【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(27日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる27日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

“ベラルーシにロシアからS400納入” ベラルーシ国営通信

ベラルーシの国営通信によりますとルカシェンコ大統領は27日、兵器調達に関する会議を開催し、このなかで「S400が納入された。これはベラルーシ軍が望んでいたものであり重要な兵器だ」と述べ、時期は明らかにしなかったものの、最新鋭の地対空ミサイルシステム「S400」をロシアから受け取ったと主張しました。

ルカシェンコ大統領は、去年5月、▼核兵器を搭載できる短距離弾道ミサイル「イスカンデル」と、▼「S400」をロシアから購入したことを明らかにしていました。

「イスカンデル」については、今月、ベラルーシ国防省が配備したと発表していて、ベラルーシは、ロシアからの兵器の配備を打ち出し、欧米側をけん制するねらいもあるとみられます。

ロシア大統領府「中国の停戦呼びかける文書 注目に値する」

ロシア大統領府のペスコフ報道官は27日、中国が発表したロシアとウクライナに対話と停戦を呼びかける文書について「紛争を平和的な軌道に乗せる計画を策定しようという試みは注目に値する。詳細については当事者の利益を考慮して慎重に分析する必要がある」と述べ、一定の評価をしました。

そのうえで「現時点では平和的な方向に進むための条件は見当たらない。特別軍事作戦が続く間、われわれは設定された目標の達成に向けて動いていく」と述べて、ウクライナへの軍事侵攻を続ける姿勢を改めて示しました。

ベラルーシ 反体制派団体“空軍基地で爆発 ロシア軍用機 損傷”

ロシアと同盟関係にあるベラルーシでは26日、元治安当局者などでつくる反体制派の団体がSNSで、首都ミンスク近郊のマチュリシチ空軍基地で2回爆発があり、駐留していたロシア軍のA50早期警戒管制機が損傷したと主張しました。

また、この爆発は無人機を使った破壊工作によるものだとしていて、ロシア軍の駐留に反対するベラルーシ人が関与したという見方を示しています。

これについてロシア軍やベラルーシ軍はコメントしておらず、ロシア大統領府のペスコフ報道官も27日、記者団からの質問に対して「われわれがここで言うことは何もない」と述べました。

ベラルーシは、これまでウクライナの侵攻に直接は参戦していませんが、駐留するロシア軍のウクライナ侵攻への出撃の拠点になっているとみられます。

さらに、ロシアのプーチン大統領はベラルーシのルカシェンコ大統領に対して、ウクライナ侵攻のさらなる軍事的な協力を求めているとみられ、ウクライナ側はベラルーシ軍も参戦しないか警戒を続けています。

プーチン大統領 侵攻参加の軍関係者たたえる

ロシアでは27日、軍の特殊部隊を祝福する記念日にあわせてロシア大統領府がプーチン大統領の動画を公開しました。

プーチン大統領は「あなたがたは特別軍事作戦などの戦闘で命令に従い、ロシア国民やわれわれの土地をネオナチの脅威から守っている」と主張し、ウクライナ侵攻に参加する軍の関係者をたたえました。

ゼレンスキー大統領 東部の軍司令官 解任

東部で激しい戦闘が続く中、ウクライナのゼレンスキー大統領は26日、東部ドンバス地域でロシア軍との戦闘を指揮する軍のモスカリョフ司令官を解任したと発表しました。

ウクライナのメディアによりますと、モスカリョフ氏はロシアによる軍事侵攻が始まってまもなくの去年3月から、司令官を務めてきたということです。

ウクライナではことしに入って、政府高官などが相次いで交代していますが、ゼレンスキー大統領はこれまでのところ解任の理由について言及していません。

クリミア抵抗運動の記念日「すべてのものを取り返す」

ウクライナメディアによりますと、2月26日は9年前、ロシアが一方的に併合したウクライナ南部のクリミアで、人々がロシアに対する抵抗運動を始めた記念日とされています。

ウクライナのゼレンスキー大統領はこの日公開した動画で「ロシアの侵略はクリミアの掌握から始まった。クリミアを解放することでロシアが人々の命を破壊しようというあらゆる企てを止めることができる」などと述べました。

また「ウクライナは誰も見捨てず、誰も敵の手にとどめておかない。われわれはロシアにとらわれたすべての国民と、すべてのものを取り返すのだ」と述べ、クリミアを含め、ウクライナのすべての領土の奪還を目指して戦っていく姿勢を改めて強調しました。

ロシアへの武器提供「中国は選択肢を排除していない」

中国がロシアへの武器の提供を検討しているとアメリカ政府が指摘していることに関連して、ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は26日、ABCテレビのインタビューで「現時点では中国がロシアへの武器の提供に踏み切ったとはみていない」と述べました。

その一方でサリバン補佐官は「中国はその選択肢をまだ排除していない」として引き続き中国側の対応を注視していく考えを示しました。

またCIA=中央情報局のバーンズ長官はCBSテレビのインタビューで「中国が殺傷兵器の提供を検討していると確信している。中国が最終的な決断をしたとは見ておらず、実際に武器が輸送されたという証拠も確認していない」と述べました。

欧米の一部メディアは中国がロシアに対し、無人機や弾薬の提供を検討していると伝えていて、中国の武器供与をめぐる動きに関心が集まっています。

ロシア軍 東部ドネツクで攻撃強める 戦力消耗の分析も

ウクライナ東部ドネツク州のキリレンコ知事は26日、ロシア軍のロケット弾による激しい攻撃が前日の夜から朝まで続いたとみずからのSNSで明らかにしました。この攻撃で、ウクライナ軍の拠点バフムトやその近郊の町で市民3人が死亡し、4人がけがをしたということです。

一方、イギリス国防省は26日、ドネツク州の激戦地のひとつ、ブフレダルを撮影した衛星写真の分析として郊外でロシア軍の装甲車10台が破壊されているのを確認したとしています。
イギリス国防省は、この装甲車はロシア軍の精鋭部隊とされる第155海軍歩兵旅団のものとみられるとして、「この部隊は経験の浅い動員兵を補充せざるを得なくなっていて能力が格段に低下しているとみられる」と分析しています。

ロシア側は、バフムト周辺の集落の掌握を宣言するなどわずかに占領地域を拡大していると見られていますが戦力を消耗していることもうかがえます。