【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(11日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる11日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア国防省「エネルギー供給施設に激しい攻撃」

ロシア国防省は11日、SNSで「ロシア軍は10日、上空や海上、それに地上からミサイルや無人機を使ってウクライナの軍事産業や輸送システムにエネルギーを供給する重要施設への激しい攻撃を行った。標的にした施設にすべて命中した」と発表しました。

この攻撃について、ウクライナ国防省は民間のインフラが標的になっていることを非難したうえで発射された106発のミサイルについては61発を迎撃したと発表しています。

また、ウクライナ国営の電力会社「ウクルエネルゴ」は11日、SNSへの投稿で火力発電所や送電網が無人機による攻撃を受けたことを明らかにしたうえで、「迅速に予備電源に接続し緊急停電は回避できた。攻撃により電力インフラは厳しい状況だが制御可能な状態にある」としています。

ボルシチでウクライナ兵士に英気を

ロシア軍と戦う兵士たちに少しでも英気を養ってもらおうと首都キーウでは、市民のボランティアが伝統の煮込みスープ「ボルシチ」などを即席で食べられるよう加工して、前線に届ける活動が侵攻直後から始まりました。

キーウでは今月9日、およそ20人のボランティアが集まり、「ボルシチ」の食材となる根菜のビーツやじゃがいも、それに鶏肉などを乾燥させたものを、塩やスパイスとともに袋に詰めていました。

市民ボランティアのリュドミラさん(60)は、26歳のおいが前線に配置され、自分も何かの力になりたいと活動に参加しました。リュドミラさんは「私たちの心は前線で戦う兵士とともにあります。愛情と勝利への信念、そして私たちの元気が前線に伝わるよう願いながら、作っています」と話していました。

IAEA事務局長 原発安全確保でロシアと協議

IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は10日、声明を出し、ロシア軍が占拠を続けるウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所の安全確保に向け、ロシア側とモスクワで協議したと明らかにしました。

協議は9日と10日の2日間行われ「ロシア政府の高官と計画について詳しく協議できたという点で重要だった」とするにとどめ、大きな進展はなかったとみられます。

またロシア外務省は10日、声明を発表し「リャプコフ外務次官がグロッシ事務局長とザポリージャ原発の周辺について安全性の詳細な議論を行った」としています。

ザポリージャ原発は、砲撃によって原子炉の冷却に必要な外部からの電力供給が途絶える事態が相次いだことからIAEAは原発周辺を安全が確保された区域に設定しようと、ロシアとウクライナの双方と協議を重ねています。

グロッシ事務局長は「安全な区域の実現を期待しているが進展のスピードはもっと速かったはずだ」として両国への働きかけを続ける考えを強調しました。

バイデン大統領 ポーランド訪問へ

アメリカ・ホワイトハウスは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の開始から1年になるのを前に、バイデン大統領が、2月20日から3日間の日程で隣国のポーランドを訪問すると発表しました。

これはホワイトハウスのジャンピエール報道官が10日の会見で明らかにしたもので、バイデン大統領は、滞在中、ポーランドのドゥダ大統領のほかNATO=北大西洋条約機構の加盟国のうち東欧諸国の首脳とも会談し、ウクライナ支援の継続について確認するとしています。

そして演説を行い、自由や民主主義を守るために今後もウクライナを支え続けていくことなどを強調するとしています。

モルドバ国防省「領空侵犯を強く非難」

モルドバの国防省は「領空侵犯を強く非難する」としていて、外務省も駐在するロシアの大使を呼び、抗議したということです。

一方、ルーマニアの国防省は声明で「黒海のロシア軍の艦船から発射され、巡航ミサイルの可能性が高い。モルドバの領空は通過したが、ルーマニアの領空には入っていない」としていて、ルーマニアの領空侵犯はなかったとしています。

ゼレンスキー大統領「露ミサイル モルドバなど領空通過」

ロシア軍は10日、ウクライナ全土でミサイルや無人機での攻撃を行い首都キーウのクリチコ市長はSNSに「ロシア軍のミサイルの残骸で車や住宅の屋根に被害が出た」と投稿しました。

攻撃について、ウクライナ空軍はロシア軍が、黒海やカスピ海の艦船、そして爆撃機などからミサイル71発を発射し、このうち61発を迎撃したと発表しました。またゼレンスキー大統領は「市民や民間のインフラ施設が狙われ、犠牲者が出ている」と強く非難しました。

そのうえで「ロシアのミサイルはモルドバとルーマニアの領空を通過した。このミサイルはNATOの集団安全保障に対する挑戦だ」と述べ、隣国のモルドバや、NATO=北大西洋条約機構に加盟するルーマニアの領空をロシアのミサイルが通過したと主張しました。

露国営テレビ元職員「ウク完全勝利ないと露未来ない」

ロシア国営テレビの元職員、マリーナ・オフシャンニコワさんは、在職中の去年3月、ニュース番組の放送中にスタジオに入り、「戦争反対」と書いた紙を掲げてロシアによるウクライナ侵攻を批判し、ロシア当局から指名手配されていました。

オフシャンニコワさんは10日、パリに本部がある国際的なジャーナリストの団体「国境なき記者団」で記者会見しロシアから脱出した経緯を語りました。
この中でオフシャンニコワさんは、当局に身柄を拘束される恐怖から去年秋、捜査機関の追跡が手薄になると判断した休日の夜間を選んで、ロシアからの脱出に踏み切ったと明らかにしました。

そして、車を7回乗り換え、警戒にあたる国境警備隊の車の光におびえながら、星の光を頼りに徒歩で国境を越えたと述べ、「結果として運が良かった」と語りました。

また、ロシアのメディアの状況について「ウクライナのブチャやマリウポリで起きたことはフェイクだとされている。ロシアの人々はプロパガンダ情報があふれた、墓の中の住人だ」と述べ、当局による厳しい情報統制が続いていると指摘しました。

そして「終わりが見えない戦闘が続き、ロシアの犯罪行為はどんどん残忍で攻撃的になっている。この戦争がウクライナの完全なる勝利で終わらないとロシアの未来もない」と述べ国際社会が団結してウクライナを支援するよう呼びかけました。

ロシア産原油 3月に日量50万バレル自主減産

ロシア政府でエネルギー問題を担当するノバク副首相は、10日、G7=主要7か国などがロシア産の原油などに上限価格を設定したことに対抗し3月、日量50万バレルの自主減産を行うと発表しました。

ノバク副首相は声明で「上限価格の設定は市場への干渉で、将来の原油不足を招く可能性がある」などと指摘し、G7やEU=ヨーロッパ連合などがロシア産の原油や石油製品に上限価格を設定する制裁措置を導入したことを批判し、減産は対抗措置だとしています。

また、3月以降の対応については市場の状況を見ながら決めるとしています。現地メディアによりますと、減産規模は、1月の生産量のおよそ5%に相当するとしています。

ロシアは、OPEC=石油輸出国機構に非加盟の産油国が加わる「OPECプラス」のメンバーでOPECプラスは2月1日、一日当たり200万バレルの協調減産を維持する方針を明らかにしたばかりです。

一方、ロイター通信はOPECプラスの関係者への取材として「ロシアの自主減産を受けて計画を変更する予定はない」として、ロシアの減産を補う考えはないと伝えています。