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【詳細】ロシアのウクライナ侵攻1年 現地は?世界は?

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから24日で1年となりました。ロシア側は、ウクライナ東部などで攻撃を強める一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は「国を守り、勝利に近づくためにみな努力している」と演説し、ロシアに対して引き続き徹底抗戦しようと呼びかけました。

現地の状況や関係各国の外交、日本国内での支援の取り組みなど、ウクライナ情勢をめぐる24日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア国防省 「ウクライナがモルドバで軍事侵攻の準備を強化」

ロシア国防省は23日、声明を発表し、旧ソビエトのモルドバでロシア軍が駐留する沿ドニエストル地方について「ウクライナが軍事侵攻の準備を強化した。ロシア軍は、ウクライナ側の挑発行為に適切に対応する」と一方的に主張しました。

さらに、ロシア外務省も24日、声明を発表し「ウクライナやアメリカ、NATOが、分別のない措置をとらないよう警告する。この地域のロシア軍などの安全を脅かす行為は、ロシアへの攻撃とみなす」と主張しました。

ウクライナの隣国モルドバの東部に位置する沿ドニエストル地方には、ロシア軍が駐留し、モルドバからの一方的な分離独立を宣言するなど政府の統治が及んでいません。

これに先立ち、ロシア国防省は「ウクライナ側が、この地方に駐留するロシア軍に対して、偽旗作戦を計画している」などと、証拠を示さずに主張していました。

こうした主張に対し、モルドバ政府は「ロシア側の主張を確認していない」としています。

また、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は「ロシアが、モルドバで政治的混乱を引き起こそうとしている」と批判しています。

モルドバのサンドゥ大統領は欧米寄りの政治姿勢で、今月13日には、ロシアが工作員を使って政権転覆を企てているとする情報を得たと非難していて、ロシア軍が今後、モルドバにも介入してくるのではないかと警戒を強めています。

ゼレンスキー大統領 式典で兵士たちを激励

ウクライナのゼレンスキー大統領は24日、首都キーウで開かれた式典に参加し、兵士たちを激励しました。

このなかで「ウクライナは、1000年以上の歴史のなかで多くの戦争を経験してきたが、青と黄色の国旗はいまもはためいている。戦っている兵士たちに感謝したい」と述べました。

そのうえでゼレンスキー大統領は「兵士やボランティアなど国を守っている全員がウクライナの英雄だ。国を守り、勝利に近づくためにみな努力している」と述べ領土の奪還を目指して引き続き兵士や市民が結束してロシアに徹底抗戦しようと訴えかけました。

また、SNSを更新し、戦地の様子や多くの人が青と黄色のウクライナの旗を振る様子などが写った動画とともにメッセージを投稿しました。

ゼレンスキー大統領は「2月24日、何百万人もの人が白旗ではなく、青と黄色の旗を、逃げ出すのではなく立ち向かうことを、抵抗し、戦うことを選択をした。痛み、悲しみ、団結の1年だった。私たちは不屈だ。私たちは2023年が勝利の年となることを知っている」と述べ、人々を鼓舞しました。

ゼレンスキー大統領の妻「地獄の1年だった」

ウクライナのゼレンスキー大統領の妻オレーナ氏は、ロシアによる軍事侵攻から1年となるのを前に、23日リトアニアの首都ビリニュスで開かれたイベントにビデオメッセージを寄せました。

この中でオレーナ氏は、この1年を攻撃、侵略そして殺りくの1年と振り返り「地獄の1年だった」と訴えました。

その上で「2月24日は戦争から1年ではなく、抵抗や勇気、お互いを助け合うことや友情の1年を祝う日だ」と述べ、徹底抗戦する姿勢を示しました。

キーウ中心部 青と黄色の花など手向ける市民の姿

キーウ市内の中心部にある修道院の壁には、戦闘で亡くなった兵士たちの写真が並べられています。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから1年となる24日も朝から市民らが訪れ、ウクライナの国旗の色である青と黄色の花などを手向ける姿が見られました。

専門学校での教え子を亡くした50代の女性は「2月24日は私だけではなくすべてのウクライナの人にとって特別な日です。亡くなった兵士たちはいつまでも私たちの記憶の中で生きています。すべての兵士が家に戻り、平和になることを願っています」と話していました。

また、市の中心部にある「独立広場」には亡くなった兵士などの名前が書かれた小さなウクライナ国旗が数多く並べられています。

独立広場を訪れた男性は「侵攻から1年になりますが、本当に多くの人が命を奪われました。この状況に正直疲れました。でも市民は、それぞれの立場で抵抗を続けています。戦争が続く限り私たちは戦い続けます。それ以外の選択肢はありません」と話していました。

「プーチン大統領の演説 24日計画なし」ロシア大統領府

ロシア大統領府のペスコフ報道官は24日、国営のロシア通信に対し「24日にはプーチン大統領の演説は計画されていない」と述べました。

プーチン大統領は、ウクライナへの侵攻を開始して以降、初めてとなる年次教書演説を今月21日に行い、軍事侵攻を続ける姿勢を強調しました。また、22日には、首都モスクワで開かれた大規模な集会で演説を行って、国民に結束を呼びかけていました。

ロシア人権団体が声明 軍事侵攻反対姿勢示す

去年ノーベル平和賞を受賞したロシアの人権団体・メモリアルは24日、声明を発表し「国際社会もロシアの市民社会も、この侵攻を阻止できなかった」と、この1年を振り返りました。

声明では、1年間で何十万、何百万もの人々が亡くなり、傷つき、苦しみ、家を追われたとした上で「この戦争で何の被害も受けなかった人は、おそらく1人もいないはずだ」としています。

そして拷問などが報告されているとしてロシアを非難する一方、ウクライナは屈することなく祖国を守り続けているとたたえました。

また「重要なことは、石油やガスよりも大切な価値があると、各国が理解したことだ」として、ウクライナを支援する国々の連帯を評価しました。

声明では、現在のロシアの人権状況について、侵攻に反対する市民への弾圧はソビエト時代の後期に匹敵すると厳しく非難しています。

その上で「戦争に反対する少なくとも20%の市民は議員にもなれず、メディアで意見を述べることもない。しかしこの20%の存在が、ロシアには未来があるという希望を抱かせてくれる」と述べ軍事侵攻に反対していく姿勢を示しています。

岸田首相 ウクライナ訪問は“検討中も現時点で決まらず”

岸田総理大臣は記者会見し、G7=主要7か国の首脳会合で、ロシアに対する新たな制裁の考え方を示すととともに、第三国によるロシアへの軍事支援の停止を呼びかける考えを明らかにしました。一方、みずからのウクライナ訪問については、安全確保や秘密保護なども踏まえながら検討しているものの現時点では決まっていないと述べました。

中国外務省「ウクライナ危機の政治的解決のため貢献したい」

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から1年となることについて、中国外務省の汪文斌報道官は24日の記者会見で「ウクライナの問題には複雑な歴史があり、中国は常に客観的かつ公正な立場で、積極的に和平と話し合いを呼びかけてきた。中国は、国際社会とともに引き続き、ウクライナ危機の政治的な解決のために貢献していきたい」と強調しました。

一方で「冷戦の産物であるNATO=北大西洋条約機構は冷戦終結とともになくならないばかりか、領域を拡大し続け、アジア太平洋地域まで挑発している。アメリカもウクライナの主権を尊重するといいながらほかの国の主権を勝手に侵害している」と述べ、NATOやアメリカを批判しました。

ドイツ 連邦議会議事堂にウクライナ国旗掲揚

ドイツの首都ベルリンにある連邦議会議事堂にウクライナへの連帯を示そうと、ウクライナ国旗が掲げられました。

連邦議会議事堂にドイツ以外の国旗が掲げられるのは異例のことです。

議事堂前の広場には、ロシアとプーチン大統領に対する「恥を知れ」というメッセージが書かれたプラカードを持参して訪れた人の姿も見られました。

ドイツはロシアの軍事侵攻を受けて紛争地に武器を送ることに慎重な姿勢を転換し、ウクライナへの兵器の供与を進めています。

専門家が提言 “戦時下で原子力施設保護の仕組みづくりを”

ウクライナでは原子力発電所周辺に砲撃が相次ぎ、重大な事故になりかねない事態が続いていることを受けて、国内の原子力などの専門家でつくる研究グループは、戦時下で原子力施設を保護する新たな仕組みづくりを提言しました。

提言には、IAEAが戦争当事国や周辺国と協議して原子力施設を保護する仕組みを構築することや、国際条約の改正などにより、原発に加え、使用済み核燃料の貯蔵施設など、すべての原子力施設への攻撃を全面的に禁止することが盛り込まれ、日本が議論を主導するよう訴えています。

研究グループの座長を務める長崎大学核兵器廃絶研究センターの鈴木達治郎副センター長は「福島第一原発の事故を経験している日本としては、原子力施設の保護の重要性を世界に発信する責任がある」と話していました。

長野 善光寺で犠牲者を追悼する法要

長野市の善光寺での追悼法要は宗派を超えた僧侶の有志などおよそ30人が開き、僧侶らは犠牲になった人たちに祈りをささげていました。

追悼法要を開いた団体の1つ「平和を願い行動する僧侶の会」の若麻績敬史代表は「ウクライナの人の心が安らぐとともに戦争が収まり、復興に向かう日が早く来てほしいです」と話していました。

今回の法要に参加した僧侶らは、ウクライナから避難してきた人たちが暮らす長野県高森町に支援金を送る活動などを行ってきたということで、今後はウクライナに生活支援物資を送ることも検討しているとしています。

“キーウと姉妹都市”京都市でひまわり献花

ロシアによる軍事侵攻以来、キーウと姉妹都市の京都市は民間の団体とともに専門の組織を立ち上げるなどして避難者の受け入れを進め、市内ではウクライナから逃れてきた78人が避難生活を続けています。

市民などから寄せられた寄付金は、これまでに1億3283万円にのぼり、避難者への支援や現地の建物の修復などに使われているということです。

軍事侵攻から1年となる24日、京都市の門川市長はキーウのクリチコ市長に向けてメールで親書を送り「一刻も早く平和で安全な日常を取り戻されることを心から祈念するとともに引き続き必要な支援をしていきます」と伝えたということです。

また、京都市役所に設けられた献花台には、ウクライナを象徴するひまわりの花束などが置かれていました。

グループで献花したという50代の男性は「去年も花を手向けましたが、1年もこのようなことが続くとは思っていませんでした。ウクライナが主権がある国の形を保ったまま1日でも早く平和になってほしい」と話していました。

ウクライナからの避難者 平和への祈りささげる

東京 港区の教会ではウクライナからの避難者などが集まり、平和への祈りをささげました。

東京 港区の教会では24日、ウクライナ正教会の呼びかけで日本に避難してきた人やウクライナ出身の人などおよそ50人が集まりました。

この中で、ウクライナ出身のカテリーナ・グジーさんが「早く平和で安全な空になりますように」と話したあと、バンドゥーラという伝統の楽器を弾きながらウクライナ民謡や「翼をください」を歌いました。

最後には、参加者全員で賛美歌を歌ったあと、司祭がウクライナ語で「ウクライナに栄光あれ」と呼びかけていました。

マリウポリから避難している51歳の女性は「75歳だった私の母親は軍事侵攻で持病が悪化して亡くなりました。ただただウクライナの勝利を信じています」と話していました。

駐日大使会見 復興支援に期待示す

ウクライナのコルスンスキー駐日大使は24日、都内で記者会見を開きました。

コルスンスキー駐日大使は、ロシアによる軍事侵攻を振り返り「ロシアはインフラ施設を意図的に攻撃している。エネルギー関連施設や水道施設、それに病院や学校など、市民が普通の生活を送るために必要なあらゆるものを破壊している。とても理解できない」と述べ、多くの市民が犠牲になっているだけでなく、生活にも深刻な影響が出ていると強く非難しました。

また、日本政府の財政や人道支援などに謝意を示した上で、日本に対して「戦争や災害を経験し、ほかの国の復興も支援してきた日本にはすばらしい経験がある」と述べ、これまでに培ってきたノウハウをいかした復興支援に期待を示しました。

一方、5月の広島サミットでゼレンスキー大統領が日本を訪れる可能性については「理論的には訪問できるが、数か月の準備が必要だ。大統領が訪れることは重要だが、戦時下なのでウクライナの状況しだいだ」と述べました。

会見に同席したアメリカのエマニュエル駐日大使は「国連憲章に違反して、国家の主権や境界の完全性を侵害された友人とともにあることが我々に課せられたことだ」と述べ、今後もウクライナへの支援を継続する決意を示しました。

永岡文科相「避難民への学習機会提供など支援」

永岡文部科学大臣は閣議のあとの記者会見で「文部科学省では避難民の子どもの教育機会の確保、日本語教育の体制の整備、支援に対する一元的な問い合わせ窓口の設置などを行ってきた。今月現在では423人のウクライナ避難民を大学で受け入れていて、日本語で研究などに励んでもらっている。引き続き、地方自治体や大学とも連携しながら、ウクライナ避難民に対して学習機会の提供など、きめ細かな支援に取り組んでいく」と述べました。

被爆者などが軍事侵攻に抗議 核兵器廃絶訴え 長崎 平和公園

被爆地・長崎市の平和公園では被爆者などが集会を開き、ロシアの軍事侵攻に抗議するとともに、核兵器廃絶を訴えました。

この抗議集会は、長崎県の被爆者団体の呼びかけで開かれ、被爆者などおよそ250人が参加しました。参加者は「ウクライナに平和を」「ロシアは侵攻やめよ」などと書かれたプラカードや横断幕を掲げてロシアによる軍事侵攻に抗議しました。

続いて「長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会」の川野浩一議長が「どれほど多くの人たちの血が流れ命が失われたことか。我が国は世界唯一の戦争被爆国だ。戦争も核もない平和な世界をつくろう」と訴えました。

そして、長崎に原爆がさく裂した午前11時2分に黙とうをささげました。最後に平和への祈りを込めて声を合わせてうたいました。

集会に参加した「長崎原爆被災者協議会」の田中重光会長は「世界中が悲しんでいる。77年前の日本の姿を思い出す。ロシアは早くウクライナから兵を撤退させて戦争を終わらせるべき」と話していました。

中国外務省 文書発表「対話再開し全面的な停戦実現を」

中国外務省は24日、ロシアによるウクライナ軍事侵攻開始から1年になるのにあわせて「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」と題した文書を発表しました。

文書では「すべての国の主権と独立、領土の一体性は保障されなければならない」と強調したうえで、冷戦思考を捨て、アジアとヨーロッパの平和と安定を守らなければならないとしています。

そして、すべての当事者が対立を激化させず、ロシアとウクライナが互いに歩み寄ることを支持し、直接的な対話をできるかぎり早く再開して全面的な停戦を実現するよう呼びかけました。

また「対話と交渉がウクライナ危機を解決する唯一の実行可能な方法であり、国際社会は話し合いを促すことを堅持すべきだ」と主張しています。

ただ、具体的な仲介策は示されず、これまでの考えを改めて表明した形となりました。

このほか、ロシアのプーチン政権が核戦力の使用も辞さない姿勢を見せるなか、「核兵器の使用や威嚇に反対すべきだ」と強調し、化学兵器の使用や原子力発電所などの平和的な原子力施設への武力攻撃にも反対するとしています。

一方で「一方的な制裁や圧力は問題を解決できないだけでなく新たな問題を生み出す」として欧米などから制裁を受けるロシアに配慮する姿勢も示しました。

浜田防衛相「防衛装備移転三原則」や運用指針見直し検討

ロシアによるウクライナ侵攻から1年となることについて、浜田防衛大臣は、記者会見で「ロシアによる侵略を容認すればインド太平洋を含む他の地域でも力による一方的な現状変更が認められるとの誤ったメッセージを与えかねず、引き続き国際社会と結束し、断固たる決意で対応していく必要がある」と述べました。

その上で、ウクライナ政府からの要請を踏まえ、これまでに防弾チョッキやヘルメットなど殺傷能力のない装備品を提供してきたと説明した上で、引き続き、できる限りの支援に取り組む考えを強調しました。

一方、浜田大臣は防衛装備品の海外移転をめぐり「ウクライナのように国際法に違反する侵略を受けている国への支援などのための重要な政策の手段だ」と指摘し「防衛装備移転三原則」や運用指針の見直しについて検討を進める考えを示しました。

林外相 ロシア友好国に対ロ制裁の重要性伝達

林外務大臣は、日本時間の23日夜から24日午前にかけて、スペインやイタリアなど7か国の外相らと相次いで個別に会談しました。

このうち、ウクライナの隣国で多くの避難民を受け入れているスロバキアのカーチェル外相との会談では、ロシアへの制裁を効果的に実施するとともに、ウクライナの復興支援でも引き続き協力していくことで一致しました。

一方、ロシアとエネルギー面などで関係が深く友好関係にあるハンガリーのシーヤールトー外相との会談では、国際社会が結束して厳しい対ロ制裁と強力なウクライナ支援を継続していくことが重要だという考えを伝えました。

このほか、国連安全保障理事会の今月の議長国、マルタのボルジュ外相との会談では、ともに非常任理事国を務めていることを踏まえ、機能不全が指摘される安保理の改革を含めた国連の機能強化に向けて連携していくことを確認しました。

被爆者団体 共同声明を発表

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から1年となるのにあわせて、広島県内の7つの被爆者団体が共同で声明を発表し、ロシアが核戦力を誇示していることに強く抗議して、改めて核兵器の廃絶を訴えました。

声明は広島県内の7つの被爆者団体の連名で発表され、広島市内で開いた記者会見で読み上げられました。

この中ではロシアのプーチン大統領に対し▽一方的な武力攻撃や無差別の破壊はどんな理由があっても許されないとした上で▽核戦力を誇示し、アメリカとの核軍縮条約の履行を停止すると表明したことを批判し、かつてゴルバチョフ元大統領が広島を訪れて「核戦争に勝者はない」と記帳したことを引き合いに改めて核兵器の廃絶を訴えました。

また、岸田総理大臣に対し、G7サミットの議長国として核軍縮の議論に向けた橋渡し役として力を発揮するよう求めました。

広島県被団協の箕牧智之理事長は「プーチン大統領は核兵器の使用もあると口にしているが、被害は一国だけにとどまらない。被爆者はこの戦いに終止符が打たれることを願っている」と訴えました。

もう1つの県被団協の佐久間邦彦理事長は「私たちは『核を使うな』という運動を続けていくし、日本が平和の先頭に立っていかなければならない」と述べました。

松野官房長官「対ロ制裁とウクライナ支援を継続強化」

松野官房長官は、閣議のあとの記者会見で「ロシアのウクライナ侵略は国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹を揺るがすものだ。力による一方的な現状変更の試みは、世界のいかなる場所であっても決して許してはならない」と述べました。

その上で「今夜にはウクライナのゼレンスキー大統領も招き、岸田総理大臣が『G7首脳テレビ会談』を主催する。侵略が長期化する中、議長国としてG7の結束を強化し、ウクライナとの揺るぎない連帯を示したい。引き続き国際社会と緊密に連携しながら、厳しい対ロ制裁と強力なウクライナ支援を継続、強化していく」と述べました。

ドイツ有力誌「中国企業 自爆型無人機 ロシアへ売却交渉か」

ドイツの有力誌、シュピーゲルは23日、無人機を製造する中国企業が自爆型無人機のロシアへの売却に向けてロシア軍と交渉を進めていると伝えました。記事ではことし4月までにロシア国防省に納入することを念頭に、無人機100機の製造と試験を行うことで合意したとみられるとしています。

この無人機は、最大で重さ50キロの弾頭を搭載することが可能で、ロシアがウクライナの戦場で使用しているとされるイランの自爆型無人機に似ているということです。さらに、この中国企業は、ロシアみずからが、無人機を製造できるよう、部品の納入や技術移転も計画しているとしています。

このほか、記事では中国軍の管轄下にある別の企業が書類を偽造し、ロシアのスホイ27戦闘機などの交換部品の納入を計画していたとしています。

ゼレンスキー大統領「いくつかの地域は極めて危険」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、日本時間の24日朝に公開した動画で「東部は非常に厳しい。つらい。しかしわれわれは持ちこたえるためにあらゆることをしている」と述べ、戦況が厳しさを増していることを明らかにしました。

さらに、ヘルソンなどウクライナ南部については「いくつかの地域は極めて危険だが、われわれの兵士たちは占領者への対応の手段はある」と述べました。

その上で「弾薬と武器の生産と供給に取り組んだ。このような状況でも私たちは潜在的な力がある」と述べ、攻勢を続ける姿勢を強調しました。

国連総会緊急特別会合 ロシア撤退やウクライナ平和の決議採択

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めて1年となるのに合わせ、国連総会では、ロシア軍の即時撤退とウクライナでの永続的な平和などを求める決議案の採決が行われました。

決議案は「武力による威嚇や武力行使による領土の獲得は合法と認められない」とした上で、「国連憲章の原則に基づいてウクライナにおける永続的な平和が可能な限り早期に実現される必要がある」としています。

そしてロシア軍に対し、即時かつ無条件の撤退と、ウクライナの重要インフラ、学校や病院などの民間施設への攻撃の停止などを、求めています。
▽欧米各国や日本など141か国が賛成、
▽ロシアや北朝鮮など7か国が反対、
▽中国やインドなど32か国が棄権し、
棄権と無投票を除く3分の2以上の賛成で決議が採択されました。

この1年間に国連総会でロシアに対する決議が採択されたのは6回目で、賛成した国の数はこれまでで最も多かった143か国とほぼ同じで、ロシアの軍事侵攻に対する各国の批判を反映したものとなりました。

一方で、反対や棄権などに回りロシアへの配慮を示した国もおよそ50か国にのぼり、国際社会の分断も改めて浮き彫りにされました。

プーチン大統領“併合宣言前に負傷の兵士も同様に支援”

ロシアのプーチン大統領は23日、ロシアの祝日「祖国防衛の日」にあたり、首都モスクワにある第2次世界大戦の戦死者を慰霊する「無名戦士の墓」を訪れ、花をささげました。

このあと、プーチン大統領は、去年9月に一方的に併合したとするウクライナ東部や南部の地域で、併合を宣言する前に負傷した兵士についても、ロシアの退役軍人と同様に支援を行うと表明しました。

プーチン大統領は「兵士らは、みずからの祖国、みずからの土地の利益のために戦った人々だ。現在は全員がロシア市民になった。もちろん支援を受けるべきだ」と述べました。

プーチン政権は、ウクライナへの軍事侵攻を「祖国防衛」の戦いとして正当化するとともに、併合したとする地域の支配の既成事実化を進めようとしています。

ウクライナ国立銀行 侵攻1年に合わせ新紙幣発行

ウクライナの中央銀行であるウクライナ国立銀行は、23日、ロシアによる軍事侵攻から1年となるのに合わせて、新たな紙幣を発行することを明らかにしました。

新紙幣は20フリブニャ、日本円でおよそ70円で、3人の兵士がウクライナの国旗を地面に立てる様子が描かれています。

裏側には、テープで縛られた両手が描かれていて、戦争犯罪を行ったロシア兵を表現しているとみられます。

ウクライナ国立銀行によりますと、紙幣のデザインから製造までには8か月間かかったということです。

ウクライナ国立銀行のアンドリー・ピシュニー総裁は「記念紙幣にはこの1年の感情や象徴的なものなどを描いている。人々が紙幣を見ることで、その重要性を理解できる」と話しています。

ウクライナ国立銀行は今後も記念紙幣を発行し、戦争の歴史を記録していくとしています。

G7財務相・中央銀行総裁会議 ウクライナへの支援増額など声明

G20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議がインドで24日から2日間の日程で開かれるのに先行して、日本時間の23日夜、日本が議長国を務めるG7=主要7か国の会議が開かれました。

G7の会議にはウクライナのマルチェンコ財務相もオンラインで参加しました。

採択された共同声明では、ウクライナへの支援とロシアに対する非難をG7が結束して行うことを再確認したとしています。

その上で、ことしのウクライナへの経済的な支援をこれまでの320億ドルから390億ドルに増額し、インフラの復旧や経済の安定、それに自国の防衛などの取り組みにあててもらうとしています。

また、ロシアに対してG7が協調して経済制裁を続けた結果、ロシアが戦争を行う能力を著しく低下させたと評価し、引き続き制裁の効果を見極めた上で、必要があればさらなる行動をとるとしています。

ウクライナ 8006人の市民が死亡(2月15日まで)

国連人権高等弁務官事務所は、軍事侵攻が始まった去年2月24日以降、ことし2月15日までに、確認できただけでも8006人のウクライナ市民が砲撃や空爆などによって死亡したと発表しました。

このうち487人は18歳未満の子どもだということです。
また487人の子どものうち、年齢が確認できたのは441人で、年齢別では、17歳の死者が49人と最も多く、次いで14歳が44人でした。さらに、1歳の赤ちゃんが22人、1歳未満も7人亡くなっています。

地域別では、市民の犠牲は特に東部に多く、
▽ドネツク州で最も多い3810人
▽ハルキウ州で924人
▽ルハンシク州で485人と、
東部の3つの州だけで5000人を超えます。

それ以外では、
▽首都キーウと周辺のキーウ州であわせて1017人
▽南部のヘルソン州で447人などとなっています。

また、けがをした市民はウクライナ全土で1万3287人に上るとしています。

国連人権高等弁務官事務所は、激しい戦闘が続く地域での死傷者の数については、まだ正確に確認がとれていないとして、実際の数は大きく上回るという見方を示しています。

日本に避難 2302人(2月15日時点)

出入国在留管理庁によりますと、ウクライナから日本に避難した人は、ことし2月15日時点で2302人となっています。

性別は、男性が602人、女性が1700人。
年代別では
▽18歳未満が439人
▽18歳以上と61歳未満がそれぞれ1563人
▽61歳以上が300人です。

一方、入国した人のうち、112人がすでに日本から出国しているということです。

モルドバ東部 ロシア “ウクライナが挑発行為準備”と主張

欧米寄りのサンドゥ政権が率いる、ウクライナの隣国モルドバは、ロシアと対立しています。

モルドバの東部で、中央政府の実効支配が及ばず、ロシア軍が駐留する、沿ドニエストル地方について、ロシア国防省は23日、「ウクライナが挑発行為を準備している。ロシア軍から攻撃を受けたとする偽旗(にせはた)作戦をウクライナが計画している」と一方的に主張しました。

これに対し、モルドバ政府は「ロシア側の主張を確認していない」として、ロシア側の主張は信頼できないと否定しました。

また、ウクライナのポドリャク大統領府顧問はメディアに対し「ロシアはモルドバで政治的混乱を起こそうとしている」と批判したということです。

モルドバのサンドゥ政権は、今月13日には、ロシアが工作員を使って政権転覆を企てているとする情報を得たとして、ロシアを非難しています。

ウクライナへの軍事侵攻から1年となるなか、モルドバ政府は、ロシア軍がモルドバにも介入してくるのではないかと警戒を強めています。

エッフェル塔 ウクライナ国旗と同じ色にライトアップ

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって1年となるのにあわせ、フランス・パリのシンボル、エッフェル塔は、ウクライナの国旗と同じ青と黄色のライトに照らされました。

これはウクライナへの連帯を示そうと、パリ市が行ったもので、エッフェル塔のイルミネーションは、23日の午後7時前から青と黄色に変わりました。
ライトアップのセレモニーで演説したパリのイダルゴ市長は「この戦争には侵略者と、侵略された者がいる。侵略者はプーチン大統領のロシアだ。この取り組みで、私たちのウクライナへの支持を世界に示したい」と述べました。

エッフェル塔の周辺にいた観光客は、特別にライトアップされたエッフェル塔を写真に収めていました。

アメリカから観光に訪れた20代の女性は「青と黄色を見てすぐにウクライナの国旗の色だと気付きました。ウクライナへの支援が今後も必要だと思います」と話していました。

オランダから娘と観光に訪れた60代の女性は「ここから遠く離れていない場所でいまも戦争が起きていることを呼び起こす、よい取り組みだと思います」と話していました。

20代の娘は「人間が他の同じ人間をこうして痛めつけていることが 理解できません。この戦争には勝者はいないと思います」と話していました。

ライトアップは、26日まで行われるということです。

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