【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(17日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる17日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

英国防省 “ロシアの死傷者数 予備役動員以降に大幅増”

戦況を分析しているイギリス国防省は17日、去年2月の侵攻開始以来、ロシア側の死傷者数があわせて17万5000人から20万人に上っているとみられるという見方を示しました。このうち、死者数は4万人から6万人とみられるとしています。

プーチン政権が予備役の動員に踏み切った去年9月以降、その数が大幅に増加していると指摘した上で、現場の医療設備が初歩的なものしかないため、死亡する割合が高くなっていると分析しています。

また「ロシアの民間軍事会社ワグネルは多くの招集兵を配置している。こうした兵士の死傷率は50%に上っているとみられる」という見方も示しました。

ウクライナの国防次官は15日にワグネルの一部の部隊では死傷率が80%に上っているという見方も示していて、ウクライナ東部で激しい戦闘を続けているロシア側に多くの死傷者が出ている実態をうかがわせています。

ウクライナ高官 “ロシアが大規模ミサイル攻撃を準備”との見方

ウクライナで安全保障政策を担当する国家安全保障・国防会議のダニロフ書記は16日、地元メディアで、ロシアが今月23日から24日にかけて大規模なミサイル攻撃を準備しているという見方を示しました。

ダニロフ書記は「われわれは100発を超えるミサイル攻撃がどのようなものかを、すでに理解している」として、迎撃する準備を整えていると強調しました。

一方、ロシアは東部ドネツク州のウクライナ側の拠点の一つ、バフムトに向かって猛攻撃を仕掛けているとみられ、ウクライナのベレシチュク副首相は16日、バフムトでロシア軍の砲撃によって住民5人が死亡、9人がケガをしたとSNSで明らかにしました。

この中で「6000人もの市民が今も残っていることに驚いている」と書き込み、一刻も早い避難を呼びかけていて、戦況が緊迫している様子をうかがわせます。

ウクライナのゼレンスキー大統領は16日に公開した動画で「前線の状況を維持し、敵のいかなる激しい攻撃にも備えることが直近の優先事項だ」と述べ、一層警戒を強めています。

ゼレンスキー大統領 自国の領土を譲り渡す可能性を否定

ゼレンスキー大統領は16日、イギリスの公共放送BBCのインタビューの中で「領土問題で妥協すれば国は弱体化する」と述べ、ロシア側が一方的に併合を宣言した4つの州を含め自国の領土を譲り渡す可能性を否定しました。

ウクライナ各地でロシアのミサイル攻撃 侵攻1年前に攻撃徹底か

ウクライナ各地で16日、ロシアによるミサイル攻撃があり、燃料施設などインフラへの被害も報告されています。軍事侵攻の開始からまもなく1年になるのを前にロシアは徹底して攻撃を仕掛けているものとみられます。

ウクライナ軍参謀本部によりますとロシア軍は16日、爆撃機や艦艇などから巡航ミサイルや対艦ミサイル合わせて36発を発射し、ウクライナ側はこのうち16発を撃ち落としたということです。

東部ドニプロペトロウシク州の知事によりますと、この攻撃で住宅が被害を受け、少なくとも女性1人が死亡、8人がケガをしたということです。

ウクライナ報道官 ロシアの対艦ミサイルで被害と非難

ウクライナ空軍のイグナト報道官は地元メディアで、対艦ミサイル「Kh-22」が中部ポルタワ州のクレメンチュクにある燃料施設に着弾し被害が出たとしてロシアを非難しました。

これについてロシア国防省は16日、ポルタワ州でウクライナ軍の燃料用の貯蔵所を破壊したと主張しました。

一方、ウクライナのマリャル国防次官は15日、SNSで「東部では戦況が非常に緊迫している」としながらロシアの民間軍事会社ワグネルの一部の部隊では死傷者数が80%に上っているという見方を示しました。
東部ドネツク州のウクライナ側の拠点のひとつバフムトの近郊でロシア側との攻防を続けているウクライナ軍の部隊の報道官は16日、ロイター通信に「ロシアは死傷者を戦場に放置したまま、次から次へと兵士を送り込んでくる」などと述べていて、ロシアは、軍事侵攻の開始から今月24日で1年になるのを前に、多くの死傷者を出す中でも徹底して攻撃を仕掛けているものとみられます。

ゼレンスキー大統領 ベルリン国際映画祭の開幕セレモニーで演説

ウクライナのゼレンスキー大統領は、16日、ベルリン国際映画祭の開幕のセレモニーにオンラインで参加し、映画監督や俳優などに向けて演説しました。

このなかでゼレンスキー大統領は「ウクライナでは1年近く国民が殺され続けている。このような時に芸術は沈黙を貫き、悪を助けることになるのか。私たちは領土を解放するためにあらゆることをする。そのための支援はかけがえのないものだ」などと述べ、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナへの支援を改めて訴えました。

ベラルーシ ルカシェンコ大統領がプーチン大統領と会談へ

ベラルーシのルカシェンコ大統領は16日、首都ミンスクでNHKなど外国メディアの取材に応じました。

この中でロシアの首都モスクワを訪問し、17日にプーチン大統領と会談すると明らかにしました。

ルカシェンコ大統領は「安全保障問題や経済について議論する」としています。

プーチン大統領との対面での首脳会談は去年12月以来で、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から今月24日で1年となるのを前に、軍事面や経済面のさらなる協力について話し合うものとみられます。
また、記者団から、ベラルーシが今後、ウクライナへの軍事侵攻に参戦する可能性について聞かれたのに対し、ルカシェンコ大統領は、「ベラルーシへの侵略行為がないかぎり、ウクライナの領土に軍隊を送るつもりはない」と述べました。

一方、ロシア大統領府も16日、プーチン大統領がルカシェンコ大統領と会談を行うと発表し、「両国の戦略的パートナーシップと同盟関係のさらなる発展など重要な問題が話し合われる」としています。