日本精神科病院協会 患者暴行事件を謝罪 病院に聞き取り調査

東京 八王子市の精神科病院で入院患者に対する暴行の疑いで看護師が逮捕されたことを受け、全国の精神科病院が加盟する「日本精神科病院協会」は3日、記者会見を開き、事件について謝罪するとともに病院から聞き取り調査を行ったことを明らかにしました。

東京 八王子市にある精神科の病院「滝山病院」は、看護師ら4人が患者に暴行を加えた疑いがあるとして警視庁の捜索を受け、このうち50代の看護師が入院患者の頭を殴ったとして暴行の疑いで逮捕されました。

事件を受け、全国1185の精神科病院が加盟する「日本精神科病院協会」は3日、厚生労働省で記者会見を開き、山崎學会長が「会員病院でこのような事件が発生したことはざんきに堪えません。深く陳謝申し上げます」と謝罪しました。

そのうえで1日、滝山病院に赴き、協会として弁護士らとともに院長などへの聞き取り調査を行ったことを明らかにしました。

調査に対し院長は「人権侵害がないように運営してきたつもりで寝耳に水だった。自分としては一生懸命やっていたので驚いている」と述べ、暴行の事実は把握していなかったと答えたということです。

そして死亡退院率がほかの病院に比べて高いことについて院長は「透析など合併症が重症な人が多く入院しているからだ」と説明したということです。

そして、山崎会長は事件の背景について非常勤の職員がおよそ9割にのぼることを指摘し、職員に対して人権についての研修などが行き渡らなかったのではないかと述べました。

また「精神症状のある透析の患者を受け入れる病院は少なく、福祉事務所も滝山病院を選ばざるを得なかったのではないか」とした上で「先進国の中でも民間病院が困難な患者を受け入れている国は少なく、本来は公的病院が担うべきだ。精神科は診療報酬も少なく、適切な評価をしなければこうした問題が繰り返されてしまう」と訴えました。

協会は「精神科病院は閉鎖的なイメージが強く、努力して開かれた病院を目指したい」として、滝山病院に対して運営が改善されるまで協会から自主的な退会を促すとともに、会員病院への研修などを行う考えを示しました。