ロシア外務省は、アメリカがウクライナへの兵器供与など関与を強めているとして、モスクワに駐在するアメリカのトレーシー大使を呼んで抗議したと発表しました。
ロシア外務省によりますと、大使への抗議文では、アメリカによるウクライナ軍への兵器の供与やアメリカがロシア軍などを標的にした攻撃をウクライナ側に指示していると非難しています。
そのうえで「あらゆる分野でロシアとの対立を深めようとするアメリカの現在の方針は逆効果だ。状況を緩和するために、アメリカとNATOの軍と装備を撤収し、ロシアに敵対的な活動をやめることなど対応べきだと指摘した」と主張しています。
トレーシー大使は、モスクワのアメリカ大使館の首席公使や駐アルメニア大使などを歴任し、1月に着任したばかりです。

【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(21日の動き)
ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。
戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる21日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
ロシア 米大使を呼び兵器供与に抗議

ゼレンスキー大統領「中国がロシア支援しないことが重要」

ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、ドイツの有力紙、ウェルトに掲載されたインタビューで、「われわれにとってこの戦争で中国がロシアを支援しないことが重要だ」と訴えました。
この中でゼレンスキー大統領は「中国には味方になってほしいが現時点でそれは難しいと思う」と指摘しました。その上で、「中国がロシアと手を組めば世界大戦が起きる。中国もそれについて認識していると思う」と述べました。
また、中国がロシアに対し、軍事支援を行っている兆候があるかという質問に対しては「特に何もない」と否定しました。
ロシアへの軍事支援をめぐってはアメリカのブリンケン国務長官が中国で外交を統括する王毅 政治局委員と今月18日に会談した際、中国がロシアへの軍事支援を検討しているという懸念が高まっているとして中国側を強くけん制したとアメリカメディアに明らかにしています。
この中でゼレンスキー大統領は「中国には味方になってほしいが現時点でそれは難しいと思う」と指摘しました。その上で、「中国がロシアと手を組めば世界大戦が起きる。中国もそれについて認識していると思う」と述べました。
また、中国がロシアに対し、軍事支援を行っている兆候があるかという質問に対しては「特に何もない」と否定しました。
ロシアへの軍事支援をめぐってはアメリカのブリンケン国務長官が中国で外交を統括する王毅 政治局委員と今月18日に会談した際、中国がロシアへの軍事支援を検討しているという懸念が高まっているとして中国側を強くけん制したとアメリカメディアに明らかにしています。
ロシア・ベラルーシ選手の復帰めぐりIOCに34か国の共同声明発表

イギリス政府は20日、日本やアメリカ、フランスなど34か国が共同で署名した声明を発表しました。
声明では、IOCが1月、ロシアとその同盟関係にあるベラルーシの選手について「国を代表しない中立の立場とすること」などを条件に国際大会への復帰の検討を始めたことに対し、「両国の選手たちは国からの資金で支援されていて中立に競技できるかどうかは深刻な懸念がある。『中立』の詳細なモデルが示されないかぎり、復帰させるべきではない」と指摘しました。
その上で、「両国は、自分たちが始めた戦争を終わらせることで国際スポーツ界にアスリートを復帰させる道のりが開ける」とし、軍事侵攻が続くかぎり、復帰させるべきでないとする立場を強調しました。
一方、IOCは15日、「誰が大会に参加するかを決めるのは政府ではない」などと反発しています。
声明では、IOCが1月、ロシアとその同盟関係にあるベラルーシの選手について「国を代表しない中立の立場とすること」などを条件に国際大会への復帰の検討を始めたことに対し、「両国の選手たちは国からの資金で支援されていて中立に競技できるかどうかは深刻な懸念がある。『中立』の詳細なモデルが示されないかぎり、復帰させるべきではない」と指摘しました。
その上で、「両国は、自分たちが始めた戦争を終わらせることで国際スポーツ界にアスリートを復帰させる道のりが開ける」とし、軍事侵攻が続くかぎり、復帰させるべきでないとする立場を強調しました。
一方、IOCは15日、「誰が大会に参加するかを決めるのは政府ではない」などと反発しています。
バイデン大統領 キーウに約5時間滞在 ポーランドに戻る

キーウでおよそ5時間滞在したバイデン大統領は列車でポーランドに戻り、その後、専用機で日本時間の21日朝、ポーランドの首都ワルシャワに到着しました。
バイデン大統領は21日はワルシャワでポーランドのドゥダ大統領と会談するほか、演説を行って侵攻が長期化する中でも国際秩序を維持するためウクライナへの支援を必要なかぎり続ける姿勢を改めて強調するとみられます。
翌22日にはNATO=北大西洋条約機構の加盟国のうち東欧諸国の首脳らとも会談し、同盟国との結束を確認したい考えです。
バイデン大統領は21日はワルシャワでポーランドのドゥダ大統領と会談するほか、演説を行って侵攻が長期化する中でも国際秩序を維持するためウクライナへの支援を必要なかぎり続ける姿勢を改めて強調するとみられます。
翌22日にはNATO=北大西洋条約機構の加盟国のうち東欧諸国の首脳らとも会談し、同盟国との結束を確認したい考えです。
ゼレンスキー大統領「ことしロシアの侵略に終止符打つ」

ウクライナのゼレンスキー大統領は20日に公開した動画で、「私たちは、ことし、ロシアの侵略に終止符を打つために、あらゆる手段を講じなければならない。必要なのは決意だけだ。そして、きょうアメリカのバイデン大統領からその決意が見えた」と述べ、首都キーウを訪れたバイデン大統領に感謝の意を示しました。
また、アメリカが表明した追加の軍事支援について、「最前線で活躍する仲間を確実に強くする」と述べたうえで、引き続き、国際社会に協力を求めていく姿勢を示しました。
また、アメリカが表明した追加の軍事支援について、「最前線で活躍する仲間を確実に強くする」と述べたうえで、引き続き、国際社会に協力を求めていく姿勢を示しました。
モルドバ新首相 駐留ロシア軍の撤退求める考え示す

ウクライナの隣国モルドバでは、欧米寄りのサンドゥ大統領が率いる政権で、今月16日にドリン・レチャン氏が新たに首相に就任しました。
レチャン氏は就任に先立って16日、議会に向けて演説を行い、引き続き、EU=ヨーロッパ連合への加盟を求めていくとしたうえで「モルドバは防衛力を高め、自国を守るための人的、技術的能力に投資しなければならない」と述べ、国防力の強化に取り組む考えを示しました。
そのうえで、モルドバからの一方的な分離独立を宣言し、ロシア軍が駐留を続ける東部の沿ドニエストル地方をめぐり、「ロシア軍が撤退し非武装化が実現できるよう歩み続けることが重要だ」と述べ、撤退を求めていく考えを強調しました。
これに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は20日、「このような発言は非常に慎重になるよう助言したい。モルドバとの関係はすでに緊迫している」と述べ、両国関係をさらに悪化させると警告しました。
レチャン氏は就任に先立って16日、議会に向けて演説を行い、引き続き、EU=ヨーロッパ連合への加盟を求めていくとしたうえで「モルドバは防衛力を高め、自国を守るための人的、技術的能力に投資しなければならない」と述べ、国防力の強化に取り組む考えを示しました。
そのうえで、モルドバからの一方的な分離独立を宣言し、ロシア軍が駐留を続ける東部の沿ドニエストル地方をめぐり、「ロシア軍が撤退し非武装化が実現できるよう歩み続けることが重要だ」と述べ、撤退を求めていく考えを強調しました。
これに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は20日、「このような発言は非常に慎重になるよう助言したい。モルドバとの関係はすでに緊迫している」と述べ、両国関係をさらに悪化させると警告しました。
バイデン大統領とゼレンスキー大統領が会談
アメリカのバイデン大統領は20日、去年2月にロシアによる軍事侵攻が始まって以降、ウクライナの首都キーウを初めて訪問し、ゼレンスキー大統領と会談しました。

バイデン大統領は会談で、「ウクライナの独立と主権、領土の一体性に対する揺るぎない支持を示すためにここに来た」と述べたうえで、砲弾などおよそ5億ドル、日本円にしておよそ670億円相当の追加の軍事支援を伝えたほか、新たな制裁を近く発表することも明らかにしました。
アメリカ政府は事前の発表で、バイデン大統領が20日にワシントン郊外の空軍基地を出発し、ポーランドを訪問するとしていましたが実際は前日の19日に秘密裏に出発し、予告なくウクライナに入りました。
バイデン政権の高官によりますと、政権内のごく一部の関係者が数か月かけて周到に準備した上で側近や医療チームなど最小限の人員だけが随行したということです。
アメリカ政府は事前の発表で、バイデン大統領が20日にワシントン郊外の空軍基地を出発し、ポーランドを訪問するとしていましたが実際は前日の19日に秘密裏に出発し、予告なくウクライナに入りました。
バイデン政権の高官によりますと、政権内のごく一部の関係者が数か月かけて周到に準備した上で側近や医療チームなど最小限の人員だけが随行したということです。

ホワイトハウスによりますと、バイデン大統領は19日夜にポーランド南東部の街に大統領専用機で到着したあと、列車に乗り換えてウクライナに入り、およそ10時間かけて首都キーウまで移動しました。
そして、キーウにおよそ5時間滞在したあと、20日昼すぎに再び列車でキーウを出発し、20日夜、日本時間の21日の朝早く、国境に近いポーランドの街に戻ったということです。
そして、キーウにおよそ5時間滞在したあと、20日昼すぎに再び列車でキーウを出発し、20日夜、日本時間の21日の朝早く、国境に近いポーランドの街に戻ったということです。
キーウ市民 米大統領の訪問歓迎や支援期待の声

アメリカのバイデン大統領が、ウクライナの首都キーウを、事前の予告なしに訪問したことについて、キーウの市民からは、訪問を歓迎する声やアメリカからのさらなる支援を期待する声が聞かれました。
このうち18歳の男性は、「アメリカ大統領のウクライナに対する支持は私たちにとって重要です。戦争が始まった当初から、彼の訪問を待ち望んでいました。今後重要になるのが武器の供与で、今回の訪問はそれを確実にするものだと思います」と話していました。
50代の女性は、「大統領の訪問は、アメリカがウクライナを見捨てないということの証明です。私たちは戦闘機が供与されることを期待しています」と話していました。
また20代の女性は「アメリカの支援は、ウクライナがこの戦争を勝ち抜くための保証です。この訪問は前線に大きな影響を与えるでしょう。きょうは記念すべき日です」と話していました。
このうち18歳の男性は、「アメリカ大統領のウクライナに対する支持は私たちにとって重要です。戦争が始まった当初から、彼の訪問を待ち望んでいました。今後重要になるのが武器の供与で、今回の訪問はそれを確実にするものだと思います」と話していました。
50代の女性は、「大統領の訪問は、アメリカがウクライナを見捨てないということの証明です。私たちは戦闘機が供与されることを期待しています」と話していました。
また20代の女性は「アメリカの支援は、ウクライナがこの戦争を勝ち抜くための保証です。この訪問は前線に大きな影響を与えるでしょう。きょうは記念すべき日です」と話していました。
EUも米大統領訪問を歓迎

EU=ヨーロッパ連合の外相にあたるボレル上級代表は、20日、ベルギーで行われたEU外相会議のあと記者会見し、アメリカのバイデン大統領がウクライナを訪れたことについて「ヨーロッパとアメリカの結束と、ともにウクライナを支援し続けるという、われわれの決意を明確に示すものだ」と述べ歓迎しました。
またEUとしてもウクライナへの軍事支援として、すみやかに弾薬を供与できるよう来月行われる国防相会議で具体的な方策を話し合う考えを示しました。
さらに総額110億ユーロ、日本円で1兆5000億円を超える規模の輸出禁止措置などを盛り込んだロシアに対する追加制裁について、軍事侵攻から1年にあたる今月24日までに各国が合意するとの見通しを示しました。
またEUとしてもウクライナへの軍事支援として、すみやかに弾薬を供与できるよう来月行われる国防相会議で具体的な方策を話し合う考えを示しました。
さらに総額110億ユーロ、日本円で1兆5000億円を超える規模の輸出禁止措置などを盛り込んだロシアに対する追加制裁について、軍事侵攻から1年にあたる今月24日までに各国が合意するとの見通しを示しました。
ロシア プーチン大統領 侵攻開始1年を前に年次教書演説へ

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始して24日で1年となるのを前に、ロシア軍は掌握をねらう東部を中心に攻撃を激化させている中、プーチン大統領は日本時間の21日夕方、モスクワ中心部のクレムリン近くの建物で、年次教書演説を行います。
演説は、大統領が年に1度、議会や政府の代表を前に内政や外交の基本方針を示すもので、去年は、ロシアがウクライナ侵攻を続ける中で延期されたため、侵攻開始以降初めてとなります。
演説は、大統領が年に1度、議会や政府の代表を前に内政や外交の基本方針を示すもので、去年は、ロシアがウクライナ侵攻を続ける中で延期されたため、侵攻開始以降初めてとなります。

ロシアの国営通信社は、大統領府のペスコフ報道官が19日「国民の生活は今やこの軍事作戦を中心にまわっている。当然、大統領はこのことに多大な注意を払うはずだ」と述べたと伝え、演説ではウクライナへの侵攻をめぐって多くの時間が割かれるという見方を示しました。
侵攻開始から1年となるのを前にプーチン大統領は、長期化する軍事侵攻を改めて正当化し、国民に理解を求めたいねらいがあるとみられ、どのような主張を展開するかが焦点になります。
侵攻開始から1年となるのを前にプーチン大統領は、長期化する軍事侵攻を改めて正当化し、国民に理解を求めたいねらいがあるとみられ、どのような主張を展開するかが焦点になります。
ユネスコ “ウクライナ国内で計240の文化財が被害”

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻開始から1年となるのを前に、ユネスコ=国連教育科学文化機関は、ウクライナ国内では合わせて240の文化財や文化的施設が侵攻による被害を受けたと発表しました。
内訳は、
▽教会など宗教関連施設が105、
▽歴史的建造物などが86、
▽記念碑が19、
▽博物館が18、
▽図書館が12となっています。
内訳は、
▽教会など宗教関連施設が105、
▽歴史的建造物などが86、
▽記念碑が19、
▽博物館が18、
▽図書館が12となっています。

地域別では、
▽激しい戦闘が続く東部ドネツク州が最も多い66で、スビャトホルシク大修道院などが含まれています。
▽その次は東部ハルキウ州の54で、ウクライナの哲学者で詩人でもある人物の展示があるスコボロダ文学記念博物館などが含まれています。
さらに、
▽北部チェルニヒウ州は16で、18世紀に建てられた聖カテリーナ教会などが含まれています。
ユネスコによりますと、首都キーウにある聖ソフィア大聖堂など、ユネスコの世界遺産に登録されている施設では、被害は確認されていないということで、引き続き、ウクライナ国内の文化財の保護に力を入れたいとしています。
▽激しい戦闘が続く東部ドネツク州が最も多い66で、スビャトホルシク大修道院などが含まれています。
▽その次は東部ハルキウ州の54で、ウクライナの哲学者で詩人でもある人物の展示があるスコボロダ文学記念博物館などが含まれています。
さらに、
▽北部チェルニヒウ州は16で、18世紀に建てられた聖カテリーナ教会などが含まれています。
ユネスコによりますと、首都キーウにある聖ソフィア大聖堂など、ユネスコの世界遺産に登録されている施設では、被害は確認されていないということで、引き続き、ウクライナ国内の文化財の保護に力を入れたいとしています。
米政権高官「訪問前にロシア側に通告」

アメリカのバイデン大統領が、ウクライナの首都キーウを事前の予告なしに訪問したことについて、政権高官は数か月におよぶ周到な準備のうえで、最小限の人員が随行して実行したもので、事前にロシア側に訪問について通告していたと明らかにしました。
バイデン政権で安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は、日本時間の20日夜、電話で会見し、バイデン大統領のウクライナ訪問について、かつてのアフガニスタンなどと異なり、アメリカ軍が駐留していないため「極めて困難な移動だった」と指摘しました。
そのうえで、「バイデン大統領はリスクを取ってでも、現地を訪れる選択をした。歴史的で、過去に例のない訪問だ」と強調しました。
さらに、出発の数時間前にロシア側に通告していたと明らかにしました。
バイデン政権で安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は、日本時間の20日夜、電話で会見し、バイデン大統領のウクライナ訪問について、かつてのアフガニスタンなどと異なり、アメリカ軍が駐留していないため「極めて困難な移動だった」と指摘しました。
そのうえで、「バイデン大統領はリスクを取ってでも、現地を訪れる選択をした。歴史的で、過去に例のない訪問だ」と強調しました。
さらに、出発の数時間前にロシア側に通告していたと明らかにしました。