ロシア軍が100発以上のミサイル攻撃 侵攻1年を前に戦闘激化か

ウクライナ国防省はロシア軍が10日、ウクライナ各地のインフラ施設などを標的に100発以上のミサイルで攻撃を行ったと発表し、軍事侵攻から1年となるのを前にロシア軍が戦闘を激化させているとみられます。

ウクライナ国防省は11日、SNSで「ロシア軍はウクライナのインフラ施設などに向けて106発のミサイルを発射し新たな激しい攻撃を行った」と発表しました。

ウクライナ軍はこのうち61発を迎撃したということですが、民間のインフラが標的になっているとしてロシア側を非難しました。

首都キーウのクリチコ市長は10日、SNSに「ロシア軍のミサイルの残骸で車や住宅の屋根に被害が出た」と投稿したほか、東部ドニプロペトロウシク州の知事も11日「夜間にロシアの無人機による攻撃が続き重要インフラも攻撃を受けた」としています。

ウクライナ側は、ロシア軍が今月24日で侵攻から1年となるのを前に大規模な攻撃を仕掛けてくると警戒を続けていて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は8日に、ロシア軍が東部ルハンシク州の西部に戦車や空てい部隊などの3つの師団を投入し、攻撃のペースが増していると分析しています。

また、ロシア軍が掌握をねらう東部ドネツク州のウクライナ側の拠点バフムトについて、ウクライナの軍事専門家、イーホル・カバネンコ氏は10日、NHKのインタビューに対し「地理的に非常に重要で、バフムトをおさえれば、東部のハルキウや南部のザポリージャにも軍を展開できるため、ロシア側は集中的に攻撃し続けている」と述べました。

そして「侵攻から1年となる24日に向けて、国内向けに戦果をアピールするため、犠牲を顧みず激しい攻撃を続けている。ウクライナ軍は今後、反転攻勢を仕掛けるため、バフムトから一時撤退する可能性もある」と述べ、バフムトがロシア軍によって一時的に掌握される可能性にも言及しました。

軍事専門家「バフムトに集中的な攻撃」

ウクライナの軍事専門家、イーホル・カバネンコ氏が10日、首都キーウでNHKのインタビューに応じ、東部ドネツク州にあるウクライナ側の拠点バフムトについて「地理的に非常に重要で、バフムトを押さえれば、ザポリージャやハルキウにも展開できるため、ロシア側は集中的に攻撃し続けている。ウクライナ軍は現在守備に回り、踏みとどまっている」と述べました。

そして「ロシア軍はバフムトで1日に1000人以上の兵士を失ったこともあるが、それでも侵攻から1年となる今月24日に向けて、戦果を国内にアピールするため、犠牲を顧みず激しい攻撃を続けている。ウクライナ軍は今後、反転攻勢を仕掛けるため、バフムトから一時撤退する可能性もある」と述べ、バフムトがロシア軍によって一時的に掌握される可能性にも言及しました。

また、ロシア軍が今後、攻撃の対象を首都キーウを含むほかの地域にも拡大し、ミサイルや無人機を使った攻撃を強めるおそれがあると指摘しました。

一方で、ゼレンスキー大統領がイギリスやフランスなどを歴訪したことについては「今回の訪問はヨーロッパとの軍事的協力を継続させ、さらに強力な兵器の供与に向けて重要な訪問だった」と評価しました。

そのうえで「実際に欧米諸国から供与された武器を実戦で使うまでには、もう少し時間が必要だ。ウクライナ側が攻勢に出るのは春になるだろう」と述べました。

来週には、ウクライナへの軍事支援について欧米各国が話し合う会合がベルギーで開かれる予定で、カバネンコ氏はこの会合でウクライナ側が、戦闘機や長距離ミサイルなど追加の兵器供与を求めるという見通しを示しています。