トルコ・シリア大地震 現地に支援届けるには【寄付先一覧も】

トルコ・シリア大地震 現地に支援届けるには【寄付先一覧も】
トルコでおよそ4万6000人、隣国シリアでおよそ6000人、あわせておよそ5万2000人が犠牲になっている大地震(3月7日夜更新)。

「何か力になりたい」

そう思っている方も多いと思います。
気になることをまとめました。

トルコに“恩返ししたい”

地震発生の2日後、東京都内にあるトルコ関連の施設では、被災地を支援したいと募金に訪れる人の姿がみられました。
募金を受け付けているのは、トルコ政府宗務庁が管理する「東京ジャーミイ・ディヤーナト トルコ文化センター」。

集まったお金は、トルコの政府機関を通して救助活動や食料、住まいの支援などにあてられる予定です。
50代女性
近くに住んでいて、ホームページをみたら募金を受け付けていると書いていたので来ました。本当にことばにならないし、寒くて大変だと聞くので少しでも役に立てればと。
60代の男性は、今回の地震で、日本がトルコに助けてもらったかつての出来事が頭をよぎったといいます。

12年前の東日本大震災。トルコは、地震の発生直後に被災地に救助隊を派遣しました。
イラン・イラク戦争のさなかの1985年には、イランに取り残された200人あまりの日本人をトルコ航空の航空機が救出しました。
男性
本当に困ったときにトルコは日本を助けてくれました。“恩返ししたい”と思っていたので来られてよかったです。

とはいえ寄付先、どう選んだら?

寄付をしたいと思っても、多くの団体があってどこに寄付をすればいいのか迷うという方もいると思います。
寄付先を選ぶポイントを、NPOの活動に詳しい寄付アドバイザーの河合将生さんに聞きました。
1.専門性と実績
まずは、団体の活動内容や実績を見て、その団体がどのような役割を果たしているのかを確認してください。
確認するポイントは以下の3つです。

▽緊急支援や災害支援の実績があるか
▽どんな人を支援していて、対象地域はどこか
▽ふだんからトルコやシリアを支援しているか、または、現地にパートナー団体があるか

「食料を届けたい」とか「子どもたちのために使ってほしい」といった視点で選ぶのもいいと思います。
息の長い支援になることを見据えて、その地域での活動に専門性や実績があるかにも注目してみてください。

2.定期的な情報発信
現地での活動状況や寄付金の使いみちなどの情報が団体のウェブサイトなどで公開されているかを確認してください。
定期的に情報が更新されていれば、継続的に活動していることが分かります。

3.過去の活動の情報公開
過去の活動について、最終的にどれくらいの寄付金が集まり、何に使われたのかを知りたい場合は、「事業報告書」や「決算書」を確認してください。また、団体の役員名簿やスタッフ・関係者のリストを確認することで運営体制も知ることができます。
そうした情報をきちんと公開しているかも信頼できる団体かどうかの1つの判断基準になります。
最近は、ポイントやクラウドファンディングによる寄付も広がっています。

そうした方法で寄付を募っている団体は、ポイント寄付のサービスを提供していたり、クラウドファンディングのサイトを運営していたりする会社が実績などを確認しているため、一定の信頼性があると考えていいということです。

そのうえで、注意してほしいことがあります。
寄付アドバイザー 河合将生さん
団体の活動や寄付についての情報を集めるためにSNSを活用する人も多いと思いますが、第三者が団体を装っているケースもあります。SNSは手軽ですが、信頼性を見極めるのがとても難しい。自分が寄付したい先に思いを届けるためにも、団体のウェブサイトをきちんと確認することが大切です。

シリアに支援は届くのか

「トルコへの支援は動いてるけど、シリアは大丈夫だろうか…」
「シリアへの義援金の送り先はどこなんだろう?」

SNSではシリアに支援が届くのか、不安に思う人たちの声が相次いでいます。
それは、シリアでは混乱、そして内戦が12年続いていて、終結していないからです。

今回の地震の被災地はアサド政権と反政府勢力、それぞれが支配する地域にまたがっています。
双方の間では、そもそも人や物の行き来が制限されています。
反政府勢力の支配地域で暮らす人のためにアサド政権の支配地域を通らずにトルコ側から人道支援物資をスムーズに運び込むルートは、たった1つ。

国連安保理が定めた「支援ルート」だけです。

しかし、国際NGOの「国境なき医師団」によると、今回の地震でこのルートの一部が被害を受け、これまでのようには使えない状態になっているということです。

(※2月13日、シリアのアサド大統領は「支援ルート」を3か月間、2か所増やし、国連機関を通じた支援を受け入れると表明しました。)
反政府勢力が支配する北西部のイドリブ県で、2017年から学校の運営などの教育支援を行ってきたNPOは支援の遅れを懸念しています。
Stand with Syria Japan 山田一竹 理事長
現地時間の7日に被災地を回った現地のスタッフからは、そもそも内戦によって病院が破壊され遺体安置所もないため、亡くなった人がトラックの荷台に直接、積まれているような状況だと聞いています。外国政府の救助隊もほとんど入っておらず、現地の住民が救助活動を行っているのが実態で、医療も、重機も、すべてが足りない。
これまではトルコからの支援が頼りでしたが、今回はトルコが甚大な被害を受けている。物資を運ぶ別のルートも考えなければならず『危機の中に、さらに危機が生まれた』というような状況です。
想像を絶する被害と厳しい寒さ。

過酷な環境の中、このNPOではシリア国内で備蓄していた食べ物や医薬品などを詰めたセットを被災した人たちに配り始めました。

「本当に支援は届くのか」

不安に思う方もいると思いますが、必死に届けようとしてくれている人たちが、ちゃんといます。
山田理事長
家を追われた国内避難民がふたたび家を失っており、仮設住宅も必要になってくるはずです。「支援ルート」が以前のように機能するのを待ちながら、現地のほかの団体とも協力して支援を続けたい。寄せられたお金はすべて緊急支援に使い、より多くの人命救助につなげたいと思っています。
シリアの人たちは、地震の被害から立ち直っても平和な生活に戻れるわけではありません。少しでもシリアに心を寄せてもらえたらと思いますし、それは「関心を持っているよ」という被災した人への力強いメッセージになると思います。

女の子たちを置き去りにしない

被災地への支援物資で忘れないでほしいのが、生理用品です。

東日本大震災や熊本地震では、「避難所で生理用品が足りない」という悩みが数多く報告され、大きな教訓になりました。
トルコやシリアでも、女性たちが同じような状況に直面しているおそれがあります。

途上国などで子どもや女性への支援を行う国際NGO「プラン・インターナショナル」は、寄付が集まれば、シリアの被災地で水や食料などだけでなく、生理用ナプキンやショーツなどの購入にあてたいとしています。
こちらは、過去に実際に配られた「月経衛生キット」。
ロシアの軍事侵攻を受けウクライナから隣国に逃れた女性や、グアテマラの大規模噴火の被災地などでも配布したそうです。

また、過去の災害の被災地では女性が性暴力を受けたという報告があり、今後、男女別のトイレの確保や女性が安心して過ごすことができる場所を準備することも必要になると想定しています。
プラン・インターナショナル 日本事務局 平田泉さん
女の子たちが置き去りにならないような支援をしたい。生理用品を支援することは健康を保つことだけではなく、女の子が「自分は大切にされている」と感じ、尊厳を保つうえでも重要なことなんです。緊急的な支援はもちろんのこと長期的なケアが必要になると考えています。

あなたはどこを選びますか?

トルコ・シリアの被災地で活動する団体に、活動内容や寄付の使いみちを聞きました。(3月7日現在の情報です)

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)

紛争や迫害で故郷を追われた難民や避難民を保護・支援する国連の機関。
テントや毛布、衛生用品などの物資を調達し、シリアでは北西部でも国内避難民を支援するほか、トルコに住むシリアの難民、地域住民への支援を実施。
日本の公式支援窓口の国連UNHCR協会が募金を呼びかけている。

電話:0120-540-732(平日午前10時~午後7時)

日本ユニセフ協会

「自然災害緊急募金」として受け付け。
寄せられたお金は、シリアとトルコで被災した子どもやその家族のため、安全な飲み水や衛生用品、防寒着などの緊急支援物資の提供、教育の再開支援などに使われる。

電話:0120-88-1052(平日午前9時~午後5時)

WFP(世界食糧計画)

世界各地で食料支援を行っている国連の機関。
トルコ・シリア両国で被災した人たちに温かい食事やすぐに食べられるものなどを提供している。

電話:0120-496-819(土日祝を含め午前9時~午後6時)

日本赤十字社

海外救援金を募集。
現地のニーズに合わせ、国際赤十字の活動のほかトルコとシリアの赤新月社が行う救援活動や復興支援活動などに充てられる。

電話番号:03-4363-2056(平日午前9時~午後5時)

トルコ大使館

専用の口座を開設して、義援金での支援を呼びかけている。
義援金はトルコ災害緊急事態対策庁に届けられ、現地の人道支援などにあてられる。

東京ジャーミイ・ディヤーナト トルコ文化センター

トルコ政府宗務庁が管理。
寄付はトルコの政府機関を通して食料、住まいの支援、被災した子どもの保護活動などに充てられる。

電話:03-5790-0760(土日祝を含め午前10時~午後6時)

国境なき医師団

シリア北部の反政府勢力の支配地域で、現地の医療チームの支援や医療施設への物資の提供のほか、被災した人の治療にも当たる。
トルコでは、現地のパートナー団体と連携し、被災した人たちに救援物資や食料を提供。
こうした活動を行う「緊急チーム」への寄付を呼びかけている。
寄付はトルコやシリアの被災地での活動に限らず、緊急チームの活動全般の資金に充てられる。

電話:0120-999-199(平日午前9時から午後6時)

世界の医療団

人道的な医療支援に取り組む国際NGO。
トルコとシリアで被災した人の治療などを実施。
寄付は、当面は緊急物資の支援や現地での医療活動などに充てられる。

電話:03-3585-6436(平日午前10時~午後6時)

セーブ・ザ・チルドレン

子ども支援専門の国際NGO。
シリアでは国内避難民の子どもたちの心のケア、トルコでは難民や地元の受け入れコミュニティーの人たちの起業支援などを行ってきた。
トルコではテント型のシェルターや飲み水、歯ブラシなどの衛生用品、毛布やマットレスの配布などの支援を実施。地震で親と離ればなれになった子どもたちと家族の再会支援も行う。
シリアでは、北西部で現地のパートナー団体と連携し、食料や飲み水、衛生用品を配布。

電話:0120-317-502(平日午前9時半~午後5時)

ピースウィンズ・ジャパン

紛争や災害、貧困などの脅威にさらされている人々の支援活動を行うNGO。
医師や看護師、レスキュー隊員などで構成される緊急支援チームが、トルコで医療支援や緊急物資支援などを行う。
シリアでも提携団体とともに支援を実施。
こうした活動を行うための寄付を呼びかけている。

電話:0120-252-176(平日午前10時~午後5時)

パルシック

緊急支援などの国際協力やフェアトレードに取り組んでいるNPO。
トルコでは震源に近い南東部・ガジアンテプに日本人スタッフが入っている。カフラマンマラシュ、ガジアンテプ、ハタイで、政府の支援が届きにくいシリア難民に、おむつなどの生活用品を配布。
シリアでは、北部の被災地で手術や透析に使う医療品を届け、毛布やストーブなどを配布。

電話:03-3253-8990(平日午前10時~午後5時)

難民を助ける会

紛争や災害などで困難に直面している人たちを支えるNGO。
トルコの避難所のほか、支援の手が届きにくい農村部を中心に、毛布やおむつ、食料、下着などを届ける。

電話:0120-786-746(日曜・祝日を除く午前10時~午後6時)

グッドネーバーズ・ジャパン

子どもたちの教育や医療支援などを行っている国際NGO。
トルコ南部で食料や医薬品、テントなどを支援。

電話:0120-916-010(平日午前10時~午後5時)

JEN

紛争地や被災地で緊急・復興支援を行うNPO。
トルコのパートナー団体がある南東部・ガジアンテプを拠点に、震源に近いカフラマンマラシュで支援を実施。
炊き出しのほか、哺乳瓶や粉ミルク、防寒具、マットレスの提供、歯ブラシや石けん、生理用品などが入った衛生キットの配布などを行う。

電話:03-5114-6201(平日10時~午後5時)

ワールド・ビジョン・ジャパン

世界のおよそ100か国で子どものための緊急人道支援などを行う国際NGO。
シリア北西部にストーブや水、食料などを届けるほか、被災した子どもの保護、医療支援などを行っている。

電話:0120-465-009(土日祝を含め午前9時~午後11時)

アドラ・ジャパン

被災地などで緊急支援を行う国際NGO。
シリアのアレッポなど2か所に避難所を開設し、被災状況の調査や水や食料の配布に取り組む。

電話:03-5410-0045(平日午前10時~午後5時)

Stand with Syria Japan

シリア危機専門のNPO。
シリア北西部・イドリブ県の反政府勢力支配地域で学校運営などの教育支援をしてきた。
食料や水、医薬品を詰めた緊急支援セットを配布しており、不足しているものを随時、届けたいとしている。

Piece of Syria

シリア北西部やトルコ南部で子どもの教育支援を行うNPO。
主にシリア北西部の被災地で子どもの心のケアなどを行っているほか、被災した先生のためにテントの提供や住宅の補修費用の支援などを行っている。

ケア・インターナショナル

途上国の支援に取り組む国際NGO。
被災者した人たちの心のケアやがれきの処理などを行っている。
長期的な支援を継続したいとして、加盟組織の「ケア・インターナショナルジャパン」が寄付を受け付けている。

電話:03-5950-1335(平日午前10時~午後5時)

チャイルド・ファンド

加盟する各国の団体が、途上国や紛争地で子どもたちの支援、緊急支援を行っている。シリアではイタリアの団体が教育支援などを行ってきた。
シリアのアレッポの避難所で毛布などを配布。
水道施設が壊れて水が出ない地域に給水車を派遣しているほか、水道設備の補修も実施。
加盟組織のNPO「チャイルド・ファンド・ジャパン」が寄付を受け付けている。

電話:03-3399-8123(平日午前10時~午後5時)

ピースボート災害支援センター

トルコで食料品、飲み水、日用品といった緊急物資の支援などを実施。

電話:03-3363-7967(平日午前11時~午後4時)

プラン・インターナショナル

途上国などで子どもや女性への支援を行う国際NGO。
パートナー団体がシリア北西部で支援活動に取り組む。
寄付金は水や食料のほか、生理用品の購入などに充てられる。

電話番号:03-5481-6100(平日午前9時~午後5時半)

ジャパン・プラットフォーム

加盟するNGOとともに、政府からの支援金や民間からの寄付で緊急人道支援を行う認定NPO。
加盟するNGOが物資の配布や医療支援などを実施。

電話番号:03-6261-4036(平日午前10時~午後6時)

サダーカ・イニシアチブ

今回の地震を受け、シリアを専門とする研究者が中心となって立ち上げた。
在日シリア大使館を通じ、主にアサド政権側の支配地域で活動する赤新月社などに資金を提供予定。
また、シリアのアレッポやラタキア、ハマなどで食料や医薬品の配布などの活動をするキリスト教系の支援団体、シリア北部で活動するトルコのNGOにも資金を提供している。
(ネットワーク報道部 柳澤あゆみ 石川由季 吉村啓 谷口碧 土方薫)