五輪談合事件 電通グループや組織委元次長ら刑事告発 公取委

東京オリンピック・パラリンピックの運営業務をめぐる談合事件で、公正取引委員会は、広告最大手の「電通グループ」や業界2位の「博報堂」など6社が、総額430億円余りの業務を対象に不正な受注調整を行っていたとして、法人としての6社と、大会組織委員会の元次長ら合わせて7人を独占禁止法違反の疑いで刑事告発しました。これを受けて東京地検特捜部は28日、6社と元次長らを起訴するものとみられます。

刑事告発されたのは、広告最大手の「電通グループ」、業界2位の「博報堂」、「東急エージェンシー」、イベント制作会社の「セレスポ」、「フジクリエイティブコーポレーション」、「セイムトゥー」の6社です。

また、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会大会運営局の元次長、森泰夫容疑者(56)と電通の元幹部の逸見晃治容疑者(55)など各社の幹部ら合わせて7人も刑事告発しました。

公正取引委員会によりますと、電通など6社と森元次長らは各競技のテスト大会の計画立案業務の入札や、本大会の運営業務など、総額およそ437億円の事業を対象に不正な受注調整を行っていたとして、独占禁止法違反の疑いが持たれています。

テスト大会の計画立案業務を落札した企業はその後、随意契約の形で同じ競技の本大会の運営業務なども受注していて公正取引委員会は東京地検特捜部と連携して、各社がより金額が大きい本大会の業務の受注を視野に談合を行っていた疑いがあるとみて実態解明を進めていました。

関係者によりますと談合には広告大手ADKのグループ会社も関与した疑いがありますが、独占禁止法の「課徴金減免制度」に基づいて最初に不正を自主申告したことが考慮され、刑事告発は見送られたとみられます。

これを受けて特捜部は、28日に6社と元次長らを起訴するものとみられます。

公取委「国民生活に影響を及ぼす悪質かつ重大な事案」

東京地検特捜部と連携して捜査に当たった、公正取引委員会の奥村豪第二特別審査長は「本件は発注者である組織委員会側の容疑者と、広告代理店業界の売上高第1位の電通が主導していた。巨大な国家的プロジェクトである東京2020大会の運営業務などを対象とした入札談合で、社会的な影響が大きい。市場規模も大きく、国民生活に広範な影響を及ぼす悪質かつ重大な事案に該当すると判断した」と述べました。

松野官房長官「スポーツの価値を大きくおとしめる」

松野官房長官は記者会見で「仮に不正があったとすれば誠に遺憾で、オリンピック・パラリンピックをはじめスポーツの価値を大きくおとしめると考えている」と述べました。

そのうえで「スポーツ庁などが設置したプロジェクトチームが、組織委員会の元職員へのヒアリングなどを通じて、組織委員会のガバナンスの実情や課題を把握するとともに、再発防止の観点から今後の大会運営のための指針案を公表した。今後、幅広く意見聴取して、さらに内容を充実させ、来月中に指針を策定する予定だ」と述べました。