Q.
東京オリンピック・パラリンピックに関連して談合事件が起きたことをどう受け止めているか?
A.
通常通り、予定通り行われたオリンピックではなくて新型コロナウイルスの影響で変更や突然の調整があってバタバタしていた大会だったなと思う。
とはいいつつも守るべきことは守らないといけないということで、おそらく担当者のビジネス的な感覚や通念が少し欠落していたのかなと思う。
さらにいろいろなプレッシャーがかかったなかで調整を進めていく、そういうところにきしみがきて事件が起きたのかなと感じる。
切迫した状況のなかで、談合的な調整をしてしまったというのは取り返しのつかないミスだなと思うし、さらに、イベントに関わった広告代理店や業者が入札の指名停止になれば今後のイベントやスポーツの大会に大きな影響が出るなと懸念している。

談合事件背景は? スポーツビジネス専門家に聞く Q&Aで詳しく
東京オリンピック・パラリンピックのテスト大会に関連する業務の入札をめぐる談合事件。新型コロナウイルスの影響で開催の賛否が分かれるなか行われたビッグスポーツイベントで、なぜ起きたのか。
スポーツビジネスが専門で、日本のオリンピック・パラリンピックの招致にも関わった大阪体育大学の原田宗彦学長に背景や求められる対策について聞きました。Q&A形式でまとめました。
《スポーツニュース部 沼田悠里》
担当者のビジネス的感覚や通念が欠落

数が限られ顔見知り 『村社会』で談合が

Q.
ではなぜ、談合事件は起きてしまったのか?
A.
スポーツでは電通を頂点に広告代理店、その下にイベント企画業者と、非常に数が限られているし、顔見知りというかよく知った『村社会』といったところがあるので、どうしてもみんなで相談するような談合が起きてしまう。
談合というのは過去にいろいろな業界でいくつも起きているが、それがスポーツ界で不幸なことに起きてしまった。
オリンピックみたいに巨額な金が動くイベントはみんなやりたいわけだ。
そうすると談合体質みたいなものが生まれてしまうのかなと思う。
しかし、税金が使われるオリンピックで仲間内で話し合って決めてしまうのは一番被害を受けるのは税金を払っている国民なので、これだけ大きな問題になった。
ではなぜ、談合事件は起きてしまったのか?
A.
スポーツでは電通を頂点に広告代理店、その下にイベント企画業者と、非常に数が限られているし、顔見知りというかよく知った『村社会』といったところがあるので、どうしてもみんなで相談するような談合が起きてしまう。
談合というのは過去にいろいろな業界でいくつも起きているが、それがスポーツ界で不幸なことに起きてしまった。
オリンピックみたいに巨額な金が動くイベントはみんなやりたいわけだ。
そうすると談合体質みたいなものが生まれてしまうのかなと思う。
しかし、税金が使われるオリンピックで仲間内で話し合って決めてしまうのは一番被害を受けるのは税金を払っている国民なので、これだけ大きな問題になった。
構造的な問題 チェック機能働かなかった

Q.
開催運営にあたった組織委員会は、東京都や国、それに民間から出向した職員が多くを占めた。そうした組織でテスト大会や本大会を行う難しさはなかったのか?
A.
そこは構造的な問題だと思う。
国際スポーツイベントの経験の多い電通におんぶにだっこみたいなところがあったと思うので、そういう専任代理店の電通がなければあれだけの大会は開けなかったと思う。
ただ、開催に向け切迫するなかでテスト大会、本大会の事業計画をどうするか、一気に来てしまったので、誰かは違法性を感じていたと思うが、談合ととられることをやらざるを得なかったというのが実態だったのではないか。
かなり構造的な問題かなと感じるし、『これは談合だよ』という人がいてしかるべきだった。そういうチェック機能が働かなかったのが残念だ。
ガバナンスとコンプライアンスの問題だと思う。
開催運営にあたった組織委員会は、東京都や国、それに民間から出向した職員が多くを占めた。そうした組織でテスト大会や本大会を行う難しさはなかったのか?
A.
そこは構造的な問題だと思う。
国際スポーツイベントの経験の多い電通におんぶにだっこみたいなところがあったと思うので、そういう専任代理店の電通がなければあれだけの大会は開けなかったと思う。
ただ、開催に向け切迫するなかでテスト大会、本大会の事業計画をどうするか、一気に来てしまったので、誰かは違法性を感じていたと思うが、談合ととられることをやらざるを得なかったというのが実態だったのではないか。
かなり構造的な問題かなと感じるし、『これは談合だよ』という人がいてしかるべきだった。そういうチェック機能が働かなかったのが残念だ。
ガバナンスとコンプライアンスの問題だと思う。
スポーツマネジメントなど長けた人材 徹底的不足
Q.
事件を受け、再発を防止するにはどうすべきか?
A.
まずは人材面についてだが、スポーツマネジメントやスポーツビジネスに長けた人材が徹底的に不足していると思う。
優秀な人材が入ってきてスポーツとビジネスをうまくハンドリングするというようなリテラシーを高めていくような仕組みが必要かなと思う。
大会の組織委員会などを設ける場合も、そうした人材を入れると非常に風通しのいい組織になると思うが、伝統的なスポーツ競技団体の中には、競技しかやってこなかった方がたくさんいて、コンプライアンス上の問題がいろいろなところで噴出しているのが事実だ。
事件を受け、再発を防止するにはどうすべきか?
A.
まずは人材面についてだが、スポーツマネジメントやスポーツビジネスに長けた人材が徹底的に不足していると思う。
優秀な人材が入ってきてスポーツとビジネスをうまくハンドリングするというようなリテラシーを高めていくような仕組みが必要かなと思う。
大会の組織委員会などを設ける場合も、そうした人材を入れると非常に風通しのいい組織になると思うが、伝統的なスポーツ競技団体の中には、競技しかやってこなかった方がたくさんいて、コンプライアンス上の問題がいろいろなところで噴出しているのが事実だ。
スポーツビジネスに長けた人を組織の中に

Q.
競技団体やJOC=日本オリンピック委員会に求められることは?
A.
この教訓を生かしながらいろいろな改革をしていく、例えば専任代理店をおかずにグループで支援してもらうとか、あるいは、これまで代理店で働いていたような方をどう内部に取り込んでノウハウを伝授してもらうか。
直近では2025年には大阪で万博が、2026年には名古屋市でアジア大会が開かれるので、企業とイベントの関係をよくしていかないと入札の指名停止になってしまうとピタッと動きが止まって大きな問題が起きるのかなと思う。
これまで日本の競技団体というのは“競技をやる”という組織だったので、国際イベントなどがきたときは『全部、お任せ』ということで、競技団体の中に広告代理店の人の机があったり、ややこしい話はすべてアウトソーシングするような風潮があったりしてそれは今も続いている。
今後やるべきはそれをインハウス化して組織の中で、自分たちの人材でできるようにならないと。
それにはかなり経験豊富な民間のスポーツビジネスに長けた人を組織の中に入れていかないとダメだと思う。
競技団体やJOC=日本オリンピック委員会に求められることは?
A.
この教訓を生かしながらいろいろな改革をしていく、例えば専任代理店をおかずにグループで支援してもらうとか、あるいは、これまで代理店で働いていたような方をどう内部に取り込んでノウハウを伝授してもらうか。
直近では2025年には大阪で万博が、2026年には名古屋市でアジア大会が開かれるので、企業とイベントの関係をよくしていかないと入札の指名停止になってしまうとピタッと動きが止まって大きな問題が起きるのかなと思う。
これまで日本の競技団体というのは“競技をやる”という組織だったので、国際イベントなどがきたときは『全部、お任せ』ということで、競技団体の中に広告代理店の人の机があったり、ややこしい話はすべてアウトソーシングするような風潮があったりしてそれは今も続いている。
今後やるべきはそれをインハウス化して組織の中で、自分たちの人材でできるようにならないと。
それにはかなり経験豊富な民間のスポーツビジネスに長けた人を組織の中に入れていかないとダメだと思う。
リテラシー能力高めないとまた同じこと

Q.
スポーツ以外のイベントも同じような構図なのか?
A.
そうだ。マーケティング部門を全部、“外だし”にしていたのがこれまでのビッグイベントだと思う。
実際、業務を受ける広告代理店も非常に大きく、企業側もまたそうした代理店を使うような仕組みがあったので、『魚心あれば水心』とマッチしていたというのが日本のビッグイベントの現状だと思う。
それはいい部分もあるが、今回のように悪いケースもあるので、リテラシー能力を高めていかないとまた同じことが起きると思う。
スポーツ以外のイベントも同じような構図なのか?
A.
そうだ。マーケティング部門を全部、“外だし”にしていたのがこれまでのビッグイベントだと思う。
実際、業務を受ける広告代理店も非常に大きく、企業側もまたそうした代理店を使うような仕組みがあったので、『魚心あれば水心』とマッチしていたというのが日本のビッグイベントの現状だと思う。
それはいい部分もあるが、今回のように悪いケースもあるので、リテラシー能力を高めていかないとまた同じことが起きると思う。
理事会機能 発揮できる組織を

Q.
2030年の札幌での冬のオリンピック・パラリンピックが実現した場合、どのような組織委員会にすべきか?
A.
組織委員会の理事会の役割に尽きると思う。
名前とか有名だからという理由で選ぶんじゃなくて本当に戦う理事会というか、リーダーシップを発揮できる理事会を結成する。
そこには公認会計士や弁護士、あるいは学術経験者のような人材がガバナンスとコンプライアンスをしっかり注視していく組織であるべきだ。
理事会の機能が十分に発揮できるような組織を作ればこういう問題は防げるのではないかと思う。
さらには、しっかりとした広報担当者、スポークスマンを立てて起きていることや情報を逐次、国民に開示していくということが非常に重要だ。
2030年の札幌での冬のオリンピック・パラリンピックが実現した場合、どのような組織委員会にすべきか?
A.
組織委員会の理事会の役割に尽きると思う。
名前とか有名だからという理由で選ぶんじゃなくて本当に戦う理事会というか、リーダーシップを発揮できる理事会を結成する。
そこには公認会計士や弁護士、あるいは学術経験者のような人材がガバナンスとコンプライアンスをしっかり注視していく組織であるべきだ。
理事会の機能が十分に発揮できるような組織を作ればこういう問題は防げるのではないかと思う。
さらには、しっかりとした広報担当者、スポークスマンを立てて起きていることや情報を逐次、国民に開示していくということが非常に重要だ。