中国気球撃墜 米国防総省が写真公開 残骸を回収する様子撮影

アメリカ本土の上空を飛行したあと撃墜された中国の気球をめぐり、アメリカ国防総省は、アメリカ軍が海上で残骸を回収する様子を撮影した写真を公開しました。

アメリカ軍は今月4日、南部サウスカロライナ州の沖合の上空で、アメリカ本土を横断した中国の気球を戦闘機で撃墜し、海に落下した残骸の回収作業を続けています。

アメリカ国防総省は7日、気球を撃墜した翌日に現地で撮影された写真を公開しました。

写真には、アメリカ軍の兵士が白い大きな布状のものを船の上に引き揚げる様子がうつっていて、国防総省は、アメリカ海軍で爆発物の処理を担当する部隊の作業の様子だとしています。

アメリカ国防総省は、撃墜した中国の気球は偵察を目的とするものだったとしていて、回収した残骸を詳しく分析して情報収集能力などを解明する方針です。

一方、中国側は、気球は中国の民間の無人飛行船だったとして、アメリカ軍が撃墜したことに反発していて、両国の間で主張が対立しています。

アメリカ国防総省は7日、気球を撃墜した直後にオースティン国防長官と中国の魏鳳和国防相の電話会談を要請したものの、中国側に断られたと明らかにしました。

国防総省は、声明で「米中両国の関係を責任を持って管理するため意思疎通の機会を維持することが重要だ」として対話を継続する必要性を強調しました。

中国大使館 アメリカ側に改めて厳正な申し入れ

アメリカ本土の上空を飛行したあと撃墜された中国の気球をめぐり、アメリカにある中国大使館は7日、アメリカ側に改めて厳正な申し入れを行ったと発表しました。

それによりますと、「中国の民間の無人飛行船がアメリカの領空に迷い込んだのは不可抗力による偶発的な事案であり、中国はアメリカ側に何度も通知して、冷静かつ抑制的な方法で適切に処理するよう明確に求めていた。アメリカが武力を使用して撃墜したことに強烈な抗議を表明する」としています。

また、「アメリカには、事態をエスカレートさせたり、複雑化させたりするような行動をとらないよう求める」としたうえで、必要があれば何らかの対抗措置をとる考えを示唆しました。

中国外務省の報道官は7日の記者会見で、アメリカが回収した残骸を中国側に引き渡す計画はないとしていることについて、「アメリカのものではなく中国のものだ。中国政府は引き続き、みずからの正当な権益を断固として守る」と反発しています。