総務省は、放送法が定める「政治的公平」の解釈をめぐる行政文書78枚を、7日、ホームページで公表しました。
公表された文書は、「取扱厳重注意」などと記されたものも含まれ、放送法が定める「政治的公平」の解釈をめぐり、総務省の幹部と当時の礒崎総理大臣補佐官や高市総務大臣とのやりとりとするメモなどが記されています。
総務省は「すでに立憲民主党が同じ内容の文書を公開していることを踏まえ、黒塗りなどはせず、すべて公表することとした」としています。
総務相「行政文書と確認」放送法“政治的公平”めぐる文書
放送法が定める「政治的公平」の解釈をめぐり、立憲民主党が公表した文書について、松本総務大臣は、総務省が作成した行政文書であることを認めました。一方、文書の中身については、正確かどうか確認できない部分もあるとして、精査を続ける考えを示しました。
立憲民主党は、放送法が定める「政治的公平」の解釈をめぐる総務省の内部文書を入手したとして、当時の安倍政権の圧力で法解釈が変更されたことが示されていると指摘しています。
これについて松本総務大臣は、閣議の後の記者会見で「総務省に保存されている文書と同一で、すべて総務省の行政文書であることが確認できた」と述べ、行政文書であることを認めました。
一方、文書の中身については、「関係者の認識が異なって正確性が確認できないものがあり、引き続き精査、確認を進めているが、8年が経過しており、いろいろな課題がある」と述べ、精査を続ける考えを示しました。
また、作成者については、確認できたものとできなかったものがあるものの、前後の資料などから行政文書と判断したとしています。
その上で「当時の礒崎総理大臣補佐官から『政治的公平』の解釈に関する問い合わせがあり、総務省の本来の業務の一環として適切に対応した。放送行政に変更があったとは認識していない」と述べ、法解釈は変更していないと重ねて説明しました。
総務省 行政文書78枚を公表
高市経済安保相「私に関して書かれた4枚はねつ造と認識」

高市経済安全保障担当大臣は、記者会見で「私に関しての部分は4枚だが、作成者が書いていないし、日時が特定できていない。同席していたとされる方々にも確認し、認識は一緒だった。私と安倍元総理が電話をしたという内容が書かれていたが、していないし、そのような話もしていない。できる範囲のことは調べ、内容が不正確だと確信を持っている」と述べました。
その上で、みずからに関わる文書は、いまもねつ造だという認識を持っているか記者団に問われ「ありもしないことを、あったかのように書くのはねつ造だ。私に関して書かれた4枚はそう認識している」と述べました。
また、文書がねつ造でなければ、大臣や議員を辞職する考えかどうかについては「私に対して大臣や議員の辞職を迫るのであれば、相手も4枚の文書が完全に正確なものだと立証しなければならないのではないか」と述べました。
その上で、みずからに関わる文書は、いまもねつ造だという認識を持っているか記者団に問われ「ありもしないことを、あったかのように書くのはねつ造だ。私に関して書かれた4枚はそう認識している」と述べました。
また、文書がねつ造でなければ、大臣や議員を辞職する考えかどうかについては「私に対して大臣や議員の辞職を迫るのであれば、相手も4枚の文書が完全に正確なものだと立証しなければならないのではないか」と述べました。
立民 安住国対委員長「高市大臣は責任とるべき」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「総務省が責任を持って文書を作っているので、書かれていることは事実だと認定したい。『安倍政治』の負の遺産のひとつが報道介入で、それを端的に示した例であり、自分たちの意に沿わない番組に『放送法の解釈を変えて潰せるぞ』と圧力をかけることは、民主主義社会の中で一番あってはならないことだ」と述べました。
その上で「高市経済安全保障担当大臣は『ねつ造だ』と言い張り、議員辞職まで言及している。事実とわかった以上、責任をとるべきだ」と述べました。
その上で「高市経済安全保障担当大臣は『ねつ造だ』と言い張り、議員辞職まで言及している。事実とわかった以上、責任をとるべきだ」と述べました。
立民 小西参院議員「大臣と議員を辞職すべき」

立憲民主党の小西洋之参議院議員は、みずからのツイッターに「総務大臣が、私が公表した内部文書のすべてが総務省に存在し、行政文書であることを認めた。岸田総理大臣は、放送法解釈の改変プロセスの不正と内容の違法性を認め、解釈を撤回する必要がある」と投稿しました。
そのうえで「行政文書を『ねつ造』と国会で批判した高市大臣は、当時の事実関係の説明責任を果たした上で、速やかに大臣と議員を辞職すべきだ」とコメントしています。
また「行政文書と認めた文書の正確性などを精査するのであれば、総務行政の否定にひとしく、これ以上の国会審議の妨害は許されない」と批判しています。
そのうえで「行政文書を『ねつ造』と国会で批判した高市大臣は、当時の事実関係の説明責任を果たした上で、速やかに大臣と議員を辞職すべきだ」とコメントしています。
また「行政文書と認めた文書の正確性などを精査するのであれば、総務行政の否定にひとしく、これ以上の国会審議の妨害は許されない」と批判しています。
松野官房長官「内容について 総務省で引き続き精査」

松野官房長官は、閣議のあとの記者会見で「総務省で、総務省の行政文書であることを確認し、本日中に公表する予定と聞いている。一方で、文書に記載されている内容については、総務省で引き続き精査を行っている」と述べました。
また「放送法の解釈については、所管する総務省で責任を持って整理し、従来の解釈を変更することなく、補充的な説明を行ったものと承知している」と述べました。
午後の記者会見で、行政文書が不正確であれば、行政そのものに対する信頼が揺らぐのではないかと問われたのに対し「文書の正確性確保は、各行政機関が責任を持って適切に行うべきもので、まずは総務省が説明すべきだ」と述べました。
また「放送法の解釈については、所管する総務省で責任を持って整理し、従来の解釈を変更することなく、補充的な説明を行ったものと承知している」と述べました。
午後の記者会見で、行政文書が不正確であれば、行政そのものに対する信頼が揺らぐのではないかと問われたのに対し「文書の正確性確保は、各行政機関が責任を持って適切に行うべきもので、まずは総務省が説明すべきだ」と述べました。
自民 藤川氏「高市大臣は速やかに対応を」
参議院予算委員会の与党側の筆頭理事を務める自民党の藤川政人氏は、記者団に対し「高市大臣にはみずからの発言に対し、しっかり対応するよう伝えている。内閣府の特命担当大臣としての任務もあるが、速やかに対応してもらいたい」と述べました。
立民 石橋氏「行政記録の否定は極めて深刻」
参議院予算委員会の野党側の筆頭理事を務める立憲民主党の石橋通宏氏は、記者団に対し「高市大臣が、みずからが総務大臣の時代に官僚が残していた行政の正しい記録を否定するのは極めて深刻だ。『ねつ造』と言い続けるのであれば、いかなる根拠なのか自身が証明すべきで、責任転嫁も甚だしい」と述べました。
公明 山口代表「今後もよく見ていく必要がある」

公明党の山口代表は、記者会見で「文書が作られた経緯や明るみに出た経過、それに内容をしっかり精査する必要がある。政府側は、放送法のこれまでの解釈を変えるものではないと説明しているが、今後も趣旨が維持されるのかよく見ていく必要がある」と述べました
共産 小池書記局長「明らかな解釈の変更だ」

共産党の小池書記局長は、記者団に対し「安倍政権時代の闇がまたひとつ暴かれた。『法解釈を変えよ』と迫る生々しい記載で、補充的な説明ではなく、明らかな解釈の変更だ。当時の礒崎総理大臣補佐官の証人喚問を求める。高市大臣はみずからの答弁に責任を持って大臣や議員を辞職すべきだ」と述べました。
国民 玉木代表「認めるのが遅かった」

国民民主党の玉木代表は、記者会見で「行政文書だと認めるのが遅かった。大事なことは、放送事業者に対して萎縮効果が出ないよう、岸田政権として明確にすることであり、今回のことを契機に整理して、国民や国会に説明してもらいたい」と述べました。
与党 参院予算委の理事会で報告
参議院予算委員会の理事会で、与党側は立憲民主党が公表した文書は、総務省の行政文書であると確認されたと報告しました。
これに対して立憲民主党は「行政文書と認める以上は、正確かどうかも判断しているはずだ」などと指摘し、引き続き、説明を求めていく考えを示しました。
これに対して立憲民主党は「行政文書と認める以上は、正確かどうかも判断しているはずだ」などと指摘し、引き続き、説明を求めていく考えを示しました。