全長と幅は5メートル60センチ、高さは1メートル70センチで、プロペラが16枚備えられた2人乗りで操縦者は乗らず、あらかじめプログラムされたルートを自動で運航します。
試験飛行は、周辺への人の立ち入りを禁止するなどの安全対策をとったうえで行われ、団体の関係者2人が乗り込むと、機体は高度30メートルまで垂直に離陸しました。
海上で円を描くように345メートルにわたり、毎秒10メートルの速さで飛行するよう計画されていて、再び離着陸地点の上空に戻って垂直に着陸するまでおよそ3分半飛行しました。
国内では、2020年に日本のメーカーが、試験場内で2メートルほどの高さまで浮く有人での試験飛行を公開していますが、国土交通省によりますと、国の許可が必要な屋外で「空飛ぶクルマ」が人を乗せて飛行するのは、今回が初めてだということです。
搭乗した「MASC」の桐野宏司理事長は「搭乗するときは、不安と喜びが混ざった宇宙飛行士になったような気分でした。音は少し感じたが、振動はなく、乗り心地は車に乗っているような感じでした。さらに開発やビジネスが加速していくと期待しています」と話していました。
「空飛ぶクルマ」人を乗せ高度30mまで浮上の試験飛行 大分
次世代の移動手段として開発が進む「空飛ぶクルマ」。17日、大分市で人を乗せた試験飛行が行われました。
国土交通省によりますと、許可が必要な屋外で有人の試験飛行が行われるのは初めてだということです。
「空飛ぶクルマ」はドローンなどの技術を応用し「電動」や「垂直離着陸」が特徴とされる次世代の身近な乗り物として期待されていて、世界各地のメーカーによる開発競争が激しくなっています。
17日は、岡山県の中小企業などで作る一般社団法人「MASC」が「空飛ぶクルマ」の活用に期待を寄せる大分市の協力のもと、市内の海岸で乗り心地などを確認する試験飛行を行いました。
使用されたのは、団体が所有する中国のメーカーが製造した「EH216」という機体です。

試験飛行を見た人は…

試験飛行の見学に訪れた近くの小学校の5年生の男子児童は「車が好きなので『空飛ぶクルマ』を見ると興奮します。プロペラが1秒間に何回、回っているのかなという感じだったので『未来の技術ってこんな感じなのかな』と思いました。絶対乗ってみたいです」と話していました。
また、大分市都市交通対策課の橋本陽嗣課長は「大分市も公共交通の維持が非常に課題となっている。『空飛ぶクルマ』のような新しい乗り物の可能性を探り、市民の足の確保に向けた取り組みを進めていきたい」と話していました。
また、大分市都市交通対策課の橋本陽嗣課長は「大分市も公共交通の維持が非常に課題となっている。『空飛ぶクルマ』のような新しい乗り物の可能性を探り、市民の足の確保に向けた取り組みを進めていきたい」と話していました。
世界各地のメーカーが開発競争する「空飛ぶクルマ」

ドローンなどの技術を応用して人や物を乗せて飛行する「空飛ぶクルマ」。
明確な定義はないものの「eVTOL」とも呼ばれる「電動」や「垂直離着陸」などが特徴とされる航空機です。
従来の航空機やヘリコプターと比べて、運航費用や騒音、二酸化炭素の排出量を抑えられるとされ、離島や過疎地での移動手段の確保や、都市部の渋滞などの解決につながる身近な乗り物として期待されています。
民間の調査会社「矢野経済研究所」は、2050年には機体のみの市場規模で世界で120兆円を超える産業に成長すると予測していて、世界各地のメーカーによる開発競争が激しくなっています。
明確な定義はないものの「eVTOL」とも呼ばれる「電動」や「垂直離着陸」などが特徴とされる航空機です。
従来の航空機やヘリコプターと比べて、運航費用や騒音、二酸化炭素の排出量を抑えられるとされ、離島や過疎地での移動手段の確保や、都市部の渋滞などの解決につながる身近な乗り物として期待されています。
民間の調査会社「矢野経済研究所」は、2050年には機体のみの市場規模で世界で120兆円を超える産業に成長すると予測していて、世界各地のメーカーによる開発競争が激しくなっています。

日本のメーカーでは、トヨタ自動車の出身者などが創業した「SkyDrive」が2020年8月に、試験場内で2メートルほどの高さまで浮く有人での試験飛行を公開。
おととし10月には、ドローンを大型化したようなプロペラが12枚ある形の都市内での移動を想定した2人乗りの機体について、国土交通省に型式証明の申請を行いました。
国内ではホンダなども機体の開発を進めていることを明らかにしています。
おととし10月には、ドローンを大型化したようなプロペラが12枚ある形の都市内での移動を想定した2人乗りの機体について、国土交通省に型式証明の申請を行いました。
国内ではホンダなども機体の開発を進めていることを明らかにしています。

一方、アメリカのベンチャー企業「ジョビー・アビエーション」は、プロペラと翼の両方を備え、比較的、長距離の移動手段となることを想定した5人乗りの機体を開発しています。
日本国内での運航を目指しANAホールディングスと提携していて、去年10月には国土交通省に型式証明の申請を行っています。
日本国内での運航を目指しANAホールディングスと提携していて、去年10月には国土交通省に型式証明の申請を行っています。

来年、オリンピック・パラリンピックが開かれるパリで、商用運航を目指しているのがドイツの「ボロコプター」です。
すでに、シンガポールなどで人を乗せた試験飛行を行っているほか、顔認証で手続きができる離着陸場のコンセプトモデルを公開していて、日本航空と提携して日本での事業への参画を検討しています。
このほか、今回の試験飛行で使用された機体を製造した中国の「イーハン」は、中国国内などで自動運航の機体の試験飛行を3万回以上繰り返しているということで、今後、観光地での遊覧飛行に導入したい考えです。
すでに、シンガポールなどで人を乗せた試験飛行を行っているほか、顔認証で手続きができる離着陸場のコンセプトモデルを公開していて、日本航空と提携して日本での事業への参画を検討しています。
このほか、今回の試験飛行で使用された機体を製造した中国の「イーハン」は、中国国内などで自動運航の機体の試験飛行を3万回以上繰り返しているということで、今後、観光地での遊覧飛行に導入したい考えです。
日本も「空の移動革命」の取り組みを検討
世界で開発競争が加速する「空飛ぶクルマ」。
日本では「空の移動革命」と銘打って、国や事業者などで作る協議会が導入を進めるための取り組みを検討しています。
この中では、機体の安全性や、離着陸場の強度や充電施設、操縦者や整備者のライセンスのほか、運航に関する制度の在り方などが話し合われていて、来月にはその方向性が示される見通しです。
協議会は、再来年の大阪・関西万博での人を乗せた商用運航を目標として掲げていて、その後、都市部や地方での移動手段や救急など、活用の幅を広げていくとしています。
一方で「空飛ぶクルマ」をめぐっては、安全性の向上などに向けた技術開発や利便性の高い場所での離着陸場の整備のほか、社会の理解が進むかなどが普及の課題になると指摘されています。
日本では「空の移動革命」と銘打って、国や事業者などで作る協議会が導入を進めるための取り組みを検討しています。
この中では、機体の安全性や、離着陸場の強度や充電施設、操縦者や整備者のライセンスのほか、運航に関する制度の在り方などが話し合われていて、来月にはその方向性が示される見通しです。
協議会は、再来年の大阪・関西万博での人を乗せた商用運航を目標として掲げていて、その後、都市部や地方での移動手段や救急など、活用の幅を広げていくとしています。
一方で「空飛ぶクルマ」をめぐっては、安全性の向上などに向けた技術開発や利便性の高い場所での離着陸場の整備のほか、社会の理解が進むかなどが普及の課題になると指摘されています。
識者「将来的には大衆化された空の乗り物になりえる」

協議会のメンバーで、慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究所の中野冠顧問は「『空飛ぶクルマ』は、将来的に地上のタクシーと同じように乗れたり、自家用として使えたりする『大衆化された空の乗り物』になりえる。部品の製造や離着陸場の建設などの周辺産業も幅広く、ビジネスとしても自動車産業に近づくくらいの大きな市場ができる可能性がある」と話しています。
また導入に向けた課題については「まずは、安全性を確保できると証明して、国のお墨付きを得られるかが重要だ。そのうえで飛行が繰り返されて実績が積まれれば、社会の理解も進んでいくのではないか」と指摘していました。
また導入に向けた課題については「まずは、安全性を確保できると証明して、国のお墨付きを得られるかが重要だ。そのうえで飛行が繰り返されて実績が積まれれば、社会の理解も進んでいくのではないか」と指摘していました。