防衛省 武器使用のルール見直す方針 中国の偵察用気球めぐり

中国の偵察用気球への対応をめぐり、防衛省は今後、日本の領空に侵入した場合に備えて、現在は領空侵犯に対する措置として正当防衛や緊急避難に該当する場合に限られている武器使用のルールを見直す方針を示しました。

気球は国際法上、航空機に位置づけられ、外国の気球が許可なく日本の領空に侵入した場合は領空侵犯に当たるとして自衛隊法で必要な措置を講じることができるとしていて、浜田防衛大臣は撃墜することも排除しない考えを示しています。

15日朝に開かれた自民党の会合では、防衛省が14日に過去に日本上空で目撃された気球型の飛行物体を中国の偵察用気球だと強く推定されると発表したことをめぐり「撃墜するべきだ」とか「無人機に対する武器使用の検討を進めるべきだ」といった意見が相次ぎました。

これに対し防衛省は、今後、日本の領空に侵入した場合に備えて、現在は領空侵犯に対する措置として正当防衛や緊急避難に該当する場合に限られている武器使用のルールを見直す方針を示しました。

自民党は防衛省の方針を踏まえ、今後、中国の偵察用気球への武器使用のあり方を協議していくことにしています。

日米 中国への課題 連携して対応で一致

外務省の森事務次官は、アメリカのシャーマン国務副長官と会談し、アメリカ軍が、中国の気球を撃墜したことについて説明を受け、中国に関係するさまざまな課題に緊密に連携して対応していくことで一致しました。

外務省の森事務次官とアメリカのシャーマン国務副長官の会談は、日本時間の15日未明、ワシントンでおよそ1時間行われました。

この中でシャーマン副長官は、アメリカ軍が、先に南部サウスカロライナ州の沖合の上空で中国の気球を撃墜したことについて、自国の主権や国民の安全を守るため、慎重かつ合法的に対処したと説明しました。

これに対し森次官は、アメリカの立場を支持するとしたうえで、過去に日本上空で目撃された気球型の飛行物体について防衛省が中国の偵察用の気球だと推定されると発表したことも念頭に、中国が十分な説明責任を果たすことが重要だという認識を伝えました。

そして、両氏は中国に関係するさまざまな課題に緊密に連携して対応していくことで一致しました。

また、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、引き続きG7=主要7か国をはじめとする国際社会とともにロシアへの制裁とウクライナ支援を続けていく方針でも一致したほか、5月のG7広島サミットの成功に向けて緊密に連携していくことを改めて確認しました。

松野官房長官「中国政府に事実関係の確認求める」

松野官房長官は午前の記者会見で、「外交ルートを通じて中国政府に事実関係の確認を求め、今後このような事態が生じないよう強く求めるとともに、外国の無人偵察用気球による領空侵犯は断じて受け入れられないと申し入れた。今後とも外国政府の無人偵察用気球を含め、同盟国や同志国と緊密に連携しつつ、これまで以上に情報収集、警戒監視に努めていく」と述べました。

また、記者団が2020年に宮城などで白い球体が目撃された際に、「安全保障に影響はない」としていた当時の河野防衛大臣の対応が妥当だったか質問したのに対し「飛行物体の所属を含めた詳細について所要の分析を経る必要があることや、国民の生命や財産に直ちに危険が及ぶような事象が確認されなかったことを受けてのものだと承知している」と述べました。