バイデン大統領 ウクライナ訪問 ロシア侵攻後初【20日の動き】

アメリカのホワイトハウスはバイデン大統領がウクライナの首都キーウを事前の予告なしに訪問し、ゼレンスキー大統領と会談したと発表しました。
去年2月、ロシアによる軍事侵攻が始まって以降、バイデン大統領がウクライナを訪問するのはこれが初めてです。

アメリカのホワイトハウスはバイデン大統領が20日、ウクライナの首都キーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談したと発表しました。

この中でバイデン大統領は、「ウクライナの独立と主権、領土の一体性に対する揺るぎない支持を示すためにここに来た。軍事侵攻から1年たってもウクライナも民主主義も倒れていない」と述べたうえで、5億ドルの追加の軍事支援を行うことを伝えたということです。

また、ロシアを支援する企業などに対し、新たな制裁を近く発表することも明らかにしました。

バイデン大統領としては、ロシアによる軍事侵攻から今月24日で1年になるのを前にウクライナを訪問することで結束を確認するとともに、軍事支援などの継続を改めて強調した形です。

ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は先週の記者会見で(17日)バイデン大統領のウクライナ訪問について「その予定はない」と述べていて、今回の訪問は事前の予告なしに行われました。

バイデン大統領は、アメリカ東部時間の19日午前4時すぎ、日本時間の19日午後6時すぎに大統領専用機でワシントン郊外の空軍基地を出発し、キーウには現地時間の20日午前8時、日本時間の20日午後3時に到着したということです。

ただ、どのような経路でキーウに入ったのかについては現時点では明らかにされていません。

サリバン大統領補佐官「事前にロシア側に訪問について通告」

アメリカのバイデン大統領がウクライナの首都キーウを事前の予告なしに訪問したことについて政権高官は、数か月におよぶ周到な準備のうえで、最小限の人員が随行して実行したもので、事前にロシア側に訪問について通告していたと明らかにしました。

バイデン政権で安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は20日朝、日本時間の20日夜、電話で会見しました。

この中でサリバン補佐官は、バイデン大統領のウクライナ訪問について、かつてのアフガニスタンなどと異なり、アメリカ軍が駐留していないため、「極めて困難な移動だった」と指摘しました。

そのうえで、「バイデン大統領はリスクを取ってでも、現地を訪れる選択をした。歴史的で、過去に例のない訪問だ」と強調しました。

そして、今回の訪問は、政権内のごく一部の関係者が数か月かけて周到に準備したうえで、側近や医療チームなど最小限の人員だけが随行して実行したと説明しました。

さらに出発の数時間前にロシア側に通告していたと明らかにしました。

またキーウへの移動手段などについて、サリバン補佐官は安全上の理由から、現時点では明らかにできないと述べました。

バイデン大統領 「防空警報」の中での訪問

ウクライナでは、首都キーウを含む各地で、現地時間の午前11時半ごろから午後1時ごろまで、防空警報が発令されていました。

ロイター通信は、防空警報が鳴り響く中、バイデン大統領とゼレンスキー大統領がキーウにある建物から出てきて2人で歩く様子を動画で伝えています。

ゼレンスキー大統領 “米大統領訪問は極めて重要なシグナル”

ウクライナ大統領府によりますと、ゼレンスキー大統領は20日、首都キーウでバイデン大統領と会談したということです。

この中でゼレンスキー大統領は、バイデン大統領の訪問はウクライナとウクライナの国民にとって極めて重要なシグナルだと指摘したということです。

また、ゼレンスキー大統領は「ウクライナを支援する最初の電話はホワイトハウスからのものだった。あなたのリーダーシップに感謝します。また超党派の支援やアメリカ議会の支援に感謝します」と述べたということです。

さらに、バイデン大統領とアメリカ社会全体がロシアによる侵攻の当初からウクライナとともにあったと強調したとしています。

そしてゼレンスキー大統領は、「われわれがしなくてはいけないことは、戦争を止め、成功し、ウクライナをさらに強くして、いかにことし勝利をおさめるかだ」と述べたということです。

ゼレンスキー大統領はSNSで歓迎示す

ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、SNSで「バイデン大統領、ようこそキーウへ。大統領の訪問はウクライナ国民への支持を表明する非常に重要なサインだ」とのメッセージを、アメリカのバイデン大統領と握手している写真とともに掲載して、ウクライナの首都キーウを訪問したことを歓迎しました。

首都キーウの中心部で厳重な警備

ウクライナの首都キーウの中心部では、20日幹線道路沿いに多くの警察官の姿が見られ、ところどころで交通規制が行われていました。

特にウクライナ外務省や高級ホテルがある一角では警察や軍による厳しい規制が行われ、近づくことができない状況になっていました。

ふだんは多くの市民などが行き交う中心部ですが、この日はものものしい雰囲気に包まれていました。

ウクライナメディア 訪問した様子だとする動画を伝える

ウクライナのメディア「UNIAN」は、バイデン大統領がウクライナの首都キーウを訪問した様子だとする動画を伝えています。

動画のなかでバイデン大統領は厳重な警備のなか、サングラスをかけてゼレンスキー大統領とともに歩いている様子が確認できます。