文科省 教員の不適切指導による児童生徒の自殺 初の実態把握へ

教員による不適切な指導によって児童や生徒が自殺に追い込まれる、いわゆる「指導死」について、文部科学省が初めて実態の把握に乗り出すことがわかりました。
自殺した生徒の遺族は、「教師の不適切な指導の防止につながる『大きな一歩』だ」と評価しています。

文部科学省は毎年、児童や生徒の自殺の件数や当時の状況などについて、全国の教育委員会を通じて調査していますが、教職員による不適切な指導があったかどうかを回答する項目はありませんでした。

これについて、自殺した児童や生徒の遺族らは、教職員の不適切な指導によって自殺に追い込まれることを「指導死」と呼び、実態の解明を求める活動をしてきました。

こうした中、文部科学省は今年度分の調査から、自殺した児童や生徒の状況の選択肢に「教職員による体罰、不適切指導」という項目を新たに設け、初めて実態の把握に乗り出すことがわかりました。

11年前、岡山市の県立高校で野球部の監督だった教諭からの叱責と体罰を受けて自殺した男子生徒の遺族は、「息子の死後10年以上もかかりましたが、“指導死”の実態が的確に反映され、可視化されることは、教師の不適切な指導の防止につながる『戻ることのない大きな一歩』だと感じています」と評価しました。

そのうえで、学校側が回答内容を国などに報告する前に遺族に確認することや、調査結果の詳細を開示することなどの改善も求めています。