国連 緊急特別会合始まる 欧米各国 ロシアに圧力かけたい考え

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めてから1年となるのを前に、国連総会では、ロシア軍の即時撤退などを改めて求める決議案を協議する緊急特別会合が始まりました。欧米各国としては賛成多数で決議を採択し、ロシアに圧力をかけたい考えです。

193すべての国連加盟国が参加できる国連総会の緊急特別会合は22日午後、日本時間の23日午前5時すぎからニューヨークの国連本部で始まりました。

林外相 国連総会の緊急特別会合に出席へ

林外務大臣は、国連総会の緊急特別会合に出席し、ウクライナの平和を求める決議案に賛成するよう各国に呼びかけることにしています。

林外務大臣は、日本時間の23日午前、国連本部のあるニューヨークに到着しました。

そして、日本時間の24日未明に国連総会の緊急特別会合で演説し、ウクライナが提出して日本などが共同提案国となっているウクライナの平和を求める決議案に賛成するよう各国に呼びかけることにしています。

決議案では「武力による威嚇や武力行使によって領土を獲得することは認められない」としてロシア軍の即時撤退などを改めて求めています。

ウクライナ情勢をめぐって、国連総会では去年5回、決議が採択されていますが、最も賛成が多かったケースで143か国にのぼった一方、反対や棄権の国が半数近くとなったケースもあり日本は欧米などと連携してできるだけ多くの国の賛成を得ることで国際社会の意思を示したいとしています。

このため、林大臣は会合での演説に加え、各国の外相らと個別に会談するなど働きかけを強める方針です。
緊急特別会合の冒頭、国連のグテーレス事務総長はロシアによる軍事侵攻について「国連憲章と国際法の違反だ。人道的にも人権的にも重大な結果をもたらした」と改めて非難したうえで「戦争は解決策ではない。真の平和は国連憲章と国際法に基づくものでなければならない」と訴えました。

欧米各国や日本などが共同提案した決議案は「武力による威嚇や武力行使による領土の獲得は合法と認められない」としたうえで「ウクライナにおける永続的な平和が可能な限り早期に実現される必要がある」と強調しています。

そして、ロシア軍に対し、即時かつ無条件の撤退を改めて求め、ウクライナの重要インフラ、学校や病院など民間施設への攻撃停止などを求めています。

緊急特別会合は2日間にわたって開かれ、あわせておよそ80か国が演説した後、日本時間の24日午前、決議案の採決が行われる予定で、欧米各国としては賛成多数で採択し、ロシアに圧力をかけたい考えです。

ウクライナ外相「国連憲章や国際法の側に立って」

国連総会の緊急特別会合で22日、ウクライナのクレバ外相が演説し「世界は、非武装の市民の殺害や拷問、無差別の砲撃などロシアによる残虐行為を目の当たりにしてきた」と述べ、改めてロシアを強く非難しました。

その上で、過去の採決でロシアに配慮し棄権にまわった国々を念頭に「さまざまな事情でウクライナ側に立てない国があることは理解している。それならば、国連憲章や国際法の側に立ってほしい。国連憲章を支持していることを言葉と行動で証明する時だ」と述べ、今回の決議案に賛成するよう呼びかけると、議場からは拍手が沸き起こりました。

また、アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使も「われわれは歴史的な決議について話し合うために集まった。平和のため、国連憲章を支持するための採決だ」と訴えました。

一方、ロシアのネベンジャ国連大使は、軍事作戦を改めて正当化した上で「西側は新しい武器を供給することでウクライナ危機をあおっている。決議案は平和的な解決に貢献しない。『ロシアが世界で孤立している』と主張できるよう設計されている」と述べ、決議案には反対すべきだと主張しました。