3年前政府が配布の布マスク 単価など国に開示命じる 大阪地裁

3年前、政府が配布した布マスクについて、神戸市の大学教授が、1枚当たりの発注金額などを国が公表しないのは不当だと訴えた裁判で、大阪地方裁判所は「税金の使いみちについて行政の説明責任がある」と指摘し、国に開示するよう命じました。

3年前、政府が新型コロナ対策として、およそ260億円をかけて全国すべての世帯に2枚ずつ、合わせて1億2000万枚配布した布マスクなどについて、神戸学院大学の上脇博之教授は、納入業者の選定経緯が分かる資料を厚生労働省などに情報公開請求しました。

しかし、業者ごとの1枚の単価や発注枚数は、今後の価格交渉に支障があるといった理由で黒塗りにされたため、政策の妥当性が検証できず不当だと主張して、国に開示を求める訴えを起こしていました。

28日の判決で、大阪地方裁判所の徳地淳裁判長は、「単価や発注枚数を公にしても、企業の営業ノウハウなどに関する情報が明らかになったり、競争上の不利益が生じたりするとはいえない」と指摘しました。

さらに、「政府が随意契約で購入する物品は、税金の使いみちについて行政の説明責任がある」などとして、国に黒塗り部分を開示するよう命じました。

上脇教授は、「当然の判決で、国には『隠したい』とする判断が先にあったのではないか。国は国民に説明する姿勢を取り戻し、政策に効果があったかを検証してほしい」と話しています。

厚生労働省「主張が認められず 厳しい判決内容」

判決について、厚生労働省は「主張が認められず、厳しい判決内容だと考えている。今後の対応は内容を十分検討し、関係省庁と協議して決定したい」とするコメントを出しました。