将棋「棋王戦」第3局 渡辺二冠が藤井五冠を破り1勝返す

将棋の八大タイトルの1つ、「棋王戦」の第3局が新潟市で行われました。
史上最年少での「六冠」達成がかかる藤井聡太五冠(20)と、「棋王戦」11連覇を目指す渡辺明二冠(38)の対局は両者とも持ち時間をほぼ使い切る熱戦の末、渡辺二冠が勝利し、タイトル防衛に望みをつなぎました。

「棋王戦」五番勝負は、ここまで藤井五冠が2連勝し、タイトル獲得に王手をかけていて第3局は5日新潟市のホテルで行われました。

対局は序盤、テンポよく進み、先手の藤井五冠が積極的に攻め、後手の渡辺二冠が受ける展開となりました。その後は一転、互いに長考を挟みながら攻め合いとなり、終盤にかけて、渡辺二冠が攻勢に転じ、自陣の外に出た「相手玉」に攻めかかります。

そして両者ともに持ち時間をほぼ使い切り、1手を60秒未満で指す「1分将棋」に突入。

何度も攻守が入れ代わる熱戦の末、午後8時13分、藤井五冠が174手までで投了。

渡辺二冠が1勝を返してタイトル防衛に望みをつなぎました。
一方、藤井五冠は今年度(2022)1度しか負けていない先手での対局でしたが、黒星を喫しました。

藤井五冠は、竜王、王位、叡王、王将、棋聖の5つのタイトルを持っていて、五冠を維持し、今回の「棋王戦」を制すると、羽生善治九段(52)以来、史上2人目の「六冠」達成となり最年少記録も29年ぶりに更新します。

一方、渡辺二冠は、10年前に初めて「棋王戦」を制して以降、タイトル防衛を続けていて、今回11連覇がかかります。

「棋王戦」五番勝負の第4局は今月19日栃木県日光市で行われます。

渡辺二冠「次も目の前の1局に取り組む」

対局後、勝った渡辺二冠は「中盤でバランスを取れたのはよかったが、終盤で差を詰められて追い込まれてしまったので、負けになってでも、という感じで指していた。1勝返すことができたので、また次も目の前の1局に取り組むという気持ちで臨んでいきたい」と話していました。

藤井五冠「次の対局は切り替えて」

一方、敗れた藤井五冠は「終盤はずっと苦しいと思って指していた。最後に一瞬、チャンスがあって、少し残念ではあるが、全体的には負けの局面が続いていたと思うのでしかたないという感じだ。次の対局は切り替えていい状態で臨みたい」と話していました。

藤井五冠の地元 愛知 瀬戸ではファンから残念がる声

将棋の藤井聡太五冠が「六冠」をかけて臨んだ5日の「棋王戦」。

地元の愛知県瀬戸市ではファンが集まって藤井五冠の勝負の行方を見守りました。

藤井五冠の地元、愛知県瀬戸市の文化センターでは、対局をリアルタイムで解説する「大盤解説」の会場が設けられ、地元のファンが解説を聞きながら棋王戦の対局を見守りました。

午後8時すぎに藤井五冠の敗戦が決まると、会場に集まった人たちからは残念がる声が聞かれましたが、勝負を終えた藤井五冠に拍手が送られていました。

地元の60代の女性は「途中までは逆転で勝つと思っていましたが、残念な結果になってしまいました。最後までよく粘ってくれましたし、気持ちを切り替えて次の対戦を頑張ってほしい」と話していました。

また、60代の男性は「負けましたがタイトルを失ったわけではなく、聡太くんが強くなる道の1つだと思うので、くじけずに明るい笑顔を見せてほしい」と話していました。