G20 財務相・中央銀行総裁会議 ロ中反対で共同声明まとまらず

インド南部のベンガルールで開かれていたG20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議は2日間の討議を終えて、日本時間の25日夜、閉幕しました。ウクライナ侵攻を強く非難し世界経済に及ぼす影響を懸念する日本や欧米などに対して、ロシアと中国が反対意見を示したことから議論の成果となる共同声明をまとめることができませんでした。

G20の閉幕後、議長国のインドが討議の内容を議長総括という形で公表しました。

それによりますと、日本や欧米各国など参加メンバーのほとんどがウクライナ侵攻を強く非難し、侵攻の長期化がエネルギーや食料の供給不安を招くなど世界経済に悪影響を及ぼしていると主張したということです。

これに対してロシアと中国が反対意見を示したことから共同声明の採択は見送られました。

G20の財務相・中央銀行総裁会議が共同声明の採択を見送ったのは去年4月の会議以降、4回連続です。

一方、今回の会議では、トルコ南部の大地震で大きな被害を受けた地域への支援を継続することやインフレや利上げによって深刻化している途上国などの債務問題に協力して取り組むことについては合意したということです。

鈴木財務相「ロシアが建設的な議論を難しくしている」

G20の財務相・中央銀行総裁会議に出席した鈴木財務大臣は、共同声明がまとめられなかったことについて、ロシア側を非難する一方、大半の課題については参加国の合意が得られたとして会議の成果を強調しました。

鈴木大臣は、会議の閉幕後に現地で行われた記者会見で「ロシアによる侵攻が世界経済に悪影響を与えていることについて、ほとんどの国がロシアを非難していることが議長声明に盛り込まれた。しかし、ロシアと中国がそれに合意しない。ロシアが建設的な議論を難しくしている事実がある」と述べ、ロシアなどの反対で共同声明がまとめられなかったことを批判しました。

一方で、鈴木大臣は「共同声明が発出できないことがG20の意義を損ねているわけではない。ロシアのウクライナ侵攻を除く、そのほかのパラグラフはすべて合意している。今の形の中で、議論を進められるところはしっかりと議論行い、合意していくということだ」と述べ、途上国などの債務問題や気候変動問題をめぐる資金支援といった、多くの課題について議論の進展が得られたとして会議の成果を強調しました。

議長国インドの財務相 “中国とロシアが内容の一部に反対”

G20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議の閉幕後に行われた記者会見で、議長国インドのシタラマン財務相は今回、共同声明をまとめられなかった理由について、一部の内容に中国とロシアが反対したためだと明らかにしました。

中国とロシアが反対したのは「ほとんどの国がウクライナでの戦争を強く非難するとともに、戦争が人々に多大な苦痛をもたらし世界経済のぜい弱性を悪化させていると強調した」などとした部分です。

この内容は去年、インドネシアで行われたG20の首脳会議では、採択された首脳宣言に中国とロシアも合意した形で盛り込まれていました。

今回、中国とロシアが反対した理由について、シタラマン財務相は「当時の状況下では問題なかったが、いまは受け入れられないということだ」と述べました。