トルコ・シリア大地震 トルコの物理的被害額4兆6500億円余か

2月6日にトルコ南部で起きた大地震は27日で発生から3週間が経過し、トルコとシリアではこれまでに死者があわせて5万人を超えています。現地ではいまも多くの人がテントなどでの暮らしを余儀なくされていて、避難生活が長期化する中、政府の対応に対する批判も高まっています。

政府の初動対応や耐震化対応 批判の声高まる

2月6日にトルコ南部で起きたマグニチュード7.8の地震とその後の地震ではこれまでに死者が▼トルコで4万4374人、▼隣国シリアで5914人とあわせて5万人を超えています。

地震の発生から3週間となった27日には南東部のマラティヤ県でマグニチュード5.2の地震が発生し、トルコの防災当局によりますと、1人が死亡、110人がけがをしたほか、29棟の建物が倒壊したということです。

現地ではいまも191万人以上がテントなどでの暮らしを余儀なくされています。

避難生活が長期化する中、トルコ政府の初動の対応や建物の耐震化への対応を批判する声も高まっています。

最大都市イスタンブールでは26日、政府の退陣を求めるデモの参加者と治安当局が路上でもみ合いになる場面があったほか、同じ日にイスタンブールで行われたサッカーの試合ではスタジアムの観客が「政府は退陣しろ」と合唱する一幕もありました。

トルコのエルドアン大統領は、27日、被災地のひとつアドゥヤマン県を訪れ「天候が悪化し、インフラも損傷していたため、思うような対応ができなかった。そのことについては謝りたい」と述べ被災した一部の地域で初動が遅れたことを謝罪しました。

その上で、復興に向けて全力で取り組む考えを示しましたが、批判の高まりを抑えられるかは不透明な情勢です。

トルコの被害額4兆6500億円余 世界銀行が推計

世界銀行は27日、トルコ南部で起きた大地震によるトルコの物理的な被害額が342億ドル、日本円で4兆6500億円余りにのぼるという推計を発表しました。

これはトルコのおととしのGDP=国内総生産の4%にあたります。

住宅への被害が最も大きく180億ドル、日本円でおよそ2兆4500億円で、125万人が一時的に家を失ったと推計しています。

さらに経済活動の中断や農業、雇用への影響など関連の損失も大きく、世界銀行は復旧・復興の費用は、被害額の2倍以上となる可能性があるとしています。

シリアの被害額の推計は28日に発表されます。

日本の国際緊急援助隊の医療チームに現地の市長が感謝

今回の地震を受け、日本から被災地のトルコ南部ガジアンテプに派遣された国際緊急援助隊の医療チームの拠点を地元の市長が訪れ、日本の支援に感謝しました。

日本の国際緊急援助隊の医療チームは、地震で病院が壊れ使えなくなったガジアンテプに今月14日に入り、設営した診療テントの中で、地震による負傷者やもともと持病がある人など、これまでに850人以上の治療にあたってきました。

地震発生から3週間となった27日、地元のファトマ・シャヒン市長が医療チームの拠点を訪れ、石原猛団長から説明を受けながら手術室や分べん台までそろえた施設を見て回りました。

そして、視察に同行した在トルコ日本大使館の鈴木量博大使に「日本の医療チームはここでものすごい努力を払ってくれている。ここまで高性能な病院は初めて見た。私たちは必ずこの都市を再建する。両国の友好の歴史に残る出来事になるだろう。日本の人たちに感謝する」と伝えました。

これに対し、鈴木大使は「日本とトルコは地震帯の上に国土があるという宿命を背負った国どうしで、地震とともに生きていかなければならない。この大きな震災の苦しみと深い悲しみを超え、どうやってさらに強じんな国土と社会を作るかという観点から協力していきたい」と応じ、さらなる支援を約束しました。