【随時更新】ロシア ウクライナに軍事侵攻(19日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる19日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

米シンクタンク「ロシアが各地でインフラ攻撃」

ウクライナ国防省は18日、東部で激しい戦闘が行われ、さらにロシア軍が原子力発電所のある西部フメリニツキー州で民間のインフラ施設などをミサイル攻撃したと発表しました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は18日、「ロシア軍は各地でインフラ施設を標的とした新たなミサイル攻撃を実施した」と指摘しました。

そのうえで「ロシアで影響力があるメディアが、ウクライナの原発につながる電力インフラを標的にした攻撃を実施して原発を緊急停止させるべきだと主張している」と指摘し、ロシア軍の攻撃が原発の停止を狙った可能性もあるとの見方を示しています。

イギリス国防省「プーチン大統領 演説で動員に言及か」

ロシアのプーチン大統領は侵攻から1年を前にした21日に、内政や外交の基本方針を示す年次教書演説を行う予定で、ウクライナへの侵攻についてどのような主張を展開するかが焦点となっています。

戦況を分析するイギリス国防省は18日、ロシア議会のグループが、プーチン大統領に報告書を提出し、このなかでは、動員兵や家族に対する社会支援についても触れている可能性が高いと指摘しました。

そして、「クレムリンはますます、ウクライナ戦争から国民を切り離すことが困難になっている。世論調査では、軍事作戦に参加した友人や親戚がいるという人が52%に上っている」と指摘しプーチン大統領は21日の演説でも、国民に大きな負担となっている動員をめぐる問題について言及する可能性があると分析しています。

ウクライナ軍「キーウ上空で6機の気球撃墜」

ウクライナ軍は今月15日に首都キーウの上空を飛行する6機の気球を相次いで発見して軍が撃墜したと発表し、ロシア側が飛ばしたものだとみて警戒を強めています。

これについて戦況を分析するイギリス国防省は19日、キーウ上空だけでなく、東部ドニプロペトロウシク州でも今月12日にウクライナ軍が気球を目撃しているとしたほか、隣国のモルドバでは今月14日に領空が一時的に閉鎖され、気球の形をした物体が報告されたことから、ウクライナ領空からロシアの気球が漂流した可能性があると指摘しています。

イギリス国防省は「気球はロシア製の可能性が高い。▼ウクライナの防空システムの情報を入手するとともに、▼ウクライナの貴重な地対空ミサイルと弾薬を消費させるためのロシアによる新たな戦術の可能性が高い」と分析しています。

ロシア軍 ドネツク州でウクライナ軍に打撃と主張

ロシア軍はウクライナ東部で激しい攻撃を繰り返し、ロシア国防省は18日、ドネツク州などでウクライナ軍に打撃を与え、ハルキウ州では州の東部にある集落を掌握したと主張しました。

ゼレンスキー大統領はSNSに「ロシアによる市民への威嚇が続いている。この24時間で、10の州が攻撃され、死傷者が出ている」と投稿し、ロシアを非難しました。

ロシア軍としては、ウクライナへの軍事侵攻を始めてから今月24日で1年になるのを前に、一定の成果を得たい思惑もあるとみられ、東部などでの戦闘は今後いっそう激しさを増すと懸念されています。

ウクライナ クレバ外相「自由のための戦い 諦めない」

ウクライナのクレバ外相は18日、ミュンヘン安全保障会議のパネルディスカッションに参加し「われわれにとって最も重要な安全保障は、パートナーの国々がウクライナの勝利を固く、無条件に信じることだ。これが政策決定の根底にあればそのほかのことはおのずと決まるだろう」と述べました。

そして追加の軍事支援として弾薬と火砲、それに戦車が必要だと訴えました。

その上で「どんなことが起きようと、われわれは自由のための戦いを諦めるわけにはいかない」とロシアに徹底抗戦する姿勢を改めて示し、会場からは大きな拍手が沸き起こりました。

林外相とウクライナ・クレバ外相が会談

会談は、ドイツのミュンヘンで日本時間の18日夜、およそ20分間行われました。

この中で、林外務大臣はG7議長国として、また国連安全保障理事会の非常任理事国として、法の支配に基づく国際秩序を守り抜く決意を示しました。

その上で、国際社会が引き続き結束してロシアへの制裁とウクライナ支援を継続できるよう役割を果たしていく考えを伝えました。

さらに、日本はウクライナと周辺国などに対して総額でおよそ15億ドルの支援を順次実施し、越冬支援に加え地雷や不発弾の対策などでも協力していることを説明しました。

これに対し、クレバ外相は謝意を示した上で、岸田総理大臣のウクライナ訪問の実現に期待を示しました。

そして、両外相は、ウクライナの平和と安定の早期実現に向けて協力を強化し、緊密に連携していくことで一致しました。

ドイツ ミュンヘンでウクライナ支援求める集会

ドイツ南部のミュンヘンでは、18日の安全保障会議にあわせて、ウクライナへの支援の拡大を求める大規模な集会が開かれました。

集会はドイツで暮らすウクライナ系の住民が中心となって開いたもので、会議の会場から2キロほど離れた広場におよそ1000人が集まり「あらゆる支援を」とか「子どもたちを殺害するのをやめろ」といったプラカードを掲げていました。

そして「空を閉じろ」と連呼し、ロシア軍による空からの攻撃を阻止するため、欧米側に対して、ウクライナ上空に飛行禁止区域を設定し、軍用機が監視にあたるよう求めました。

また参加者の多くは欧米に対して、ウクライナ軍への戦闘機の供与に踏み切るよう訴えていました。

集会に参加した27歳の男性は「各国はウクライナがロシアに抵抗するために必要な支援を継続し、強化すべきだ」と話していました。

また8年前、ウクライナからドイツに移住した23歳の女性は「各国はウクライナとともに戦ってほしい。そしてロシアによる大虐殺を阻止し、ウクライナが生き残るためのあらゆる支援をしてほしい。そのためには戦闘機が必要だ」と訴えていました。

英スナク首相「軍事支援の倍増を」各国に呼びかけ

イギリスのスナク首相は18日、ミュンヘン安全保障会議で演説し「ウクライナは戦争に勝つため、より多くの弾薬、装甲車、それに防空システムを必要としている。今こそ軍事支援を倍増させるべきだ」と各国に呼びかけました。

そして、イギリスは向こう数か月間で、去年1年間に匹敵する規模の軍事支援を行う方針を示しました。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領が求めている戦闘機の供与については「ウクライナがすぐに使える航空機を提供しようという国を支援する用意がある」と述べるにとどまりました。

その上で「ウクライナが長期にわたってみずからの安全を守れるようにする必要がある。そのためにイギリスはウクライナ軍のパイロットに最新鋭の戦闘機の操縦訓練をしている」と強調しました。

さらにスナク首相は国際秩序の維持に向け、ICC=国際刑事裁判所の捜査を通じてロシア軍の戦争犯罪の責任を追及することやウクライナの復興のため6月にロンドンで開かれる国際会議などでロシアの賠償責任について検討することを各国に呼びかけました。