名古屋 東山動植物園 “トラがオリから脱走”想定し訓練

名古屋市の東山動植物園で飼育しているトラがオリから脱走したと想定した訓練が行われました。

訓練は東山動植物園の裏手にある山が大雨で崩落してトラがオリから脱走したという想定で行われ、職員およそ100人が参加しました。

職員は着ぐるみを着たトラ役の職員を見つけると、無線で連絡を取り合いながら「トラが脱走しました。安全確保のために建物の中に避難してください」などと放送で呼びかけました。
軽トラックと網を使って追い込もうとしましたが、トラは網に向かって突進したり滑り台の下に隠れたりしたほか、想定になかった通路にも逃げ回りました。
職員たちは網や棒を使って少しずつ狭いスペースに追い込み、最後は2丁の麻酔銃を使って訓練開始からおよそ40分後に捕獲しました。

トラの着ぐるみを着たのはメダカ担当の飼育員だったということです。
東山総合公園動物園管理課の今西鉄也主幹は「おおまかな検討は事前にしていたが、トラが予定外のコースを通って苦労した。課題が確認できたので、今後の対応に生かしていきたい」と話していました。

アメリカの動物園では逃げ出したトラが人を襲ったケースも

海外では、動物園で飼育されていたトラがオリから逃げ出したケースがあります。

アメリカ カリフォルニア州の動物園では、2007年に飼育していたアムールトラがオリから逃げ出し、襲われた1人が死亡、2人が重傷を負いました。

日本では1936年に東京の上野動物園で、飼育されていたクロヒョウが脱走しました。

その後、捕獲され、けが人はいませんでしたが、脱走に備えた訓練が定期的に行われるきっかけになりました。

最近では2012年に北海道旭川市の旭山動物園でフラミンゴが、2019年には宮崎市の動物園でチンパンジーが逃げ出しました。

東山動植物園でも2009年と2012年に、園からサルが脱走しました。

いずれも1週間以内に捕獲され、けが人はいませんでしたが、捜索が連日行われました。

園ではカバやオオカミなど毎年、脱走する動物の想定を変えて訓練しています。