国際

【データで見る】ウクライナ軍事侵攻1年 増え続ける犠牲者

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始してまもなく1年となります。

犠牲者の数は増え続け、ウクライナでは少なくとも市民7199人が死亡したとされています。

また、ウクライナから国外へ逃れている人は800万人を超えていて、侵攻の長期化を懸念する声も出ています。

最新のデータや現地の状況などをまとめました。

【市民の死者数】 少なくとも7199人 うち子どもは438人

ウクライナ市民の犠牲者の数は軍事侵攻がはじまって以来、増え続けています。
国連人権高等弁務官事務所は、軍事侵攻が始まって今月12日までにウクライナでは少なくとも市民7199人が死亡したとしています。このうち438人は18歳未満の子どもだということです。
また、7199人のうち、3割近く(27%)にあたる1964人は遺体の損傷がひどく性別が判別できないとしています。

地域別では、いまも激しい戦闘が続く東部のドネツク州とルハンシク州であわせて4189人、首都キーウのほかハルキウやヘルソンなど20の州で合わせて3010人の死亡が確認されているということです。

また、けがをした人は1万1756人に上るとしています。

激しい戦闘 正確な被害実態は把握できず

犠牲者のほとんどは砲撃やミサイル、それに空爆などの広い範囲に影響を及ぼす攻撃によるものだと指摘しています。
一方で国連人権高等弁務官事務所は、激しい戦闘が行われたり、今も戦闘が継続していたりする地域、例えばドネツク州のマリウポリのほかルハンシク州のリシチャンシクやセベロドネツクなどでは正確な被害の実態は把握できていないとしていて、実際の死傷者は発表した人数を大きく上回るという見方を示しています。

各国からも同じような指摘が出ていて、アメリカ軍の制服組トップ、ミリー統合参謀本部議長は去年11月、ウクライナでの市民の死傷者は4万人に上るとみられると指摘しています。

【軍の死傷者数】 ロシア側は4万人を超えるとの見方も

兵士や戦闘員の死傷者はウクライナ側、ロシア側ともに多数に上っています。
ウクライナのポドリャク大統領府顧問は去年12月、政府の推定としてウクライナ軍の死者数は1万人から1万3000人で、けが人はさらに多いとしています。

一方、ロシア軍の死者数は、去年9月、ロシアのショイグ国防相が5937人と明らかにして以降、死者数全体に関する発表はなく、正確な実態は分かっていません。

ただ、ウクライナの戦況を分析しているイギリス国防省は今月17日、ロシア軍の兵士や民間軍事会社の戦闘員の死傷者数が合わせて17万5000人から20万人に上っているとみられるという見方を示しました。このうち死者数は4万人から6万人とみられるとしていて、去年9月以降、その数が大幅に増加していると指摘しています。

【国外避難民】800万人超

ウクライナから国外に逃れ、避難民となっている人の数は、UNHCR=国連難民高等弁務官事務所によりますと今月15日の時点で807万人を超え、軍事侵攻から1年がたとうとするいまも連日多くの人たちがウクライナから国外へ避難しています。
UNHCRが各国政府の発表などをもとにしたまとめによりますと、各国が受け入れているウクライナからの避難民の数は、主な国で
▽ポーランドがおよそ156万人
▽ドイツがおよそ105万人
▽チェコがおよそ48万人
▽イタリアがおよそ16万人などとなっています。

また、ロシアにはおよそ285万人が避難しているとしています。

ウクライナから日本に避難した人は、出入国在留管理庁によりますと今月17日時点で2302人となっています。

また、UNHCRによりますと、侵攻開始後、ウクライナから国境を越えて周辺国に移動した人の数は、今月14日の時点でおよそ1860万人にのぼっています。

一方で、周辺国からウクライナに入国した人の数はおよそ1029万人となっていて、国外に逃れてから戦況を見てウクライナに帰国した人も少なくないとみられます。

最多の避難民受け入れるポーランドでは

ウクライナとの国境に近いポーランド南東部、プシェミシルの駅には、ウクライナから避難してきた人を乗せた列車が毎日到着しています。
今月13日午後、首都キーウからの列車が到着すると、大きな荷物を持った家族連れなどが大勢降りてきて待合室で体を休めていました。

「もう耐えられない」

東部のハルキウから家族で避難してきたという女性は「2日前、街で大規模な攻撃がありました。私は幼い孫娘がいるのでもう耐えられないと思い、避難しました。戦争が終わるまでポーランドにいると思います」と話していました。
プシェミシルには避難してきた人たちが一時的に滞在するためのシェルターが設置されています。このうち建物の一角に設けられたシェルターには30人以上がいて、スタッフが食事をふるまったり医薬品などを提供したりして支援していました。

ロシア軍による激しい攻撃が行われている東部のバフムトから1人で避難してきたという女性は「非常に激しい砲撃でたくさんの人が亡くなり、多くの家が破壊されました。家を離れるのはとてもつらいことでした」と涙を流して話していました。

シェルターを運営しているイゴール・ホロキフさんによりますと、プシェミシルにはいまも1日に最大5000人がウクライナから到着しているといいます。

「長期化すれば運営資金の確保が難しくなる」

ホロキフさんは「ロシアの支配地域から避難する人が増え、帰る場所がないという人たちが非常に多くなった。避難者の心身の状態はどんどん悪くなっていてみんな疲れ切っている」と述べ、軍事侵攻の長期化に伴って悲惨な経験をする人が増え、なかでも戦闘が激しかった前線付近からの避難者は心に深い傷を負っていると指摘しました。

そのうえでホロキフさんは「はじめはこの戦争がすぐに終わると考えられていたが、いまはそうではない。戦争があと数か月続けばポーランドでこれ以上シェルターを提供できるかどうかが非常に大きな課題になる」と述べました。

ホロキフさんによりますと、軍事侵攻がさらに長期化すればすでに不足している宿泊施設や運営資金の確保がいっそう難しくなるということで、日本を含めた国際社会に対して資金面での支援を訴えていました。

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