メタバース上の知的財産保護 法律改正案 今国会提出へ 経産省

デジタルの仮想空間、メタバース上の知的財産を保護するため、経済産業省は、メタバース上で模倣品の製造や販売を禁止する法律の改正案をまとめ、今の通常国会に提出することにしています。

メタバースの活用は、エンターテインメントやビジネスの分野で進んでいて、有名ブランドなどの間でも、分身となるアバターに着せる衣類や雑貨などを販売する動きが相次いでいます。

しかし、メタバース上の衣類や雑貨などは、日本の法律では知的財産の保護の対象外となっていて、このままでは模倣品の製造や販売が広がるおそれがあります。

このため、経済産業省は、来年にもメタバース上で模倣品の製造や販売を禁止する新たな規制を設ける方針です。

この中では、メタバース上のデザインを知的財産として保護し、デザインした企業が模倣品を確認した場合、裁判所に差し止めの請求などができるようにするということです。

政府は、不正競争防止法など関連する法律の改正案を、今の通常国会に一括して提出することにしていて、スタートアップ企業などが、国際的に事業展開しやすい環境を整えることにしています。

アパレル会社は規制強化を歓迎

メタバース上で、アバターに着せる衣類などを販売する会社では、模倣品の流通を防げるようになると規制強化を歓迎しています。

世界有数のファッションの祭典、パリコレクションなどにも出展している東京 港区のアパレル会社では、2年前からメタバース上で衣類などを販売しています。

会社では、成長が期待される分野として事業に力を入れる一方、似通ったデザインの商品が出回るのではないかという懸念も強まっていたことから、政府による規制強化を歓迎しています。

「ANREALAGE」のデザイナーの森永邦彦さんは「現実の洋服と異なり、メタバース上では、質感やフィット感が均質化されてしまうので、現実世界より模倣しやすいのではと心配していた。権利が守られることで、ファッションデザイナーの活躍できる場が広がり、市場が盛り上がるきっかけになると思う」と話していました。