南海トラフ巨大地震可能性「特段の変化観測されず」評価検討会

南海トラフで巨大地震が起こる可能性を評価する定例の検討会が開かれ、「特段の変化は観測されていない」とする見解をまとめました。

専門家でつくる検討会は、南海トラフの想定震源域やその周辺で観測されたデータを分析しました。

巨大地震の想定震源域にあたる地域では先月以降、目立った地震活動はありませんでした。

一方、想定震源域やその周辺では、「深部低周波地震」と呼ばれる小規模な地震が、四国西部で先月14日から19日にかけて観測されています。

これに伴って、周辺の複数の「ひずみ計」でわずかな地殻変動が観測され、想定震源域のプレートの境目が深いところでゆっくりとずれ動く「短期的ゆっくりすべり」が原因とみられるということです。

また、四国の中部では、2019年の春ごろからそれまでの傾向と異なる地殻変動が継続的に観測され、プレートの境目が年単位でゆっくりとずれ動く「長期的ゆっくりすべり」が原因とみられています。

こうした現象はこれまでもたびたび観測されていることから、検討会は「大規模な地震の発生の可能性がふだんと比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない」とする見解をまとめました。

検討会の会長で、東京大学の平田直名誉教授は「フィリピン海プレートが日本の下に沈み込み、力が蓄積されていることを示すデータの観測が続いている。昭和の東南海地震からすでに80年近くたち、南海トラフで大きな地震が起きることが不思議ではない状態は変わっていないので、いつ地震が起きてもいいように備えてほしい」と述べました。