アメリカ軍 撃墜した中国気球の残骸 回収完了を発表

アメリカ軍は17日、アメリカ本土を横断したあと今月4日に南部サウスカロライナ州の沖合で撃墜した中国の気球について、残骸の回収作業を完了したと発表しました。

アメリカ軍によりますと作業は16日に完了し、回収された残骸は南部バージニア州にあるFBI=連邦捜査局の施設に輸送されるということです。

ホワイトハウスは、電子機器の部品などを含むほぼすべての残骸を回収できたとしていて、今後、気球がどのような能力を持っていたかなど、分析を進めることにしています。

アメリカ軍による中国の気球の撃墜をめぐり中国は「過剰な反応だ」と反発を強めていて、米中の間で応酬が続いています。

一方、アメリカ軍は17日、今月10日から12日にかけて撃墜した3つの飛行物体のうち、アラスカ州の上空と五大湖のひとつヒューロン湖の上空で撃墜した2つについて捜索活動を終了したと発表しました。

捜索を行ったものの残骸は見つからなかったということです。

アメリカ政府はこれらの飛行物体について、残骸を回収した中国の気球とは異なり、中国による情報収集活動であることを示す情報はなく、民間による商用や研究の目的だった可能性もあるという見方を示しています。

米高官「中国と軍どうしの連絡取れず」対話続ける考えを強調

アメリカ本土の上空を飛行した中国の気球をめぐって米中の間で激しい応酬が続く中、ホワイトハウスの高官は「軍どうしの連絡は取れていない」と明らかにしました。一方で外交ルートでは連絡を取っていると指摘し、中国との対話を続けていきたいという考えを改めて強調しました。

アメリカと中国は、アメリカ本土の上空を飛行した中国の気球をめぐり、ブリンケン国務長官が今月上旬に予定していた中国への訪問を延期したのに対し、中国側はアメリカ軍が気球を撃墜したことに強く反発するなど激しい応酬が続いています。

こうした中、ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は17日、会見で「残念ながら軍どうしの連絡は取れていない」と述べ、不測の事態などに備え米中両国の軍の間で直接連絡を取り合うことができるルートを通じた意思の疎通ができていないと明らかにしました。

一方でカービー調整官は、軍どうしの連絡について「修復を望んでいる」と述べるとともに外交ルートでは中国側と連絡を取っていると指摘しました。

そのうえで「バイデン大統領も適切な時期がくれば習近平国家主席と話したいと考えている」と述べ、意図しない衝突を避けるためにも中国との対話を続けていきたいという考えを改めて強調しました。

中国 外交統括「アメリカのヒステリック」と強く非難

アメリカ本土の上空を飛行した中国の気球を巡って米中の間で激しい応酬が続く中、中国で外交を統括する王毅 政治局委員は、「アメリカのヒステリックともいえるやり方は中国に対する偏見と無知がでたらめなレベルに達していることを示している」と強く非難しました。

中国外務省によりますと、外交を統括する王毅政治局委員は、17日、訪問先のドイツでパキスタンの外相と会談しました。

この中で王氏は、アメリカ軍がアメリカ本土を横断した中国の気球を撃墜したことについて「武力を乱用し大げさに宣伝するアメリカのヒステリックともいえるやり方は中国に対する偏見と無知がでたらめなレベルに達していることを示している」と述べ、強く非難しました。

そのうえで「中国はアメリカが問題の解決に向けて誠意を示し国内の政治的な必要性から荒唐無稽なことを作り出すことをやめるよう要求する」と強調し、アメリカをけん制しました。