“中国軍の気球製造に関与” 米が6つの企業団体を禁輸リストに

中国の気球がアメリカ本土を横断したことを受けてアメリカのバイデン政権は、中国軍の偵察で使う気球の製造などに関わっているとして、6つの企業と団体を事実上の禁輸リストに追加すると発表しました。

アメリカ軍は今月4日、アメリカ本土を横断していた中国の気球を南部サウスカロライナ州の沖合の上空で撃墜し、FBI=連邦捜査局が海中などから回収した残骸の分析を進めています。

バイデン政権は、この気球は中国軍の偵察用で、軍と直接関係がある企業が製造に関わっているとして、10日、合わせて6つの企業と団体を事実上の禁輸リストに追加すると発表しました。

禁輸リストはアメリカの国家安全保障と外交政策に反する活動に携わる企業や団体が対象となるもので、今回追加された6つの企業と団体は、いずれも中国軍が偵察や情報収集で使用する気球や飛行船の製造など、航空宇宙計画の分野で中国軍を支援しているとしています。

禁輸リストを所管する商務省の高官は「中国の気球の飛行はアメリカの主権を侵害し、国家安全保障を脅かすもので、今回の措置はわれわれの技術へのアクセスを遮断することを明確に示している」というコメントを発表しました。

禁輸リストに追加の企業と団体は

アメリカのバイデン政権が事実上の禁輸リストに追加すると発表した中国の6つの企業と団体は、いずれも航空や宇宙関連の事業を手がけているとみられます。

複数の中国メディアによりますと、このうち首都・北京にある企業は、2015年に中国で初めて、高さおよそ10万メートルまでの宇宙空間に近い高度を飛行できる軍民共用の飛行船を北京市内の大学などと共同で開発したということです。当時の報道では、飛行船には地上と通信したり、地上を観測したりする機能が備わっていて、離着陸や飛行を遠隔で操作できると伝えています。

また、内陸部・湖南省にある研究所は、ホームページで、中国軍と関わりの深い国有企業グループ「中国電子科技集団」の傘下にあり、太陽光パネルなどの研究・開発をしていると説明しています。製造された太陽光パネルは主に軍事分野で飛行船や航空機、それに衛星などに利用されているとしています。

このほか、南部・広東省広州にある企業はホームページで、軍事用と民間用のドローンを開発しているとしていて、国境警備などの分野で活用されていると紹介しています。