北朝鮮発射のミサイル「火星17型」か 防衛省 警戒・監視を継続

18日、北朝鮮が発射した弾道ミサイルは、ICBM=大陸間弾道ミサイル級の「火星17型」の可能性が指摘されています。防衛省はミサイルの詳しい分析を進めるとともに、北朝鮮が今後、予定されている米韓合同軍事演習などに強く反発していることなどから、警戒と監視を続けています。

防衛省によりますと、北朝鮮が18日に発射した弾道ミサイルは、およそ66分飛行したあと、北海道渡島大島の西方およそ200キロの日本のEEZ=排他的経済水域内の日本海に落下したと推定されています。

最高高度はおよそ5700キロ、飛行距離はおよそ900キロで、ICBM=大陸間弾道ミサイル級とみられるということです。

北朝鮮は去年11月18日にICBM級の「火星17型」とみられる弾道ミサイルを発射していて、そのときの最高高度や飛行時間と似ていることなどから、今回も同型の可能性があると、複数の防衛省関係者が指摘しています。

防衛省は、今回のミサイルについて、弾頭の重量などによっては、射程は1万4000キロを超え、アメリカ全土が射程に含まれる可能性があるとしていて、詳しい分析を進めています。

また、アメリカと韓国が今月22日に予定している図上演習や来月の合同軍事演習などに北朝鮮が強く反発していることなどから、警戒と監視を続けています。

韓国 連合ニュース “新型ミサイルの可能性も”

韓国の通信社 連合ニュースは、飛行距離や高度から、発射されたのはICBM級の「火星17型」ではないかとの見方を伝えています。
また、今月8日の北朝鮮の軍事パレードで登場した固体燃料式のICBM級の可能性が指摘される新型ミサイルも念頭に、軍が分析を進めていると報じています。

韓国政府は18日夜、緊急のNSC=国家安全保障会議を開き「北では深刻な食糧難で餓死者が続出している状況だ。住民の人権を無視して核・ミサイル開発などに執着している」と非難しました。

その上で今月22日に米韓両国の国防当局が行う北朝鮮の核の脅威を想定した図上演習や来月中旬からの定例の米韓合同軍事演習を通じて北朝鮮への対応能力を強化していくと強調しました。

防衛省 F15戦闘機からの映像を公開

防衛省は北朝鮮の弾道ミサイルが落下したと推定されている18日午後6時27分ごろ、北海道西方の日本海上空を飛行していた航空自衛隊のF15戦闘機から撮影した映像を公開しました。

映像には白く光る物体が落下し、オレンジ色に光ったあと消えて見えなくなる様子が映っています。

防衛省によりますと、撮影された時間や場所などから北朝鮮が発射した弾道ミサイルに関連していると推定されるとしています。

日米韓の外相が会談 連携を確認

日本時間の19日未明には、日本、アメリカ、韓国の外相会談がドイツのミュンヘンで急きょ行われました。
会談で林外務大臣は「今回発射されたミサイルはアメリカ全土が射程に含まれるとみられる。国際社会全体への挑発をエスカレートさせる暴挙であり断じて容認できない」と述べました。

またアメリカのブリンケン国務長官が「ほかの国々にも、北朝鮮を非難し効果的な制裁を科すよう求める」と述べたほか、韓国のパク・チン外相は「北朝鮮が挑発行為によって得るものはない。ただちに非核化に向けた交渉に復帰すべきだ」と指摘しました。

そして3人の外相は今回の発射を強く非難し、北朝鮮が前例のない頻度と方法で弾道ミサイルなどを発射していることは地域の安全保障にとって重大で差し迫った脅威であり、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦だという認識を改めて共有しました。

その上で、国連安保理決議に沿った北朝鮮の完全な非核化に向けて地域の抑止力強化や安保理での対応などで、引き続き3か国で緊密に連携していくことを確認しました。

アメリカ ホワイトハウス「明確な違反」

アメリカ・ホワイトハウスは18日、声明を発表し「今回の発射は複数の国連安保理決議に対する明確な違反だ。アメリカの国民や領土、それに同盟国に差し迫った脅威を与えるものではないと判断しているが、この地域の安全保障環境を不安定化させるリスクと緊張を不必要に高めるものだ」として強く非難しました。

その上で「アメリカは、自国と日本、それに韓国の安全を確保するため、あらゆる必要な措置をとる」と強調しました。