【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(2日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる2日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア外相 G20で欧米側の制裁を非難

ロシア国営メディアによりますと、ロシアのラブロフ外相はインドで開かれているG20=主要20か国の外相会合の全体討議で「違法な制裁や世界貿易の自由への侵害などの試みをとめる必要がある」と主張して、ウクライナへの軍事侵攻をめぐってロシアに科された欧米側の制裁を非難しました。

また去年、ウクライナ産の農産物の輸出をめぐって国連とトルコの仲介で実現したロシアとウクライナによる合意について「ウクライナの穀物の大部分は、貧しい国ではなく、低い価格でヨーロッパに運ばれている」などと主張し、合意の履行が不十分だとして欧米側を非難しました。

この合意は今月18日に期限を迎えますが、ラブロフ外相は1日も、トルコのチャウシュオール外相との会談で合意の延長について「ロシア側の生産者の利益が考慮される場合にかぎり、可能になる」と主張していました。

ロシア側は、合意の延長に同意しない可能性も示唆していて欧米側やウクライナ側をけん制するねらいもあるとみられます。

中国外相 G20で対話と停戦呼びかける立場を改めて主張

G20=主要20か国の外相会合に就任以来初めて参加した中国の秦剛外相は2日の全体討議で、ウクライナ情勢をめぐって対話と停戦を呼びかける中国の立場を改めて主張しました。

中国外務省によりますと、秦外相は、中国が先月24日に発表した「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」と題した文書に触れたうえで、「中国は一貫して平和の側に立ち、和平交渉を促す」と述べ、建設的な役割を果たしたいと強調したということです。

ザポリージャ州 集合住宅にミサイル攻撃 3人死亡

ウクライナ当局によりますと、南部のザポリージャ州では2日、集合住宅がミサイル攻撃を受け、これまでに3人が死亡し、6人がケガをしたということです。

ロイター通信が配信した現地の映像では、集合住宅と見られる建物が大きく壊れてがれきが散乱し、救出された人が担架に乗せられて運ばれている様子が確認できます。

住民の男性の救出にあたった人は「被害者は当時ソファーで寝ていたが、攻撃によってコンクリートの板に挟まれた。およそ3時間かけて無事に救出することができた」と話していました。

また、住民の女性は「私たちは着の身着のままで逃げた。がれきの下から人が叫んでいるのが聞こえた」と話していました。

イギリス国防省“ブフレダルでロシア軍の装甲車の多く破壊”

戦況を分析しているイギリス国防省は、ブフレダルでロシア軍の精鋭部隊に所属する多くの装甲車が破壊されたのを衛星写真で確認したとしていて、ロシア軍の部隊に多くの損失が出ている可能性があります。

イギリス国防省は、今後、気温が上昇して雪どけがすすめば土壌がぬかるみ部隊の移動が制限されるようになり、特にバフムトの攻防戦では、装甲車の移動が妨げられると分析していて、春になって東部の地上戦が、こう着する可能性を指摘しています。

“ロシア軍 130両の戦車や装甲車を失ったか” 米有力紙

ドネツク州の激戦地の1つ、ブフレダルについてアメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは1日ウクライナ軍の話として、ロシア軍が過去3週間の戦闘で、少なくとも130両の戦車や装甲車を失ったとみられると伝えました。

ゼレンスキー大統領 “冬は終わった 次の季節に向け準備も”

ウクライナのゼレンスキー大統領は1日に動画を公開し、「冬は終わった。非常に困難だったが、ウクライナにエネルギーを供給することができた」と述べ、冬の侵攻を耐え抜いたと強調しました。

そのうえで、「次の季節に向けてエネルギーシステムの準備も始めている」として、戦闘の長期化も見据えて、エネルギーなどインフラの確保に力を入れていく考えを示しました。

G20外相会合 全体討議開始へ ウクライナ情勢など議題の見込み

インドで開かれているG20=主要20か国の外相会合は、2日午後、全体討議が始まります。
ウクライナ情勢が主要な議題となる見込みでアメリカやロシア、それに中国など各国の主張が対立する中、激しい議論が行われるとみられます。

G20の外相会合は1日夜、インドの首都ニューデリーで開幕し、日本時間の2日午後0時半から全体討議が始まります。

会合には、アメリカのブリンケン国務長官やロシアのラブロフ外相、それに中国の秦剛外相らが出席し、ウクライナ情勢を主要な議題に世界的なエネルギーや食料価格の高騰などについて意見が交わされる見込みです。
2日は全体討議に加えて、2国間の会談も行われますが、アメリカが中国に対し、ロシアへの軍事支援を行わないよう求める中、ブリンケン長官はこれまでのところ秦外相と会談する予定はないとしています。

一方、ラブロフ外相は2月28日、一足早くニューデリーに入りました。

1日には、議長国インドやロシアとウクライナの仲介役を積極的に務めてきたトルコの外相と相次いで会談を行い、欧米側をけん制しました。

ロシアによる軍事侵攻が始まって1年がたちましたが、ウクライナ情勢をめぐって各国の主張が対立する中、激しい議論が行われるとみられます。

ウクライナ側 “冬の侵攻に耐え抜いた” 反転攻勢 強める姿勢

ウクライナのクレバ外相は1日、ツイッターに「3月1日、プーチンは新たな大敗を喫した。寒さや暗闇、ミサイル攻撃にもかかわらず、ウクライナは耐えて冬の恐怖を打ち破った。ウクライナを支持してくれたパートナーに感謝する」などと投稿し、冬の間、ロシア軍が各地で行った電力施設に対する攻撃に耐え抜いたことを強調するとともに、各国の支援に謝意を示しました。

またレズニコフ国防相も「ロシアは、われわれを凍らせ、暗闇に放り込もうとしたが、われわれは生き残った。きょうが春の始まりだ。ウクライナは勝つ」などと投稿し、反転攻勢を強める姿勢を打ち出しました。

ロシア国防省報道官「ウクライナがクリミアで無人機攻撃」

ロシア国防省の報道官は1日「ウクライナがクリミアの施設に無人機で大規模な攻撃を仕掛けてきたが、これを阻止した」と主張しました。

ロシア国防省は、前日の28日にもウクライナに近いロシア南部のクラスノダール地方などでウクライナの無人機による攻撃を阻止したと発表し、警戒を強めている可能性もあります。

ロシア軍は、ウクライナ東部のドンバス地域の掌握をねらい、攻撃を強めていますが、ウクライナ側はクリミアを含む領土の奪還に向けて、今月以降、大規模な反転攻勢を目指す構えです。

フィンランド ロシア国境の一部でフェンス設置作業始まる

ロシアとおよそ1300キロにわたり国境を接する北欧のフィンランドでは、東部の国境地帯の警備を強化しようと、一部にフェンスを設置する作業が先月28日、始まりました。

フィンランドの国境警備隊によりますと、フェンスは、高さがおよそ3メートル、長さがおよそ200キロの計画で、このうち試験的に3キロの区間で、ことし6月末までに設置を進めるということです。

国境警備隊が去年公開した完成予想図では、フェンスの上部には有刺鉄線がつけられています。去年9月、ロシアで予備役の部分動員が発表されたあと、多くのロシア市民が、動員を回避しようと、隣国のフィンランドに陸路で入国し、フィンランド政府は今後、不法入国が起きないか警戒を強めています。

キーウ近郊 ブチャ市民 心の傷や恐怖抱えながら生活

NHKの取材班が1日、ロシア軍に一時占拠され、多くの市民が犠牲になったキーウ近郊のブチャに入ったところ、現地では、破壊された住宅の再建が少しずつ進んでいました。

虐殺された市民の遺体が多数見つかり「死の通り」と呼ばれるようになったヤブロンスカ通りの周辺では、住民が散乱したがれきを片づけたり、業者が住宅の再建に向けた工事を進めたりしていました。
ヤブロンスカ通りの近くに住むオクサナ・ザモギリナ(56)さんは、住宅の窓ガラスや外壁が、ロシア軍のロケット弾による攻撃で破壊されました。その後、窓ガラスを張り替え、外壁を修復したものの、まだ室内には、がれきが散乱し、壁紙の修復など手付かずのままです。

ザモギリナさんは、ロシア軍が街を占拠していた光景を忘れられず、心の傷や恐怖を抱えながら生活しています。ザモギリナさんは「今でもブチャで起きた現実を信じられずにいます。ロシア軍が再び襲撃するかもしれないという恐怖や不安をずっと抱えながら生活しています」と話していました。

ロシア外相「新植民地主義的な行動に反対」欧米側の制裁を非難

G20=主要20か国の外相会合に出席するため、インドを訪れているロシアのラブロフ外相は1日、首都ニューデリーで開催されたイベントに出席し「真の多国間主義を強化しようとするインドの友人たちをわれわれは支持する」と述べ、議長国のインドをたたえました。

そのうえで「ロシアとインドは、主権国家に対する不当で一方的な制裁や脅迫、そのほかの圧力など、新植民地主義的な行動に一貫して反対している」と主張し、欧米側の制裁を非難しました。

ロシアとしては欧米との対立が一層深まる中、ことしのG20の議長国であり「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国や途上国の代表格のインドとの連携を強化して欧米側に対抗したい考えで、一連の会合でのラブロフ外相の動向も注目されています。

デンマーク議会 防衛費増額へ祝日を1日廃止する法案を可決

北欧のデンマークの議会は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて防衛費を増額するため祝日を1日、廃止する法案を2月28日、可決しました。

廃止されるのは、キリスト教の復活祭、イースターのあと、4回目の金曜日にあたる祝日で、17世紀から続いています。

デンマーク政府によりますと、祝日を1日減らすことで1人当たりの労働時間が増加し、年間32億デンマーククローネ、日本円にして、およそ620億円の財源を増やすことができるとしています。

デンマーク政府は、防衛予算をGDP=国内総生産の2%まで引き上げることを目指していて、ウクライナ情勢を受けて、祝日を廃止し、増える財源を防衛費に充てることで当初の予定よりも3年前倒しして、2030年までに目標を達成したいとしています。

この法案をめぐっては2月、5万人以上が参加する抗議活動が行われていて、市民からは反対の声も上がっています。