【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(8日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる8日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領 英首相と会談 戦闘機供与を要請

ウクライナのゼレンスキー大統領は、8日、事前の予告なしにイギリスを訪れ、ロンドンの首相官邸でスナク首相と会談しました。

そして議会内のウェストミンスターホールでスナク首相や議員を前に演説し「すべてのウクライナ人は、勇気を持てば想像を絶する困難を乗り越え、最終的に勝利で報われるということを知っている。イギリスは私たちとともに、生涯で最も大きな勝利に向かっている」と強調しました。

その上で、下院議長にウクライナ空軍のヘルメットを贈り「自由を守るための翼、戦闘機が必要だ」と訴えました。

ゼレンスキー大統領はチャールズ国王とも面会するほか、イギリスで訓練を受けているウクライナの兵士たちを激励します。

ゼレンスキー大統領の訪問に合わせ、イギリス政府はウクライナ軍への訓練を空軍と海軍にも拡大し、空軍のパイロットに対してはNATO=北大西洋条約機構の戦闘機を操縦できるようにすると発表しました。

今回の訪問はロシアが今月中旬以降、新たな大規模な攻撃を行うという見方がある中、ウクライナとイギリスの連携を改めてアピールする機会となっています。

ゼレンスキー大統領 訪英「英国民と首相に感謝伝える」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、8日、ロシアによる軍事侵攻が始まって以降、初めてイギリスを訪れ、SNSにスナク首相と歩く写真を掲載するとともに「イギリスは、ウクライナを支援してくれた最初の国のひとつだ。きょう、私はロンドンで、支援してくれたイギリスの国民と、リーダーシップを発揮してくれたスナク首相に直接感謝を伝える」と投稿しました。

トルコで発生した地震受けキーウに献花台

トルコ南部で発生した地震を受けて、ウクライナの首都キーウでは、トルコ大使館の前に犠牲者を追悼するための献花台が設けられ、市民らが花を手向けていました。

トルコ南部のシリア国境近くで6日、起きた地震を受けて、ウクライナの首都キーウにあるトルコ大使館では、半旗が掲げられ、入り口の前には献花台が設けられました。

献花台には、地震で亡くなった犠牲者を追悼するため、多くの花束が手向けられていたほか、「ウクライナから深い追悼の意を表します」と英語で書かれたメッセージも掲げられていました。

ウクライナとトルコは黒海を挟んで向き合う形で位置していて、経済的な結びつきも強く、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻以降は、トルコがウクライナ産農作物の輸出再開に向けた協議の仲介を行うなどしてきました。

ウクライナ国防省 “バフムト周辺などで戦闘激化”

ウクライナ東部ではウクライナ軍とロシア軍の激しい攻防が続いていて、ウクライナ国防省は8日、SNSに「ロシア側は、ドネツク州とルハンシク州の完全掌握を狙い、バフムトなどへの攻撃に主力を置いている」と投稿し、拠点のひとつバフムト周辺などで戦闘が激しくなっていると明らかにしました。

また、ゼレンスキー大統領は7日、あらゆる方面で防衛を強化しているとして「すべての敵のシナリオを想定して取り組んでいる」と述べ徹底抗戦する姿勢を改めて強調しました。

ロシア国防相「紛争は予測不可能なレベルまで拡大する可能性」

ドイツが戦車「レオパルト1」を少なくとも100両供与すると発表するなど、軍事支援を強化する欧米側に対してロシアのショイグ国防相は7日開いた会議で「アメリカと同盟国はできる限り衝突を長引かせようとしている。紛争は予測不可能なレベルまで拡大する可能性がある」と述べけん制しました。

ロシア国防相「バフムトの作戦は順調」

ウクライナ侵攻を続けるロシア軍は、東部ドネツク州のウクライナ側の拠点のひとつ、バフムトの掌握を狙い、戦闘を激化させています。

ロシアのショイグ国防相は7日、国防省で開いた会議で「バフムトでの作戦は順調に進展している」と強調しました。

一方、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は6日「ロシア軍はバフムトの包囲にはまだ成功していない」と分析し、バフムト周辺の幹線道路で双方の激しい攻防が続いていると指摘しています。

また、「戦争研究所」は、7日の分析で、ロシアで7日に行われた会議について「ウクライナでの大規模攻撃を準備する中、ロシア国防省を有能な指導的組織と位置づけることが目的だったとみられる」と指摘し、ロシア軍がウクライナへの新たな攻撃に向けた条件を整えようとしているなどと分析しています。

ドイツ 戦車「レオパルト1」も100両 ウクライナに供与へ

ドイツのピストリウス国防相は7日、ウクライナの首都キーウを訪れ、先に供与を決めたドイツ製戦車「レオパルト2」とは別にかつてドイツ軍などで使われていた戦車「レオパルト1」を少なくとも100両供与すると発表しました。

ピストリウス国防相は、ことしの夏までに20両から25両が供与され、来年の前半までに100両以上になる見通しだとしています。

ドイツメディアによりますと、「レオパルト1」は、1960年代から1980年代にかけて生産されていた戦車です。

現在、ドイツ軍では使われていませんが、ドイツ政府は、頑丈な主力戦車だとして、ウクライナの国防力を強化するためには有益だとしています。

ドイツ政府によりますと、ドイツはデンマーク、オランダとともに、企業の倉庫で保管されている「レオパルト1」を改装するなどしてウクライナへ供与するということです。

ロシア外相 アフリカ諸国歴訪 連携強化で欧米に対抗する狙いか

ロシアのラブロフ外相は7日、アフリカの3か国の歴訪を開始し、最初の訪問国、西アフリカのマリで外相会談を行いました。

マリでは、クーデターで実権を握った軍が行ったイスラム過激派の掃討作戦にロシアの民間軍事会社ワグネルが関与した可能性が指摘され、欧米側がロシアの影響力拡大に懸念を示しています。

会談後の共同会見で、ラブロフ外相は「欧米側は私たちの関係に否定的だ。アフリカに植民地時代のやり方を持ち込もうとするがロシアは対抗していく」と強調しました。

ラブロフ外相は、先月も南アフリカなどアフリカの4か国を訪問したばかりで、ロシアとしては、「グローバルサウス」と呼ばれる新興国や途上国との連携を強化しウクライナに対する軍事支援を強める欧米側に対抗する狙いもあるとみられます。

また、ロシアのショイグ国防相も7日、国防省で開いた会議で欧米について「アメリカと同盟国はできる限り衝突を長引かせようとしている。紛争は予測不可能なレベルまで拡大する可能性がある」と述べけん制しました。