【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(4日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる4日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ軍 バフムトの防衛強化 中心部への橋を破壊

激戦となっている、ウクライナ東部ドネツク州のウクライナ側の拠点バフムトについて、イギリス国防省は4日、「ウクライナ側の防衛はいっそう深刻な圧力にさらされ、市内や周辺で激しい戦闘が続いている。ロシア軍と民間軍事会社ワグネルの部隊が市の北部郊外に向かってさらに前進している」と指摘しました。

これに対して、ウクライナ側は精鋭部隊を配置して防衛を強化し、過去36時間の間に、バフムト中心部につながる2つの重要な橋を破壊したということです。

このうちの1つは、バフムトと、西側に10キロ余り離れた街、チャシウヤルを結ぶ橋で、主要な補給路だったとイギリス国防省は指摘しています。

またアメリカのシンクタンク「戦争研究所」も3日「ウクライナ軍がバフムトの北東部と西部で、橋を破壊している映像がある」と指摘し、ウクライナ軍が橋を破壊してロシア側の進軍を止め、一部のウクライナ側の部隊を戦略的に撤退させることも視野に入れているという見方を示しています。

ワグネル「バフムトを包囲した」ウクライナは徹底抗戦の構え

ロシア側は、ウクライナ東部ドネツク州の掌握に向けて、ウクライナ側の拠点バフムトへの攻撃を強めていて、ロシアの民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏は3日、SNSで「ワグネルの部隊はバフムトを実質的に包囲した。残された道路は1つだけだ」と強調し、ウクライナのゼレンスキー大統領に部隊を撤退させるよう促しました。

これに対しゼレンスキー大統領は3日、公開した動画で「いま、敵を撃退することが今後数か月の防衛作戦を成功させるための条件だ。粘り強く勇敢に任務を遂行し、バフムトを守っている部隊の一人一人に感謝する」と強調し、徹底抗戦を続ける構えを改めて示しました。

ロシア ショイグ国防相 東部ドネツクを視察か

ロシア国防省は4日、ショイグ国防相がウクライナ東部ドネツク州に入り、州の南側に設置された、指揮所の一つを訪れたとする映像を公開しました。

ショイグ国防相は、前線の司令官から戦況の報告を受けるとともに、兵士たちに勲章を渡し「あなたがたは、尊厳をもって戦っている。これからも国のために尽くしてほしい」と鼓舞しました。

南部ザポリージャ州 ミサイル攻撃で集合住宅破壊 10人死亡

ウクライナ南部のザポリージャ州では、今月2日に行われたロシア軍のミサイル攻撃によって5階建ての集合住宅が破壊されました。

捜索活動の結果、新たに死者が確認され、ウクライナ当局はこれまでに子ども1人を含む10人が死亡したと、4日明らかにしました。

ロシア軍が、ウクライナの東部に加え南部でも侵攻を続けているのに対し、ウクライナ側はこの春、大規模な反転攻勢に乗り出す構えをみせています。

その一環としてウクライナ側は、9年前、ロシアに一方的に併合された南部クリミアと、ロシア本土を分断する目標を明らかにしており、ロシア側に占領されている南部の各地でも、領土奪還を目指し、反撃を強める可能性があるとみられています。

米国防総省 戦車が川を渡れるよう移動式の架橋装備供与へ

アメリカ国防総省は3日、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナに対し、最大4億ドル、日本円にしておよそ540億円相当の新たな軍事支援を行うと発表しました。新たな支援では、戦車などが川をわたれるよう、橋をかけるための移動式の装備を供与するということです。欧米各国が供与する戦車や装甲車がウクライナ国内で迅速に展開できるようにするのが狙いです。

また、高機動ロケット砲システム=ハイマースに使われる追加の砲弾を供与することも決め、アメリカ国防総省は「同盟国などと協力してウクライナに重要な戦力を提供し続ける」としています。

米独首脳が会談 ウクライナへの支援継続方針確認か

アメリカのバイデン大統領は3日、首都ワシントンを訪問しているドイツのショルツ首相とおよそ1時間会談しました。

冒頭、バイデン大統領はドイツが自国製の戦車「レオパルト2」のウクライナへの供与を決めるなど軍事支援を強化していることに謝意を示しました。その上で「NATO=北大西洋条約機構の同盟はより強固になり、その能力も高まっている」と述べ、NATO加盟国が結束して対応する必要性を強調しました。

これに対しショルツ首相は「歩調を合わせてウクライナが必要な支援を届けることが大切だ。必要な限り支援を続けるというメッセージを送ることもとても重要だ」と応じ、会談で両首脳は、ウクライナに対して継続して支援を行う方針を確認したとみられます。

また、アメリカが中国に対しロシアへの軍事支援を行わないよう繰り返しけん制する中、ウクライナ情勢を巡り幅広く意見を交わしたとみられます。

ゼレンスキー大統領 ロシア軍による人権侵害の責任追及求める

ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、西部の都市リビウでアメリカやヨーロッパの法務当局のトップらを招いた会合に出席し、ロシアの戦争犯罪を追及していくためいっそうの協力を求めました。

会合には、アメリカのガーランド司法長官のほか、イギリス、スペイン、それにEU=ヨーロッパ連合などの法務当局のトップやICC=国際刑事裁判所のカーン主任検察官らが出席しました。

このなかでゼレンスキー大統領は「すべての罪が法に基づいて裁かれることこそ真の正義だ」と述べ、ロシア軍による虐殺や人権侵害の責任を追及していく決意を示し、各国にいっそうの協力を求めました。

ICCもウクライナ国内に現地事務所を開設して捜査態勢を強化することになっています。

ロシアの独立系の世論調査機関「プーチン氏支持率83%」

ロシアの独立系の世論調査機関「レバダセンター」は、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めてから1年となった先月ロシア国内で行った調査結果を発表しました。

「レバダセンター」は、毎月下旬にロシア国内の1600人余りを対象に対面形式で調査を行っています。

それによりますと、先月の調査で「プーチン大統領の活動を支持する」と答えた人の割合は83%で、前の月の結果を1ポイント上回り、侵攻開始後では去年3月などと同じ水準で最も高くなりました。

プーチン大統領の支持率は、去年9月に予備役の動員を発表した直後には、一時、8割を切りましたが徐々に上昇したことになります。

またロシアが「特別軍事作戦」とするウクライナへの軍事侵攻について「支持する」と答えた人は77%、「支持しない」と回答した人は17%となりました。「支持する」と答えた人の割合は、前回の調査より2ポイント高く、軍事侵攻を支持する人の割合も増加する傾向にあることがうかがえます。

一方、18歳から24歳の若者では57%となっていて、若い人ほど支持する人の割合は少なくなっています。また「特別軍事作戦」が「うまくいっている」と答えた人は63%で、こちらも去年秋の調査よりも増えています。

一方、今後については「軍事行動の継続」と答えた人は43%、「和平交渉の開始」は50%で軍事侵攻の開始から1年が経過したなかで外交による解決を望む人が多いこともうかがえます。

「レバダセンター」は、政権から「外国のスパイ」を意味する「外国の代理人」に指定され、圧力を受けながらも、独自の世論調査活動や分析を続けています。

戦地に支援物資届ける男性「ロシアは執ように攻撃」

ウクライナの戦地に支援物資を届ける活動をしている男性がNHKの取材に答え、東部の激戦地バフムトについてロシア側が一日中、執ように攻撃を繰り返し厳しい状況になっていると説明しました。

この男性は、現在は首都キーウに住み、かつては日本に20年以上暮らした経験があるというコンスタンティン・トカチョフさん(53)です。

戦地に支援物資を届ける活動をしているトカチョフさんは、3日、日本全国から送られた物資が保管されているキーウ市内の倉庫を訪れ、日本製の使い捨てカイロおよそ7000個を車に積み込んでいました。

トカチョフさんは、東部の激戦地バフムトで戦っている友人などから現地の状況を頻繁に聞いているということで「連日、激しい戦闘が行われていて、兵士たちは寝ずに戦っている」とNHKの取材に対して日本語で話しました。

また、ロシア側は、十分に訓練を受けていない受刑者などを正面に立たせてあえて攻撃を受けさせることでウクライナ軍の部隊の居場所を把握し、熟練の戦闘員が側面から攻撃を繰り返しているということです。

トカチョフさんは「自分たちの兵士の命をゴミのように思っているみたいで、信じられない」と話していました。

トカチョフさんによりますと、バフムト周辺には少ないながらも高齢の市民などがいまもとどまっているということで「まだ寒い日が続くので、使い捨てカイロは本当にありがたい。なるべく早く支援品をバフムトに届けたい」と話していました。

ウクライナ避難者が復興支援を呼びかけ

ウクライナから東京・江戸川区に避難している19歳の女性が講演し、侵攻が終わったあともウクライナが復興できるように支援してほしいと呼びかけました。

講演をしたのはウクライナ北部から江戸川区に避難しているアナスタシア・ヴィコヴァさん(19)です。アナスタシアさんはことしで侵攻が終わることを願っていることや侵攻が終わったあとウクライナの復興を支えるボランティアが必要になると話しました。

また、戦争が始まる前からアナスタシアさんと交流があるロシア出身のサルザナさんが「戦争がおきないために私たちは団結しないといけない。愛する力や共感力を育てて新しい社会をつくることが重要だ。日本人から助け合いを学んでいきたい」と呼びかけました。