放送中に反戦訴えたロシア国営テレビ元職員 脱出の経緯語る

去年、ロシア国営テレビのニュース番組の放送中、スタジオに入って反戦を訴えた元職員の女性がフランスのパリで記者会見し、当局に身柄を拘束される恐怖からロシアから脱出した経緯を語りました。

ロシア国営テレビの元職員、マリーナ・オフシャンニコワさんは、在職中の去年3月、ニュース番組の放送中にスタジオに入り、「戦争反対」と書いた紙を掲げてロシアによるウクライナ侵攻を批判し、ロシア当局から指名手配されていました。

オフシャンニコワさんは10日、パリに本部がある国際的なジャーナリストの団体「国境なき記者団」で記者会見し、ロシアから脱出した経緯を語りました。

この中でオフシャンニコワさんは、当局に身柄を拘束される恐怖から去年秋、捜査機関の追跡が手薄になると判断した休日の夜間を選んで、ロシアからの脱出に踏み切ったと明らかにしました。

そして、車を7回乗り換え、警戒にあたる国境警備隊の車の光におびえながら、星の光を頼りに徒歩で国境を越えたと述べ、「結果として運が良かった」と語りました。

また、ロシアのメディアの状況について「ウクライナのブチャやマリウポリで起きたことはフェイクだとされている。ロシアの人々はプロパガンダ情報があふれた、墓の中の住人だ」と述べ、当局による厳しい情報統制が続いていると指摘しました。

そして「終わりが見えない戦闘が続き、ロシアの犯罪行為はどんどん残忍で攻撃的になっている。この戦争がウクライナの完全なる勝利で終わらないとロシアの未来もない」と述べ国際社会が団結してウクライナを支援するよう呼びかけました。