ウクライナ避難者 医療支援のNGO“慢性疾患などのケア重要”

ロシアによるウクライナへの侵攻が始まった直後から、避難した人への医療支援を行ってきたNGOが、侵攻から1年の24日に記者会見し、避難した人は命に危険があるレベルの高血圧の人が多く、慢性の病気や強い精神的なストレスへのケアが重要だと報告しました。

広島県に本部を置くNGO「ピースウィンズ・ジャパン」は、去年4月からウクライナの隣国のモルドバに仮設の診療所を開いて、避難してきた人への医療支援を行っていて、24日に東京都内で支援の状況を報告しました。

それによりますと、去年4月から7月に診療所を受診し、カルテに詳しい記録がある834人について分析したところ、51%にあたる424人が病的な高血圧とされる水準で、中でも10%にあたる87人は放置すると命に関わる緊急性の高い状態だったということです。

避難してきた人の多くが女性のため患者の77%は女性で、高血圧や糖尿病などの持病のある人が多く、精神症状を訴える人も目立ったということです。

NGOでは軍事侵攻による強いストレスで高血圧の患者が増えていた可能性があり、けがだけでなく慢性的な症状への対応も重要だとしています。

現地で支援にあたった稲葉基高医師は「紛争地では外傷や感染症への注目が高く、高血圧や慢性疾患はあまり注目されていなかった。慢性的な症状のある避難民にどう寄り添うか、考える必要がある」と話しています。