核融合の初の政府戦略案 海外市場に参入し関連産業育成方針

次世代のエネルギー源として期待される核融合の開発に向けた初めての政府戦略の案がまとまり、競争が活発化する海外の市場に日本の企業が参入するのを促し、関連産業を育成する方針が示されました。

核融合は太陽の内部で起きている反応で、人工的に起こすことで膨大なエネルギーを取り出すことができ、二酸化炭素やいわゆる核のごみは出ません。

政府戦略の案は、産業界の代表や研究者などで作る内閣府の有識者会議がまとめました。

案では、核融合の開発をめぐりイギリスがおととし、アメリカも去年、国家戦略を策定し、中国も試験研究に使う原型炉の計画を進めているとして、「産業化の競争がすでに生じている」と指摘しています。

そのうえで、日本の企業などが技術を生かして海外の市場に参入するのを促し、関連産業を育てる目的で、新年度にも政府と民間の協議会を設置するとしています。

一方、2050年ごろを目指すとしてきた国内で核融合発電を実現する時期については、見通しを変えるには技術的な根拠が乏しいとして「研究開発の加速により早期に実現する」との表現にとどめました。

高市経済安保相「技術力で海外市場獲得のチャンス」

会議に出席した、イノベーション政策を所管する高市経済安全保障担当大臣は、「核融合の開発は、エネルギー安全保障に資するだけでなく、技術力で海外市場を獲得するチャンスだ」と述べました。