離島の奪還を想定した日米共同訓練 初めて日本で実施 鹿児島

離島の防衛を想定した陸上自衛隊とアメリカ海兵隊の共同訓練が3日、鹿児島県で行われ、一部が公開されました。

この共同訓練は陸上自衛隊と、沖縄に駐留するアメリカ海兵隊など合わせて1700人が参加して、先月16日から九州・沖縄で行われていて、3日は鹿児島県で訓練の一部が公開されました。

侵攻された離島を日米が共同で奪還するという想定で行われ、このうち徳之島では、沖合に停泊した艦艇から日米の隊員合わせて200人余りがボートや水陸両用車を使って、次々と海岸に上陸したあと、小銃を手に周囲を警戒していました。
また、喜界島では上空を飛行する輸送機から、自衛隊員およそ100人がパラシュートで地上に降下する訓練が行われました。

離島の防衛態勢を強化するため2006年に始まったこの共同訓練は、これまではいずれもアメリカで実施されていましたが、南西諸島周辺などで中国軍の活動が活発化するなか、今回、初めて日本で行われています。

訓練のあと記者会見した陸上自衛隊水陸機動団の梨木信吾団長は「九州・沖縄は島しょ部が多く、この地域での訓練はより運用に直結した内容となる。共同訓練などをしっかり行っていくことが、わが国や周辺地域の安定に寄与していくと思う」と述べました。

また、アメリカ海兵隊第3海兵遠征旅団のフリデリクソン司令官は「日本のさまざまな施設で、この訓練を実施する自衛隊の意向を歓迎する。今後もパートナーとともに、成長し続ける機会を楽しみにしている」と述べました。

共同訓練は今月12日までで、今後は沖縄県で着上陸訓練などが行われる予定です。

訓練地の徳之島 住民の声は

徳之島で行われた訓練を見にきた80代の女性は「アメリカ軍が来るのは怖いです。家が海の近くなので、何かあれば一番先に狙われると思います」と話していました。

また、60代の男性は「今の国際情勢を考えると抑止力も必要だと思うが、ウクライナのように何かあったらここは戦場になるし、複雑な気持ちです」と話していました。

訓練地の喜界島 住民の反応は

喜界島では大勢の地元の人たちが訓練の様子を見ていました。

このうち20代の女性は「訓練が行われることに不安もありますが、いざというときには守ってもらえるのかなと思います」と話していました。

60代の男性は「訓練をアメリカ軍と一緒にやると聞いて驚きました。喜界島を戦場にしないでほしいと思います」と話していました。

現場近くでは、市民団体が横断幕やプラカードなどを掲げて、訓練に反対する姿が見られました。

元陸自幹部「地域平和と安定につなげようという趣旨あるのでは」

今回の訓練について、陸上自衛隊で東部方面総監などを務めた磯部晃一さんは「陸上自衛隊はアメリカにある教育施設で基礎的な訓練を受けて、実践的な訓練を段階的に進めてきたが、日本防衛の直接のカウンターパートである沖縄の海兵隊と訓練する方がより効果的であるということで日本で行うようになったと思う。訓練は特定の国を想定していないと思うが、中国との関係において自衛隊とアメリカ軍がしっかりとタッグを組んで訓練している姿を見せることによって、この地域の平和と安定につなげようという趣旨があるのではないか」と指摘しています。

その上で「アメリカ海兵隊は日本の本州から南西諸島、台湾、フィリピンにいたる『第1列島線』をしっかり守るということに非常に強く関心を示している。自衛隊と一緒になって訓練を積み重ねることが、やはり地域の安定につながっていく」と話しています。