新たな猫の死骸 人目につく場所に 警察が関連捜査 さいたま市

今月中旬に、学校や公園で切断された猫の死骸が見つかったさいたま市内で26日、新たに別の猫の死骸が見つかりました。2つの事件で、猫は人目につく場所などに置かれていて、警察は関連についても捜査しています。

26日午前7時半ごろ、さいたま市桜区神田の住宅街の一角にある畑で、頭と前足がない猫が、一部が土に埋まった状態で見つかりました。

また午後5時すぎには、この畑から南西に300メートルほど離れた川沿いの市道で、猫の頭と前足の部分が見つかりました。

見つかった死骸はいずれも黒と茶色のまだら模様で、同じ猫とみられ、警察は動物愛護法違反の疑いで捜査しています。

現場は、JR埼京線の与野本町駅から南西に2キロ余り離れた住宅街です。

さいたま市内では、この場所からおよそ4キロ南東にある南区の小学校と近くの公園の敷地で、今月13日から17日にかけて白っぽい猫の胴体や頭の一部などが見つかっていました。

2つの事件で、猫はいずれも人目につく場所などに置かれていて、警察は関連についても捜査しています。

現場近くの小学校 急きょ集団下校

26日、猫の死骸が見つかった、さいたま市桜区の現場近くの小学校では急きょ、27日から集団下校を始めました。

学校は、子どもたちの安全を守るためとしていて、午後3時前に授業を終えた子どもたちが学年ごとに集まったあと、教員に付き添われ一斉に下校していました。

この学校では今週いっぱい、集団下校を行うということです。

住民からは不安の声

26日、猫の死骸の一部が見つかった川沿いの市道を利用する人たちからは、不安の声が聞かれました。

近所に住む50代の女性は「近くで猫の死体が見つかったことはニュースで知っていましたが、ふだん散歩で通っている場所だとは知りませんでした。このような事件が起きて怖いです」と話していました。

また、近所の80代の女性によりますと、現場の通りは夜になるとほとんど人通りがないということで「ほぼ毎日、散歩していますが、怖くて気持ちが悪いです」と話していました。

この女性と一緒に散歩をしていた女性は「こんなことをするなんて、猫がかわいそうです。最近は怖いので、戸締まりをしっかりして、鍵をかけたか確認するようにしています」と話していました。

さいたま市 現場周辺でパトロール強化

さいたま市内では、職員が青い回転灯をつけた「青パト」と呼ばれる車でふだんから区ごとに巡回しています。

このうち桜区では、週に3日間パトロールが行われていますが、猫の死骸が見つかった事件を受けて、27日から当面「青パト」を2台に増やしたうえで、毎日行うことになりました。

現場近くの住宅地では、「青パト」がゆっくりとしたスピードで巡回し、警戒にあたっていました。

犯罪心理学の専門家 “非常に強い攻撃性がうかがえる”

犯罪心理学に詳しい駿河台大学心理学部の小俣謙二教授は、今回の事件について「ストレスやいらだちの発散として、弱い動物に攻撃性をぶつけているのではないか」と指摘しています。

また、猫を切断する行為には、非常に強い攻撃性や生命に対する意識の薄さがうかがえるとしています。

小俣教授は、死骸が人の目につく場所で見つかっていることにも着目し「通常、犯罪行為や残虐な行為は隠すが、あえてそれを見せるというのは自己顕示欲があるのかもしれない」としています。

その上で、過去に動物の虐待から殺人事件などに発展したケースにも触れ「神戸市の児童連続殺傷事件でも動物虐待があった。同じような事件がどれぐらい続くのかや、人に危害が向かわないか非常に心配だ」と話していました。

《次々と見つかった経緯》

◆2月13日/公園で白っぽい猫の死骸

最初に猫の死骸が見つかったのは、2月13日でした。

さいたま市南区の荒川沿いの公園のベンチで猫の足が置かれているのを散歩をしていた人が見つけました。足は2つのベンチに1本ずつ置かれ、いずれも切断された痕がありました。

◆2月16日~17日/雑木林、小学校で

その3日後の2月16日、同じ公園の雑木林で頭や足の一部がない猫の胴体が見つかります。

さらに、その翌日の2月17日には公園から1キロほど東にある小学校で頭の一部が校庭の鉄棒にひもでつるされているのが見つかりました。

公園と小学校で見つかったのは、いずれも白っぽい色をしていたことなどから、同じ猫とみられています。

◆2月26日/さらに別の猫の死骸

そして、2月26日。

学校から北西に4キロ余り離れた、さいたま市桜区で新たな猫の死骸が相次いで見つかりました。

このうち、住宅街の一角にある畑からは頭と前足がない状態で見つかりました。一部は土に埋められていました。畑を所有する男性が2日前の2月24日の午前中に訪れたときには異常はなかったということです。

さらに、この畑から南西に300メートルほど離れた川沿いの市道では頭と前足が見つかりました。

26日に見つかったのは、いずれも黒と茶色のまだら模様で、同じ猫とみられています。

警察は、何者かが猫を切断して放置したとみて、動物愛護法違反の疑いで捜査するとともに、それぞれの事件の関連を調べています。