首相 同性婚制度導入めぐる答弁「ネガティブな意味ではない」

衆議院予算委員会では集中審議が行われました。
岸田総理大臣は同性婚の制度を導入した場合、「社会が変わってしまう」とのみずからの答弁について、「ネガティブなことを言ったつもりはなく、議論を否定しているわけではない」と説明しました。

自民 大野敬太郎氏 “安全保障関連の新たな3文書について”

この中で、自民党の大野敬太郎氏は、安全保障関連の新たな3文書をめぐり「安全保障のすそ野が経済や民間の領域にも広がり、対処すべき領域は宇宙やサイバーにも広がっている。戦略も当然変えるべきで、3文書を強く支持したい。すべて実現することが重要だ」と指摘しました。

岸田総理大臣は「伝統的な外交力、防衛力にとどまらず、経済力あるいは技術力を含む総合的な国力を最大限活用し、3文書の施策実現に早急に取り組んでいきたい。戦略的かつ継続的な形で適時に実施されるよう、国家安全保障会議で進捗(しんちょく)管理を行う」と述べました。

公明 鰐淵洋子氏 “給付型奨学金の拡大について”

公明党の鰐淵洋子氏は少子化対策に関連して「若い方々から、奨学金の返還が重くのしかかり結婚や子どもを持つことに、不安やためらう声が多く寄せられている」と述べ、給付型奨学金の拡大などを着実に進めるよう求めました。

岸田総理大臣は「令和6年度から給付型奨学金などの見直しを行うこととしており、対象の年収の目安などを早急に明らかにするべく作業を進めている。減額返還制度については、利息の取り扱いなどを含めて、具体的な枠組みを作りたい。子ども・子育て政策の充実にあわせて教育分野の取り組みも進めていきたい」と述べました。

立民 岡本章子氏 “同性婚制度について”

立憲民主党の岡本章子氏は、岸田総理大臣が先週、同性婚の制度を導入した場合「社会が変わってしまう」と答弁したことについて、「岸田総理大臣の発言にも非常に大きな批判が出ている。当事者からは非常にネガティブな表現として受け止められており、謝罪と撤回を求める」と述べました。

岸田総理大臣は「国民生活の基本にかかわる問題で、すべての国民に幅広くかかわるという認識のもと、社会が変わると申し上げた。決してネガティブなことを言ったつもりはなく、もとより、議論を否定しているわけではない」と説明しました。

また岸田総理大臣は、LGBTの人たちへの理解を増進するための議員立法について、「自民党も特命委員会が中心となって法案を検討しており、提出に向けた準備を進めていくことを確認している。議論が進むことを見守り、対応を考えていかなければならない」と述べました。

「選択的夫婦別姓」をめぐっては、「自民党の議員連盟でも議論が行われている。議論が広がることで国民の理解や議論も進む。それをしっかり受け止めて、判断していきたい」と述べました。

維新 金村龍那氏 “議員定数の削減について”

日本維新の会の金村龍那氏は、議員定数の削減について「われわれは身を切る改革について声を上げているが、自民党は何かが起きないと削減せず、積極的ではないように見える」とただしました。

岸田総理大臣は「小選挙区の定数を削減すると、大都市に議員がより集中し、比例代表の定数を削減すると、少数政党の意見を反映する機会をより縮めるという議論がある。政治に対する信頼を考えた時に真摯(しんし)な議論を通じて合意を得るべく努力を重ねていくべき課題だ」と述べました。

国民 斎藤アレックス氏 “「年収の壁」について”

国民民主党の斎藤アレックス氏は、一定の年収を超えると配偶者の扶養を外れるいわゆる「年収の壁」と企業の「家族手当」の関係をめぐり、「103万円とか130万円とか配偶者の年収に基づいて家族手当が支給されたり、されなかったりということがあって、これも1つの壁になっている。企業に呼びかけて、要件の緩和を求めることも壁を乗り越えるためには有効ではないか」と指摘しました。

岸田総理大臣は「民間の企業がそこを壁にしてさまざまな支援を行うという対応が残っている現実があるということだが、民間側にも適切に対応してもらうべく、政府としても働きかけていくことが重要だ」と述べました。

共産 赤嶺政賢氏 “防衛力の強化について”

共産党の赤嶺政賢氏は、防衛力の強化をめぐり「南西諸島の防衛態勢を強化すると言ったり、敵基地攻撃能力を持つ長射程のミサイルを配備すると言ったりしていることで、沖縄の住民は大きな不安を感じている。政治の責任を果たしているとは言えない」と批判しました。

岸田総理大臣は「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対じする中で、南西地域の防衛態勢強化は国民保護の観点からも重要だ。日米同盟の抑止力、対処力の向上で、武力攻撃そのものも可能性を低下させることができる。こうした考え方を丁寧に沖縄県に説明していく」と述べました。

れいわ 大石共同代表 “教育政策について”

れいわ新選組の大石共同代表は教育政策をめぐって、「教員の欠員が出ていて、過労死レベルの残業実態がある一方で、防衛費は4兆円増額する。国内の学校現場は放置、切り捨てなのか」と述べ、新年度予算案の組み替えを求めました。

岸田総理大臣は「教師は学校教育の充実・発展に欠かせない存在であり、必要な教育予算は計上している。教職員の定数も計画的に改善しており、環境整備にしっかりと取り組んでいきたい」と述べました。

永岡文科相「令和7年度から新しい教職課程開設の方向で検討」

一方、永岡文部科学大臣は、教員免許取得のための教職課程をめぐり「心理や福祉、データ活用や語学力などの強みや専門性を身につける科目の履修との両立を可能とするカリキュラムを、4年制大学が実施する場合、2年程度で必要単位を取得できる課程を特例的に開設できるよう制度改正を行う予定だ。令和7年度から新しい教職課程を開設する方向で検討を進めている」と述べました。