画の男性についてウクライナ軍の部隊は、ことし2月3日以降、東部バフムト周辺で行方不明になった兵士とみられるとしています。

バフムト 子ども含む市民4000人 地下などに残っているか

ウクライナのベレシチュク副首相は7日、地元メディアに対し、バフムトには今も子ども38人を含む最大で4000人の市民が地下などに残っているとみられるとして、攻撃が続く中で避難が難しい現状を明らかにしています。

バフムトめぐり激戦 ロシア攻撃の手緩めず ウクライナは徹底抗戦

ロシアのショイグ国防相は7日、国防省で行われた幹部会議で、軍事侵攻を続けるウクライナの前線の戦況について東部ドネツク州とハルキウ州の5つの集落を掌握したと発表しました。

また、ロシアが攻撃を強め激しい戦闘が続くウクライナ側の拠点のひとつバフムトについて「ここはドンバス地域におけるウクライナ軍の重要な防衛拠点だ」と述べた上で「ここを掌握すれば、さらに奥深くまで攻め入ることができる」として攻撃の手を緩めない姿勢を強調しました。

さらに欧米側によるウクライナへの軍事支援や訓練を批判し「ウクライナへのNATO=北大西洋条約機構の支援は、戦場でのウクライナの成功にはつながっていない」として、強気な姿勢を示しました。

一方、ウクライナ側はバフムトについて、ゼレンスキー大統領が6日、撤退しない方針を表明するなど抗戦していく構えを改めて示しています。

ベラルーシの基地爆発 ウクライナ「関与したとの当てつけ拒否」

先月、ベラルーシの首都ミンスク近郊のマチュリシチ空軍基地で起こった爆発について、ルカシェンコ大統領がウクライナの情報機関と協力する人物などを拘束したと明らかにしたことを受けて、ウクライナ外務省は7日、声明を発表しました。

この中では「ウクライナが空軍基地での出来事に関与したというルカシェンコ大統領の当てつけを断固として拒否する」としてウクライナ側の関与を否定しました。

その上で「ウクライナに対する偽りの脅威を作り出す試みであることは明らかだ」としてベラルーシ側を非難しています。

国連グテーレス事務総長がウクライナ訪問へ

国連は、グテーレス事務総長がポーランド経由でウクライナの首都キーウを訪問し、8日ゼレンスキー大統領と会談すると発表しました。グテーレス事務総長は、すでにポーランドに入っているということです。
国連の報道官はゼレンスキー大統領との会談では3月18日に期限となる、ウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意の継続などについて話し合うとしています。

ベラルーシ大統領 “ウクライナ情報機関と協力する人物拘束”

ロシアと同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領は7日、ベラルーシの飛行場でA50早期警戒管制機を破壊しようとしたとして、ウクライナの情報機関と協力する人物などを拘束したと明らかにしました。

ベラルーシでは先月、反体制派の団体が、首都ミンスク近郊のマチュリシチ空軍基地で爆発があり、ロシア軍のA50早期警戒管制機が損傷したと明らかにするとともにロシア軍の駐留に反対するベラルーシ人が関与したという見方を示していました。

ベラルーシの国営通信によりますと、ルカシェンコ大統領は7日ミンスクの独立宮殿で開かれた式典でこれに触れました。

それによりますとベラルーシ当局はウクライナとロシアの国籍を持つ人物とその協力者など20人以上を拘束し、ルカシェンコ大統領はアメリカのCIA=中央情報局やウクライナの情報機関が背後で支援していたという認識を示したということです。

また、無人機による破壊を試みたが、機体には大きな損傷はなかったと述べたということです。
そのうえでルカシェンコ大統領は「ウクライナがアメリカの命令でベラルーシを戦争に引きずりこもうと考えているのであれば間違いだ」として、参戦するつもりはないと強調したとしています。