A.失業給付は働く意思と能力がありながら失業の状態にあり、仕事を探している人が安定した生活を送るために支払われます。
財源は労働者と使用者が負担する保険料や国費でまかなわれています。
失業給付を受けられる離職の区分は、倒産や解雇などの「会社都合離職」と転職やキャリアアップなどの「自己都合離職」とがあり、給付の内容などが異なります。

岸田首相が見直す意向 そもそも自己都合離職の失業給付とは
岸田総理大臣が、15日の政府の会議で、見直す意向を明らかにした、自己都合で離職した場合の失業給付のあり方。
目指すのは「労働移動の円滑化」だとしています。
長く労働市場の課題とされ、離職を強いられるのではないかという懸念も根強い中、今回の見直しで状況は変わるのでしょうか。
そもそも「失業給付」の仕組みはどうなっているのか。
「自己都合での離職」とはどういうことなのか。
そうした疑問をQ&Aでまとめました。
Q.失業給付ってどんな仕組み?

Q.どれぐらいもらえる?(給付額・期間)

A.給付額は直近6か月の平均賃金のおおむね5割から8割となっています。
給付期間は、本人の年齢や雇用保険を支払っていた期間、離職した理由などによって変わります。
このうち受け取りが始まる時期については、「会社都合離職」と「自己都合離職」で大きく異なります。
給付期間は、本人の年齢や雇用保険を支払っていた期間、離職した理由などによって変わります。
このうち受け取りが始まる時期については、「会社都合離職」と「自己都合離職」で大きく異なります。

「会社都合離職」の場合はハローワークで手続きをして、受給資格の決定を受けてから7日間を経て受け取れます。
一方、転職やキャリアアップなどの「自己都合離職」を理由とした場合は、7日間に加え、原則、2か月間の「給付制限」が設けられ、その後でないと受け取れません。
こうした差が設けられているのは、就職と離職と繰り返し、意図的に失業給付を受給することなどを防ぐためです。
このほか給付の期間にも差があり、「会社都合離職」の場合は原則90日から330日、「自己都合離職」の場合は原則90日から150日となっています。
一方、転職やキャリアアップなどの「自己都合離職」を理由とした場合は、7日間に加え、原則、2か月間の「給付制限」が設けられ、その後でないと受け取れません。
こうした差が設けられているのは、就職と離職と繰り返し、意図的に失業給付を受給することなどを防ぐためです。
このほか給付の期間にも差があり、「会社都合離職」の場合は原則90日から330日、「自己都合離職」の場合は原則90日から150日となっています。
Q.なぜ「自己都合退職」について見直すという話が出てきたの?

A.15日の政府の「新しい資本主義実現会議」では、岸田総理大臣は「労働移動を円滑化するため」だとしました。
停滞している経済を活性化するため、成長分野や人手不足の業界への人材のスムーズな移動、つまり転職を促す狙いがあるとみられます。
こうした見直しは過去にも行われています。
3年前まで「給付制限」は原則3か月間でしたが、安心して転職の活動を行うことができるよう環境を整えたいとして1か月間、短縮され、いまの2か月間となりました。
停滞している経済を活性化するため、成長分野や人手不足の業界への人材のスムーズな移動、つまり転職を促す狙いがあるとみられます。
こうした見直しは過去にも行われています。
3年前まで「給付制限」は原則3か月間でしたが、安心して転職の活動を行うことができるよう環境を整えたいとして1か月間、短縮され、いまの2か月間となりました。
転職サービスの担当者は
自己都合での退職の際、失業給付のあり方を見直す意向について、転職の支援を行っている企業の担当者に聞きました。

転職サービス「doda」 大浦征也編集長
「失業給付のあり方を見直すことには賛成だが、それが直接、労働移動の円滑化につながるかは少し懐疑的だ。
理想は失業なき労働移動だと思うので、失業期間が短くなっても損をしないような仕組みにまで踏み込まないと労働移動が円滑に進むことにつながらないのではないか。例えば失業期間を置かずに転職しても、給付にあたるものをもらえたり、失業給付にあたる財源をリスキリングに回したりすることなどで、そうした思い切った政策をとれれば労働移動が進む可能性がある」
「失業給付のあり方を見直すことには賛成だが、それが直接、労働移動の円滑化につながるかは少し懐疑的だ。
理想は失業なき労働移動だと思うので、失業期間が短くなっても損をしないような仕組みにまで踏み込まないと労働移動が円滑に進むことにつながらないのではないか。例えば失業期間を置かずに転職しても、給付にあたるものをもらえたり、失業給付にあたる財源をリスキリングに回したりすることなどで、そうした思い切った政策をとれれば労働移動が進む可能性がある」
”自己都合の退職”押しつけの現状も

一方で、自己都合の離職については、その取扱いを巡る相談も相次いでいます。
労働団体・連合東京によりますと、会社から退職を促されたり、「来なくていい」と言われたりしたものの、退職届には「一身上の都合」と書くように言われるなど、「実際は会社の都合での退職なのに、自己都合での退職にするよう言われた」といった相談もあるということです。
労働団体・連合東京によりますと、会社から退職を促されたり、「来なくていい」と言われたりしたものの、退職届には「一身上の都合」と書くように言われるなど、「実際は会社の都合での退職なのに、自己都合での退職にするよう言われた」といった相談もあるということです。

連合東京 斉藤千秋事務局長
「相談の中で多いのは、『会社の都合なのに、会社側の負担が少ない自己都合でやめさせられてしまう』といったものだ。政府にはこうした現状を踏まえた上で失業給付のあり方を検討してほしい。
自己都合でやめる人への給付を手厚くするだけでなく、やめることを決めた人が次の仕事を探せる環境をもっと充実させることも必要だと感じている」
「相談の中で多いのは、『会社の都合なのに、会社側の負担が少ない自己都合でやめさせられてしまう』といったものだ。政府にはこうした現状を踏まえた上で失業給付のあり方を検討してほしい。
自己都合でやめる人への給付を手厚くするだけでなく、やめることを決めた人が次の仕事を探せる環境をもっと充実させることも必要だと感じている」