トルコ南部のシリア国境近くで起きた大地震を受けて、政府は現地に派遣する国際緊急援助隊の医療チームに資機材を迅速に届けるため、自衛隊機による輸送を行うことを決めました。
これを受けて浜田防衛大臣は防衛省・自衛隊に対し、自衛隊機による輸送の実施に向けた準備を指示し、10日にも現地に情報収集や連絡調整を行う隊員2人を派遣することになりました。防衛省・自衛隊は準備が整い次第、輸送を始めることにしています。
政府はトルコとシリア両国に対する資金面での人道支援として、ODA=政府開発援助による緊急支援も早急に実施していくことにしています。
【随時更新】トルコ大地震 死者2万1000人超 救助活動続く
トルコ南部のシリア国境近くで起きた大地震では、トルコとシリアの両国でこれまでにあわせて2万1000人以上が死亡しました。
現地の状況や、各国の救援の動きなど最新情報をまとめています。
(※日本とトルコとの時差は6時間 原則日本時間で表記します)
⇒【詳報】2月9日の動きはこちら

⇒【寄付先一覧も】現地に支援届けるには

政府 自衛隊機による輸送を決定
ハタイ県 トルコ国内で最多の犠牲者 手作業で救助活動

今回の地震でトルコ国内の県の中で5000人を超える最も多くの犠牲者がでているのがトルコ南部のハタイ県で、NHKの取材班は10日、最も甚大な被害を受けた街のひとつ、中心都市のアンタキヤに入りました。
街の至るところで建物が倒壊し、道路もあちらこちらに亀裂が走っていて、道路は渋滞していました。また、倒壊した自宅の前にテントを張ったり、農業用のハウスの中で避難生活をおくったりする人の姿もありました。
住宅が立ち並ぶ地区では救助活動が難航し、4階建てのアパートが倒壊した現場では、外国の救助隊が来たものの重機などがないためがれきを取り除くことができず、近所の人たちが手作業で救助活動をしていました。
この4階建てのアパートに住んでいた30人のうち救出されたのは1人で、ほかの住民は連絡が取れず、まだ中に取り残されているとみられています。
このうち、両親が取り残されているというアブドラ・マタルさん(29)は10日朝、がれきの間から母親を見つけましたが、すでに手は冷たくなっていて呼びかけには応じなかったということです。マタルさんは「誰でもいいから早く助けに来てほしい。父のことも早く見つけたい」と話していました。
街の至るところで建物が倒壊し、道路もあちらこちらに亀裂が走っていて、道路は渋滞していました。また、倒壊した自宅の前にテントを張ったり、農業用のハウスの中で避難生活をおくったりする人の姿もありました。
住宅が立ち並ぶ地区では救助活動が難航し、4階建てのアパートが倒壊した現場では、外国の救助隊が来たものの重機などがないためがれきを取り除くことができず、近所の人たちが手作業で救助活動をしていました。
この4階建てのアパートに住んでいた30人のうち救出されたのは1人で、ほかの住民は連絡が取れず、まだ中に取り残されているとみられています。
このうち、両親が取り残されているというアブドラ・マタルさん(29)は10日朝、がれきの間から母親を見つけましたが、すでに手は冷たくなっていて呼びかけには応じなかったということです。マタルさんは「誰でもいいから早く助けに来てほしい。父のことも早く見つけたい」と話していました。
ハタイ県 テントや車で寝泊まりする人も
南部ハタイ県の中心都市アンタキヤでは、家を失った人たちがテントを張ったり車の中で寝泊まりしたりする姿が多く見られました。
このうち、85歳のメディハ・ケレシュさんは、地震で家が傾いたため、娘夫婦や孫など家族10人で、トラックの荷台に家財荷物を持ち込み夜を過ごしています。
トラックの中にはふとんと服、それに家にあった食料など、身の回りの最低限のものだけが置かれていました。
ケレシュさんは「夜はとても寒いですが、ここで寝る以外に選択肢はありません。みんなで抱き合いながら寝ています」と話していました。
ケレシュさんの息子は市内の倒壊したアパートに取り残されたままだということでケレシュさんは「ようやく救出作業が始まりましたが、生きているかどうかもわかりません」と涙を流していました。
また、娘のセルビル・エユブオールさん(48)は「どれくらいこの生活が続くかわからないので、息子を頼ってイスタンブールに移り住むことを考えています。生まれ育った故郷を離れるのはつらいですが、仕方ありません」と話していました。
このうち、85歳のメディハ・ケレシュさんは、地震で家が傾いたため、娘夫婦や孫など家族10人で、トラックの荷台に家財荷物を持ち込み夜を過ごしています。
トラックの中にはふとんと服、それに家にあった食料など、身の回りの最低限のものだけが置かれていました。
ケレシュさんは「夜はとても寒いですが、ここで寝る以外に選択肢はありません。みんなで抱き合いながら寝ています」と話していました。
ケレシュさんの息子は市内の倒壊したアパートに取り残されたままだということでケレシュさんは「ようやく救出作業が始まりましたが、生きているかどうかもわかりません」と涙を流していました。
また、娘のセルビル・エユブオールさん(48)は「どれくらいこの生活が続くかわからないので、息子を頼ってイスタンブールに移り住むことを考えています。生まれ育った故郷を離れるのはつらいですが、仕方ありません」と話していました。
シリア北部の村 ダム一部壊れたか 広範囲が水浸しに

9日、シリア北部にある村で撮影された映像では、多くの建物の壁や塀などが崩れ落ちているほか、住宅や道路などが広い範囲にわたり水浸しになっている様子が確認できます。
AP通信は住民の話として、9日に北部にあるダムのコンクリートが壊れ、ダムからもれ出た水が村に流れ込んで建物にも被害を与えたと伝えています。また、地元メディアは、このダムには地震のあと大きなひび割れができていたと報じています。
住民の男性は「女性や子どもを避難させるための助けを求めています。それ以上のことは望んでいません」と話し、早急な支援を訴えていました。
AP通信は住民の話として、9日に北部にあるダムのコンクリートが壊れ、ダムからもれ出た水が村に流れ込んで建物にも被害を与えたと伝えています。また、地元メディアは、このダムには地震のあと大きなひび割れができていたと報じています。
住民の男性は「女性や子どもを避難させるための助けを求めています。それ以上のことは望んでいません」と話し、早急な支援を訴えていました。
救助活動行うNGOスタッフ「物資が行き渡らず混乱も」

アジア太平洋地域で災害時の支援活動を行っているNGO「アジアパシフィックアライアンス」は、トルコ南部の地震の被災地で救助活動などを行うため、日本から現地に災害救助を専門とするスタッフを派遣しました。
派遣されたスタッフで、沖縄県在住の黄 春源さんは、現地時間の6日早朝に起きた地震の震源とされるガジアンテプ付近から南西へ100キロ余り離れたハタイ県で10日まで救助活動を行っていました。黄さんは現地の被害状況について「多くの建物が倒壊し、想像以上だとしか言えない」と話していました。
派遣されたスタッフで、沖縄県在住の黄 春源さんは、現地時間の6日早朝に起きた地震の震源とされるガジアンテプ付近から南西へ100キロ余り離れたハタイ県で10日まで救助活動を行っていました。黄さんは現地の被害状況について「多くの建物が倒壊し、想像以上だとしか言えない」と話していました。

こうした中、現地では懸命の救助活動が続き、現地時間の10日深夜には家族ががれきの下敷きになったという通報を受け、現場で特殊な工具を使ってコンクリートに穴をあけてがれきの下を捜索しましたが、発見できなかったといいます。
また、「現地では物資が被災した人たちに行き渡らず、混乱した様子も見られた」と話していました。黄さんは今後、現地で支援物資を調達し配布する活動を行うことにしていて「支援物資を自分で取りに来られない被災者もいる。必要な支援が必要とされる場所に届けられるよう頑張りたい」と話していました。
この団体は、被災地を支援するためクラウドファンディングで寄付を募っていて、集まった寄付金は現地で救助活動を行う団体に送られ支援物資の調達などに使われるとしています。
また、「現地では物資が被災した人たちに行き渡らず、混乱した様子も見られた」と話していました。黄さんは今後、現地で支援物資を調達し配布する活動を行うことにしていて「支援物資を自分で取りに来られない被災者もいる。必要な支援が必要とされる場所に届けられるよう頑張りたい」と話していました。
この団体は、被災地を支援するためクラウドファンディングで寄付を募っていて、集まった寄付金は現地で救助活動を行う団体に送られ支援物資の調達などに使われるとしています。

震源近くの町 拠点病院の建物内部にひび
震源に近いガジアンテプ県の町、イスラヒエにある国立の病院は地域医療の拠点となっていますが、トルコ保健省の担当者によりますと、地震の影響で建物の内部にひび割れができ、安全が確保できないとして、すべての患者の受け入れを停止するとともに入院患者や運ばれてきたけが人を別の病院に搬送しているということです。
一方、病院の敷地内には、イランから派遣された赤新月社の救助チームや医療チームが拠点を設けていて、救助や救急医療の要請を受けて現場に担当者を派遣していました。
イランの赤新月社の担当者は「非常に被害が甚大で、この2日間で5人を救助したが、まだまだ支援の手が足りない。救助を急ぎたい」と話していました。
一方、病院の敷地内には、イランから派遣された赤新月社の救助チームや医療チームが拠点を設けていて、救助や救急医療の要請を受けて現場に担当者を派遣していました。
イランの赤新月社の担当者は「非常に被害が甚大で、この2日間で5人を救助したが、まだまだ支援の手が足りない。救助を急ぎたい」と話していました。
米 国務長官 8500万ドルの緊急人道支援を発表
トルコ南部のシリア国境近くで起きた大地震を受けてアメリカのブリンケン国務長官は9日、8500万ドル、日本円にして111億円余りの緊急人道支援を行うと声明で発表しました。
国務省によりますとブリンケン国務長官はトルコのチャウシュオール外相と電話で会談し、最大限の支援をしていくと伝えたということです。
アメリカはこれまでに被災地での捜索や救助にあたるため、150人以上を派遣しています。
国務省によりますとブリンケン国務長官はトルコのチャウシュオール外相と電話で会談し、最大限の支援をしていくと伝えたということです。
アメリカはこれまでに被災地での捜索や救助にあたるため、150人以上を派遣しています。
日本からもトルコ・シリアに緊急援助物資を供与へ

政府はトルコとシリアからの要請を受けて、JICA=国際協力機構を通じ、それぞれに緊急援助物資としてテントや毛布、就寝用のマットなどを供与することを決めました。
また、トルコに対しても緊急援助物資を早急に供与する方向で調整しています。
さらに、医師などで作る国際緊急援助隊のチームの先発隊を10日夜、トルコに派遣し、現地のニーズを確認したあと数十人規模の医療チームを派遣する方針です。
林外務大臣は記者会見で「東日本大震災をはじめ過去に何度も大きな自然災害を経験したわが国として、現地の人々がいかに苦しい状況に立たされているか、容易に想像できる。人々の苦しみを共有し、共に困難を乗り越えていく」と述べました。
また、トルコに対しても緊急援助物資を早急に供与する方向で調整しています。
さらに、医師などで作る国際緊急援助隊のチームの先発隊を10日夜、トルコに派遣し、現地のニーズを確認したあと数十人規模の医療チームを派遣する方針です。
林外務大臣は記者会見で「東日本大震災をはじめ過去に何度も大きな自然災害を経験したわが国として、現地の人々がいかに苦しい状況に立たされているか、容易に想像できる。人々の苦しみを共有し、共に困難を乗り越えていく」と述べました。
「72時間」経過後も懸命の捜索活動続く

最低気温が氷点下となる寒さの中、各地で懸命の捜索活動が続いていて、このうちトルコ南部ガジアンテプのマンションが倒壊した現場では、9日朝、がれきの中から親子3人が見つかり、病院に搬送されました。
ただ、現地の当局者によりますとがれきの下敷きになった人は同じマンション付近だけでも数十人いるとみられ、捜索隊はがれきを取り除きながら生存者がいないか確認を進めています。
ただ、現地の当局者によりますとがれきの下敷きになった人は同じマンション付近だけでも数十人いるとみられ、捜索隊はがれきを取り除きながら生存者がいないか確認を進めています。
世界銀行 トルコに17億8000万ドルの資金援助発表

世界銀行は救援や復興活動を支援するためトルコに17億8000万ドル、日本円で2300億円あまりの資金援助を行うと発表しました。また復旧・復興支援に向けた優先地域や優先分野を特定するための被害状況調査を始めたことを明らかにしました。
世界銀行のマルパス総裁は「今回の大地震で大きな損失を被ったトルコとシリアの人々に深い哀悼の意を表します。迅速に支援を届けるとともに現地で求められる緊急かつ大規模な支援の内容の分析を進めています」とのコメントを出しました。
世界銀行のマルパス総裁は「今回の大地震で大きな損失を被ったトルコとシリアの人々に深い哀悼の意を表します。迅速に支援を届けるとともに現地で求められる緊急かつ大規模な支援の内容の分析を進めています」とのコメントを出しました。
国連事務総長「国連部隊がシリアに」

国連のグテーレス事務総長は9日、ニューヨークの国連本部で記者会見し、今回の地震について「現代における最大の自然災害の1つだ」と述べ、被災した人たちに哀悼の意を示しました。
そして、地震のあと支援を届けることができなかったアサド政権の攻撃から逃れた人たちが暮らすキャンプなどがある震源に近いシリア北西部について「数時間前、最初の国連の部隊が救援物資を届けるためシリアに入った」と明らかにしました。
さらに、アサド政権の協力を得て支援することも含め被災者のためにできることはすべて行うべきだという考えを示したうえで「この問題が政治化されないよう、今こそ、困っている人々を支えるために一丸とならなければいけない。トルコとシリアの人々がこれまで何百万人もの難民や避難民を受け入れ、援助してきたのと同じように、われわれは支援と寛大さ、そして連帯を示すべきだ」と述べ、国際社会にさらなる支援を求めました。
そして、地震のあと支援を届けることができなかったアサド政権の攻撃から逃れた人たちが暮らすキャンプなどがある震源に近いシリア北西部について「数時間前、最初の国連の部隊が救援物資を届けるためシリアに入った」と明らかにしました。
さらに、アサド政権の協力を得て支援することも含め被災者のためにできることはすべて行うべきだという考えを示したうえで「この問題が政治化されないよう、今こそ、困っている人々を支えるために一丸とならなければいけない。トルコとシリアの人々がこれまで何百万人もの難民や避難民を受け入れ、援助してきたのと同じように、われわれは支援と寛大さ、そして連帯を示すべきだ」と述べ、国際社会にさらなる支援を求めました。
トルコとシリア 両国の死者2万人超える
トルコ南部で6日に発生したマグニチュード7.8の地震やその後も続く大きな揺れにより、トルコとシリアではこれまでに、トルコ国内で1万7134人、シリア側では少なくとも3317人が死亡していて、亡くなった人の数は両国合わせて2万人を超えています。
生存率が急激に下がると言われる発生から72時間が過ぎましたが、いまもがれきの下に取り残された人が多く、各地で生存者の捜索が急がれています。
生存率が急激に下がると言われる発生から72時間が過ぎましたが、いまもがれきの下に取り残された人が多く、各地で生存者の捜索が急がれています。
トルコ南部 約1500年前に建設の城壁にも被害
トルコ南部ガジアンテプ市の中心部の高台には、町のシンボルとして知られ、およそ1500年前に建設された城が残され観光地となっていますが、今回の地震の影響で石材を積んで造られた壁の一部が大きく崩れました。周辺にある土産物店などは営業しておらず、観光客の姿も見られません。