トルコ・シリア大地震 シリアの被災地へ支援急務【24日動き】

トルコ南部で今月発生した大地震で大きな被害を受けた隣国のシリアでは、支援ルートが拡大されたものの、内戦の影響で依然として支援物資が十分に行き届かない地域があり、シリア国内の被災地への支援が課題となっています。

トルコ南部で今月6日に発生したマグニチュード7.8の地震とその後の地震で、これまでに死亡が確認されたのは、
▽トルコで4万3556人
▽隣国シリアで5914人と、
合わせて4万9000人以上となっています。

被災地のうち内戦が続くシリアの北西部は、アサド政権と対立する反政府勢力の支配下にあり、地震を受け人道支援のルートが地震前の1つから3つに拡大されましたが、依然として支援物資が十分に行き届かない地域もあります。

OCHA=国連人道問題調整事務所の担当調整官は22日、ロイター通信に対し、これまでに支援物資を積んだトラック250台以上がシリアに入ったとしたうえで「支援のトラックが今週末には1日平均40台になり、今後、数週間でさらに増えることを期待している」と述べ、支援の加速が必要だという考えを示しました。

一方、EU=ヨーロッパ連合は23日、人道支援のためにシリアへの制裁を6か月間緩和すると発表しました。

EUは「地震によって悪化したシリアの人道危機の深刻さを考慮した」としていて、内戦が続くシリア国内の被災地への支援が課題となっています。

経済被害11兆円超の試算も

トルコでは商店や工場、それに港湾施設などの多くが被災しています。

トルコ企業・経営者連合などによりますと、被災した10の県はトルコのGDP=国内総生産のおよそ9%を占め、大地震による経済的な被害は840億ドル、日本円でおよそ11兆3000億円を超えると試算しています。

“シャッター通り”のようになったバザール 営業を始める店も

大地震では、商店や工場なども大きな被害を受け、今後、復興を進める上で、被災地の経済活動をどう支えていくかが課題になっています。

南部のカフラマンマラシュにある、およそ500年の歴史があるバザールは、ふだんは多くの買い物客でにぎわう場所ですが、地震発生以降、多くの店が営業をとりやめ、いわゆる「シャッター通り」のようになっています。

一部の店は崩れて、今もがれきが放置されているほか、建物が残っている店でも、商店主の自宅が被災したり、余震を心配したりして、多くの店がシャッターを下ろしたままです。

商店街に店を構える乾物店では電気が復旧したことから、23日、ようやく営業を再開できたということで、経営する兄弟が散乱した商品の整理などに追われていました。
弟のセルカン・アクチャカレさん(43)は「地震でみんな街を出ていってしまいましたが、また戻ってくると信じて、少しずつやっていきたいと思います」と話していました。

また、21日に店を開けた時計店のファティフ・ギュルさん(41)は「みんなの気持ちを高めるために、誰かが始めなければならないのです。大変な状況に胸は痛みますが、暮らしを続けるためにも強くなる必要があります」と話していました。