最長60年の原発運転期間 実質的に延長する法案を閣議決定

政府は、脱炭素社会の実現などに向けて原子力発電を最大限活用するため、最長60年とされている原発の運転期間を実質的に延長できるようにする法案を28日の閣議で決定しました。

政府は28日の閣議で、電気事業法や原子炉等規制法などの一部を改正する法案を決定しました。

それによりますと、現在の法律で最長60年とされている原発の運転期間について、審査などで停止した期間を除いて、実質的に上限を超えて運転できるようにするとしています。

また運転開始から30年以降は、10年を超えない期間ごとに機器や設備の劣化状況を確認して管理計画を策定し、原子力規制委員会の認可を受ける必要があるとしています。

このほか太陽光など再生可能エネルギーの導入を促進するため、送電線の整備計画を国が認定する制度を新たに設け、認定を受けた事業者に交付金を支給することにしています。

原発の運転期間の実質的な延長をめぐっては今月13日、原子力規制委員会が老朽化に対応するための新しい制度を採決しましたが、委員の1人が反対し異例の多数決で決定されました。

このため国民の不安払拭(ふっしょく)に努める必要があるなどとして、当初、今月下旬としていた閣議決定は、月末の28日までずれ込む形となりました。

政府は一連の法案を今の通常国会で成立させたいとしていますが、原発の活用などエネルギー政策のあり方について国会での論戦が活発になりそうです。

西村経済産業相「わかりやすく説明していきたい」

西村経済産業大臣は、閣議のあとの会見で国会の審議などで丁寧な説明を行い、法案への理解を求めていく考えを示しました。

この中で西村大臣は、「閣議決定された法案は再生可能エネルギーの最大限の導入拡大の支援や、安全確保を大前提とした原子力の活用に向けた措置を講じるものだ」と述べました。

そのうえで岸田総理大臣から国民の不安を払拭するため政府の方針を丁寧に説明するよう指示されたことを受けて、「国会における真剣な議論をはじめ、全国での対話型の説明会の開催など引き続き、さまざまな手段でできる限りわかりやすく説明をしていきたい」と述べ、法案への理解を求めていく考えを示しました。