東京五輪テスト大会 入札談合 容疑の対象や事件の構図は

東京オリンピック・パラリンピックのテスト大会に関連する業務の入札をめぐる談合事件で、組織委員会の元次長や広告大手「電通」の元幹部ら4人が本大会の運営業務などを含めた総額400億円規模の事業を対象に、不正な受注調整を行っていたとして独占禁止法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。

東京大会をめぐっては、汚職事件に続いて、今度は談合の疑いで組織委員会の当時の幹部が逮捕される事態となり、一連の事件で電通から逮捕者が出るのは初めてです。

逮捕されたのは、
▽東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の大会運営局元次長、森泰夫容疑者(55)や、
▽電通の元幹部で、スポーツ事業局のマネージング・ディレクターなどを務めた逸見晃治容疑者(55)、
いずれもイベント制作会社、
▽セレスポの専務 鎌田義次容疑者(59)と、
▽フジクリエイティブコーポレーションの専務 藤野昌彦容疑者(63)の4人です。

東京地検特捜部などによりますと、4人は東京大会の各競技のテスト大会の計画立案業務の入札や本大会の運営業務など、総額400億円規模の事業を対象に、不正な受注調整を行っていたとして独占禁止法違反の疑いが持たれています。

容疑の対象は

談合が行われた疑いが持たれているのは大会組織委員会が発注したテスト大会や本大会の運営など総額400億円規模の業務です。

電通などが捜索を受けた去年11月の段階では、容疑の対象は、各競技のテスト大会の計画立案の委託先を選ぶために2018年に行われた26件の入札に限られ、落札総額は5億円あまりでした。

その後、落札した電通など9社と1つの共同企業体のすべてが、随意契約を結ぶ形で同じ競技のテスト大会や本大会の運営業務なども受注し、総額は400億円あまりに上ることが分かりました。

さらに、組織委員会が入札の前に作成した説明用の資料に「落札した企業が原則として本大会の業務を受注する」という内容の記載があったということです。

このため特捜部は、受注調整の対象はテスト大会の計画立案にとどまらず、その後、契約が結ばれた400億円規模の業務も含まれると判断し、逮捕に踏み切ったとみられます。

談合事件で、入札に続いて結ばれた随意契約まで容疑の対象に含まれるのは極めて異例で、公正取引委員会で審査長などを務めた東京経済大学の中里浩教授は「過去の談合事件でも初めてのケースとみられ、今後の捜査では、本大会の受注を見据えた認識の共有が各社の間でどこまでできていたかの立証がポイントになる」と話しています。

組織委員会の関与は

今回の事件は、発注側の組織委員会が深く関わっていたとみられるのも特徴の1つです。

逮捕された森元次長を知る複数の関係者は「背景に失敗は許されないというプレッシャーがあったのではないか」と指摘しています。

当時、元次長は、IOC=国際オリンピック委員会からテスト大会の準備をスケジュール通りに進めるよう促されていて、「運営のノウハウがある会社がすべての競技で手を挙げてくれるか懸念があった」などと周囲に話していたということです。

一部のマイナーな競技については入札に参加する企業が出てこない事態を懸念し、希望する別の競技と抱き合わせる形での受注調整も行っていたということです。

電通の関わりは

関係者によりますと、こうした懸念を背景に組織委員会は、入札が行われる前の年の秋ごろには、電通側に入札への参加が見込まれる企業の実績や意向調査を依頼していたということです。

この調査をもとに、競技ごとに入札の参加が見込まれる一覧表が作成され、その内容は頻繁に更新されていたと複数の関係者は証言しています。

入札が始まる直前の2018年の春には、26件の入札のうちおよそ8割について企業から参加の合意が得られ、一覧表ではそれらの企業が青色で塗られていたということです。

一覧表は電通と共有され、森元次長や組織委員会の職員が、業者側に内容を伝えていたとみられます。
入札の多くは一覧表に沿う形で落札され、1社しか参加しないケースも数多く含まれていたということです。

特捜部などは、こうした一覧表が事前の受注調整が行われたことを示す証拠とみて実態解明を進めているとみられます。

認否は

森元次長と電通の担当者らは任意の調べに対し不正を否定していましたが、1月末までに電通の逸見元マネージング・ディレクターらが違法性を認め、その後、森元次長も談合への関与を認めました。

テスト大会の計画立案の業務を受注し、去年11月に捜索を受けた8社の中では、少なくともセレスポ、フジクリエイティブコーポレーションの2社が現在も不正を否定して、いずれの会社も8日に専務が逮捕されるとともに特捜部などの捜索を受けました。

森泰夫 元次長とは

森泰夫 元次長は東京都出身で、大学卒業後、大手鉄道会社に入社し、2004年に日本陸上競技連盟に転職しました。

事業部長などを務め「東京マラソン」や「名古屋ウィメンズマラソン」の立ち上げに携わりました。

そして、2014年に東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の大会運営局次長に就任。

本番に向けて課題を確認する、56に及ぶテスト大会を管轄するなど、準備段階から大会運営の中核を担いました。

また、開閉会式や陸上の会場となった国立競技場のほか、東京から移転されマラソンと競歩が行われた札幌市の競技会場の責任者も務め、札幌への移転の際には、日程やコースについてIOC=国際オリンピック委員会や競技団体などとの調整にあたりました。

逸見晃治 元マネージング・ディレクターとは

逮捕された逸見元マネージング・ディレクターは1991年に電通に入社し、スポーツ事業局の局長や2020東京オリンピックパラリンピック室でパラスポーツ事業部長などを歴任しました。

関係者によりますと、学生時代は水泳選手として活躍し、入社後は、スポーツビジネスの分野を長年担当し、競技団体などに幅広い人脈があったということです。

また電通グループが自社の取り組みを紹介する2019年のレポートでは、グローバルビジネスのキーパーソンとして紹介され、「電通はラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックの成功に貢献することはもちろん、その後のスポーツ産業のさらなる発展も視野に入れています」などとコメントを寄せていました。

背景にノウハウ不足か 複数の関係者が指摘

東京オリンピック・パラリンピックのテスト大会に関連する談合事件が起きた背景について、組織委員会に携わった複数の関係者が大規模なスポーツイベントの運営におけるノウハウ不足をあげました。

東京大会の組織委員会は2014年に設置され、職員の多くは東京都や国、それに民間からの出向者などで構成されました。

組織委員会の元幹部の1人は「都や国からの出向者はスポーツ大会なんて運営したことがない。そうなると日本陸上競技連盟出身であり、大規模イベントの運営経験が豊富な森元次長を頼りっぱなしになる。テスト大会の運営を決める2018年ごろだと組織委員会も成熟しておらず、時間もないなかでノウハウのある業者を頼りたい気持ちもあった」と振り返りました。

また、森元次長と同じ大会運営局に所属した競技会場の元運営責任者は「メジャーではない競技は特に、入札で業者がついてくれるのかという心配があった。仮に業者がついたとしても不慣れなところに任せると見積もりの金額できちんとできるのか、現場を仕切れる人材を集めてもらえるかといった不安が局全体としてあった。今回の事態は、組織委員会の人材不足と専門性のなさが招いたことだと思う」と話しました。

さらに、大会運営局の元関係者の1人は「森元次長に業務が集中し過ぎていた。その上司や法務担当、ほかにも多くの部門が関わっていたのになぜ、止めることが出来なかったのか。規律やガバナンスが機能しておらず、組織自体にひずみやゆがみがあった」と話しています。

元次長を知る人物「絶対に失敗が許されないプレッシャーあった」

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の大会運営局で、森元次長とともに業務にあたった元職員は、元次長の働きぶりについて「会場や競技そのものの運営がスムーズに行くよう、成功に向けて努力されていた。それゆえに、成功が妨げられるようなことは早めに対処しようとしていた。その姿が、組織委員会にいた人たちの一部には独裁者やワンマンに見えていたのかもしれない」と話しました。

組織委員会のなかには、スポーツ大会の運営経験のない職員もいたことから、森元次長は「経験のある職員でカバーするしかない」と漏らすこともあり、大会が近づくにつれ重要なポジションは、自身が信頼する人材を外部から迎え入れてあてることもあったということです。

各競技のテスト大会をめぐる談合に関わった疑いがあることについては、「スポーツの国際大会を行う日本の能力は海外からも評価されていて、元次長には絶対に失敗が許されないというプレッシャーがあったと思う。そうであれば経験のあるところに任せたいと考えても不思議ではないし、業者と契約が成立しない競技会場が出ることを恐れていたと思う。もし、私が同じ立場だったら似たようなことをしていたかもしれない」と大会を成功させなければならないという強い思いが背景にあったのではないかと話しました。

専門家「取り返しのつかないミス」

スポーツビジネスが専門で日本へのオリンピック・パラリンピックの招致にも関わった大阪体育大学の原田宗彦学長は「ビジネス的な感覚や通念が欠落していたのかなと思う。新型コロナウイルスの影響などで変更や突然の調整があった大会であり、いろいろなプレッシャーがかかっていたなかで調整を進めていくところにきしみがきて、事件が起きたのではないか。取り返しのつかないミスだと思うし、今後のイベントやスポーツの大会に大きな影響が出ると懸念している」と話しました。

そして、事件が起きた背景について「スポーツでは電通を頂点に広告代理店、その下にイベント企画業者と、非常に数が限られているし、顔見知りというかよく知った『村社会』といったところがあるので、どうしてもみんなで相談するような談合が起きてしまう。オリンピックみたいに巨額な金が動くイベントはみんなやりたいわけだ。そうすると談合体質みたいなものが生まれてしまうのかなと思う。しかし、税金が使われる大会で仲間内で話し合って決めてしまうのは、一番被害を受けるのは税金を払っている国民だ」と述べました。

また、東京都や国、それに民間からの出向者などで構成された組織委員会について「国際スポーツイベントの経験の多い電通におんぶにだっこみたいなところがあったと思う。誰かは違法性を感じていたと思うが、チェック機能が働かなかったという構造的な問題もあった」と指摘しました。

その上で、今後の再発防止やスポーツイベントのあり方について「組織委員会の理事会の役割が大きい。公認会計士や弁護士、学術経験者のような人材がガバナンスとコンプライアンスをしっかり注視していく組織であるべきだ。また、スポーツマネジメントやスポーツビジネスにたけた人材が徹底的に不足している。スポーツとビジネスをうまくハンドリングするようなリテラシーを高めていく仕組みが必要だ。競技団体などにそうした人材を入れると風通しのいい組織になると思う。2025年には大阪で万博が、その翌年には名古屋市でアジア大会が開かれるので、企業とイベントの関係をよくしていかないといけない」と話していました。

組織委元理事「オリンピックを開催する能力に欠けていたのでは」

オリンピック・パラリンピックの理念や歴史に詳しく、東京大会の組織委員会で理事を務めた中京大学の來田享子教授は、汚職事件に続いて、談合の疑いでも逮捕者が出たことについて「非常に残念でスポーツに関わる日本の社会的信頼を失う出来事になっている。汚職事件も談合事件も関係する当事者はある意味、大会の成功のために倫理的に踏み外してしまったとも言える。このことは日本のスポーツイベントに関わるビジネスが非常に脆弱であるということ、そもそもオリンピックを開催するだけの能力に欠けていたのではないかということを考えざるを得ない」と指摘しました。

その上で、「どうしてチェックすべきところに情報が上がらなかったのか、あるいは第三者、組織外の人がチェックできる仕組みが無かったのかを明らかにし、引き継がないといけない。負の遺産を残しただけで終わるのではなく、そこからの反省や見直しにつなげられるよう関係していた人たちはそれぞれのやり方で責任を取っていくべきだと思う」と話していました。

公正取引委員会の事務総長「大変、問題が大きい事案」

東京大会の組織委員会の元次長らの逮捕について、東京地検特捜部と連携して捜査を進めている公正取引委員会の小林渉事務総長は8日の定例会見で、「東京オリンピック・パラリンピックは、およそ60年ぶりに日本で開催された世界的、国家的な行事だったが、それを利用して談合が行われたとすれば、大変、問題が大きい事案ではないかと思う」と述べました。

また、談合の疑いで広告業界から逮捕者が出る異例の事態となったことについては、「一般論として、これまでほとんど対象としてこなかった業界に対する調査は、警鐘を鳴らすという意味も含め、意義があるのではないかと考えている」と述べました。

各社のコメント

NHKの取材に対して電通は、「このような事態となりましたことを重大かつ厳粛に受け止めております。引き続き、当社は当局の捜査・調査に全面的に協力してまいります。皆さまに多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを心よりおわび申し上げます」などとコメントしています。

今後、原因の究明や再発防止策の策定などを目的に社内調査を行うとしています。

また、セレスポは「このような事態となりましたことを厳粛に受け止め、引き続き、当局の捜査に全面的に協力してまいります。関係者の皆様に多大なるご心配およびご迷惑をおかけしておりますこと、深くおわび申し上げます」などとコメントしています。

フジクリエイティブコーポレーションは、「弊社役員が逮捕されたことは誠に遺憾であり、関係者の皆さまに多大なるご心配およびご迷惑をおかけしておりますことを深くおわび申し上げます。引き続き、当局の調査に全面的に協力して参ります」というコメントを発表しています。

東京都 小池知事「大変遺憾に思う」

東京地検特捜部が独占禁止法違反の疑いで大会組織委員会の元次長を逮捕したことについて、東京都の小池知事は都庁で記者団に対し、「組織委員会の元幹部が逮捕されるという事態は大変遺憾に思う。組織委員会そのものはすでに解散しているので、清算法人に『引き続き全面的に捜査に協力するように』と伝えている」と述べました。

日本陸上競技連盟会長「あってはならないこと」

大会組織委員会の元次長の逮捕を受けて当時の出向元だった日本陸上競技連盟の尾縣貢会長が都内で取材に応じました。

尾縣会長は「あらゆる企業と団体は適切な手続きを取りながら業務を進めていくべきで、とくに公共性の高い東京オリンピック・パラリンピックに関しては慎重に、かつ適切な業務執行を行うべきだ。容疑が事実であればあってはならないことだ」と話しました。

また、森容疑者の人となりについて「陸連にいた頃はすべての事業に前向きに取り組んでいた。上昇志向の強い人だったので努力を続けていたし、出向先でもしっかりと業務を果たしてくれているものだと思っていた。優れた人材でありこれから陸上界だけでなく、スポーツ界に貢献して頂ける方だと思っていたので、本当に残念だ」と話しました。

そして、スポーツ大会の運営と公正さをいかに両立させていくべきか問われると、2025年に東京都で世界選手権の開催を控えていることを踏まえ「運営組織をつくる最初の段階からコンプライアンスとガバナンスの重視を徹底すべきだ。大会運営にあたってもきちんとした体制を組んで適切に手続きを踏んでいく」と話していました。

松野官房長官「不正があったとすれば誠に遺憾」

松野官房長官は、午後の記者会見で「不正があったとすれば誠に遺憾だ。現在、スポーツ庁などが設置したチームで、ガバナンス体制や情報公開のあり方を検討しており、今後の大規模な国際大会の運営の透明化や公正化を図るための指針を策定していく」と述べました。

また、2030年冬のオリンピック・パラリンピックの招致について「指針を参考に今後、札幌市とJOCが検討を行い、札幌市民をはじめ国民の支持を得られるよう、丁寧に説明していくことが大切だ」と述べました。

対策迫られるJOC

東京大会をめぐる汚職や談合事件を受け、JOC=日本オリンピック委員会は、大規模なスポーツ大会の運営や広告代理店との関わり方などについて対策に迫られています。

JOCは、東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会元理事による汚職事件を受けて、去年11月、スポーツ庁などと大規模なスポーツ大会での運営組織のあり方を検討するプロジェクトチームを立ち上げ、ガバナンスの確保などに向けた指針の策定に着手しました。

そのやさきに発覚したのが東京大会のテスト大会に関連する業務の入札をめぐる談合事件です。

JOCの山下泰裕会長は「特定の広告代理店に多くの業務をいわば丸投げしていると受け取られる構図を見直す必要がある」と述べ、改革が必要だという認識を示しました。

各競技団体に広告代理店との関わり方について聞き取りを行ったうえで、大会運営に必要なノウハウの確保などについて対策を検討する方針です。

また、相次ぐ事件を受け、JOCと札幌市が進めている2030年冬のオリンピック・パラリンピック招致についても、国民の不安や不信感の払拭が必要だとして、去年12月から積極的なプロモーション活動をいったん休止するなど影響が広がっています。

G7広島サミットや大阪・関西万博に影響のおそれも

広告業界が談合事件で摘発されるのは極めて異例で、今後、国や自治体などの間で電通など大手広告会社を指名停止にする動きが広がった場合、スポーツだけでなくほかの大規模イベントの運営に影響が出るおそれがあるという指摘も出ています。

このうち、ことし5月に開かれる「G7広島サミット」では、会場の設営と運営を請け負う事業者を決めるための、企画競争による選考が行われる予定で、外務省は、先月6日から今月13日までの期間、参加する業者を受け付けています。

しかし、外務省の調達情報によりますと、広島サミットの運営業務については、指名停止になるような行為で捜査を受けていないことが選考参加の条件とされていて、今回の事件で捜索を受けている電通など各社も対象になるとみられます。

サミットのような大きなイベントの運営にはノウハウが必要とされ、4年前の「G20大阪サミット」では、会場の設営と運営業務の選考に電通1社だけが参加し、およそ117億円で受注しました。

外務省は談合事件の影響について「状況を注視しつつ適切に対応したい」とコメントしています。

また、2025年に開かれる大阪・関西万博でも、今回の談合事件で捜索を受けた企業が多くの事業を受注しています。

大阪・関西万博の実施主体である博覧会協会のホームページによりますと、電通、博報堂、それにADKのグループ会社は、公募型プロポーザル方式で、子会社やほかの会社との共同企業体を含め、計画策定や管理業務などあわせて16の事業を落札しています。

このうち、大阪・関西万博の中核事業とされ、映画監督や学者など8人のプロデューサーがパビリオンを展開する「いのちの輝きプロジェクト」の統括管理業務は、入札が行われた5つの事業すべてを電通と博報堂のグループが受注しています。

落札額は公表されていませんが、5つの事業の委託料の上限額の総額は118億円余りとなっています。

NHKの取材に対し、博覧会協会は、今回の事件の影響について「すでに契約しているものについては基本的に影響が及ばないものとして取り扱っています。万博の準備に支障をきたすことのないよう対応してまいります」などと回答しています。

一方、大阪府の職員からは、「こうした事業を任せることが問題視されて、万博のイメージ低下につながらないか心配だ」という声も聞かれます。

広告業界に詳しい千葉商科大学の松本大吾教授は今回の談合事件が今後の国際的なイベント運営に与える影響について、「大きな国際イベントを手がける経験値は、一朝一夕で身につくものではなく、規模が大きいイベントを大手の広告会社以外がやっていくのはなかなか難しい。大手が受注できない事態になれば、運営自体がうまくいくのか不安な面がある」と指摘しています。