ゼレンスキー大統領“領土奪還”にプーチン大統領“侵攻継続”

ウクライナのゼレンスキー大統領は26日、「ロシアにとらわれたすべての国民と、すべてのものを取り返す」と述べ、ロシアが一方的に併合した南部クリミアを含む、すべての領土の奪還を目指して戦っていく姿勢を強調しました。一方、ロシアのプーチン大統領は、軍の関係者をたたえ、ウクライナ侵攻を続ける姿勢を改めて示しました。

ウクライナでは、東部ドネツク州のウクライナ側の拠点バフムトなどで、ロシアとウクライナの激しい攻防が続いています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は26日、9年前にロシアが一方的に併合した南部のクリミアで、人々がロシアに対する抵抗運動を始めた記念日にあわせて動画を公開しました。

この中で、「ロシアの侵略はクリミアの掌握から始まった。われわれはロシアにとらわれたすべての国民と、すべてのものを取り返すのだ」と述べ、クリミアを含め、ウクライナのすべての領土の奪還を目指して戦っていく姿勢を改めて強調しました。

これに対しロシアでは27日、軍の特殊部隊を祝福する記念日にあわせて、ロシア大統領府が、プーチン大統領の動画を公開しました。

プーチン大統領は「あなたがたは特別軍事作戦などの戦闘で命令に従い、ロシア国民や、われわれの土地をネオナチの脅威から守っている」と主張し、ウクライナ侵攻に参加する軍の関係者をたたえました。

プーチン大統領は26日に公開されたロシア国営テレビのインタビューでも、この1年の軍事侵攻について、「国民の結束が成果だ。今後も結束すれば、われわれが負けることはない」と述べ、侵攻を続ける姿勢を改めて示しています。

ベラルーシでロシア軍用機が損傷か

ロシアと同盟関係にあるベラルーシでは、26日、元治安当局者などでつくる反体制派の団体がSNSで、首都ミンスク近郊のマチュリシチ空軍基地で2回爆発があり、駐留していたロシア軍のA50早期警戒管制機が損傷したと主張しました。

また、この爆発は無人機を使った破壊工作によるものだとしていて、ロシア軍の駐留に反対するベラルーシ人が関与したという見方を示しています。

これについてロシア軍やベラルーシ軍はコメントしておらず、ロシア大統領府のペスコフ報道官も27日、記者団からの質問に対して「われわれがここで言うことは何もない」と述べました。

ベラルーシは、これまでウクライナの侵攻に直接は参戦していませんが、駐留するロシア軍のウクライナ侵攻への出撃の拠点になっているとみられます。

さらに、ロシアのプーチン大統領はベラルーシのルカシェンコ大統領に対して、ウクライナ侵攻のさらなる軍事的な協力を求めているとみられ、ウクライナ側は、ベラルーシ軍も参戦しないか警戒を続けています。