【詳報】機内の様子はどうだった フィリピンから日本への送還

一連の広域強盗事件で指示を出していた疑いがあり、フィリピンの入管施設から日本に送還された藤田聖也容疑者(38)と今村磨人容疑者(38)の2人が警視庁の車両に乗せられ成田空港から渋谷警察署に到着しました。

一方、残る渡邉容疑者と小島容疑者について、フィリピンのレムリア司法相は午後、記者会見を開き「2人を8日送還する。『ルフィ』は日本に帰る」と述べ、8日、2人の身柄を日本側に引き渡す考えを示しました。

フィリピン政府は7日夕方、日本側も参加する関係省庁の会議を開き、送還に向けた詰めの協議を行うことにしています。

7日の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とフィリピンとの時差は1時間 原則日本時間で表記します)

23:20すぎ 藤田容疑者を乗せた警察車両 麻布警察署に到着

藤田聖也容疑者を乗せた警察車両は渋谷警察署を出たあと、午後11時20分すぎ、移送先の麻布警察署に到着しました。

藤田容疑者は銀色のワゴン車の後部座席の真ん中に座り、まっすぐ前を向いて落ち着いた様子でした。

22:38ごろ 今村容疑者を乗せた警察車両 原宿警察署に到着

今村磨人容疑者を乗せた警察車両は渋谷警察署を出たあと、午後10時38分ごろ、移送先の原宿警察署に到着しました。

今村容疑者は銀色のワゴン車の後部座席の真ん中に座り、まっすぐ前を向いていました。

なぜ裁判は打ち切られたのか

NHKが入手した、フィリピンの裁判所の文書によりますと、裁判所は渡邉優樹容疑者と小島智信容疑者の暴力事件の裁判を打ち切った理由について、2人から暴力を受けたと主張する原告の女性たちが、けがの診断書など十分な証拠を示さなかったことをあげています。

この裁判をめぐっては、検察が2月2日、証拠不十分だとして裁判の打ち切りを申し立てたのに対し、原告の女性たちは裁判の継続を求めていました。しかし裁判所は7日、検察側の訴えを認め、裁判を打ち切る決定をしました。

逮捕の2人認否明らかにせず 携帯など約15台取り寄せへ

特殊詐欺に関わった疑いで逮捕された2人について、警視庁は認否を明らかにしていません。

一方、容疑者が所持していた携帯電話などについて、フィリピン当局からおよそ15台、提供を受けることになったとしていて、今後、証拠品として日本に取り寄せる手続きをとることにしています。

17:00ごろ 藤田容疑者と今村容疑者 渋谷警察署に到着

藤田聖也容疑者(38)と今村磨人容疑者(38)の2人が警視庁の車両に乗せられ成田空港から渋谷警察署に到着しました。

2人は別の特殊詐欺事件に関わった疑いで移送中の航空機内で逮捕されていて、警視庁は特殊詐欺について取り調べを進めるとともに、一連の広域強盗事件との関連についても本格的に捜査する方針です。

15:33ごろ 成田空港出発し都内の警察署へ

フィリピンの入管施設から日本に送還された藤田聖也容疑者(38)と今村磨人容疑者(38)の2人が警視庁の車両に乗せられ成田空港を出発しました。

15:15ごろ 2人の容疑者 飛行機から出る

成田空港に到着した飛行機から藤田聖也容疑者と今村磨人容疑者が出ました。

ほかの乗客が全員降りたあと、多くの捜査員が周囲を取り囲む中、藤田容疑者はうつむきながら、その少し後ろを今村容疑者が前をじっと向いて歩いて移動していました。

14:38 逮捕された2人 成田空港に到着

フィリピンの入管施設から日本に送還された藤田聖也容疑者(38)と今村磨人容疑者(38)の2人が成田空港に到着しました。

2人は別の特殊詐欺事件に関わった疑いで移送中の航空機内で逮捕されていて、警視庁は特殊詐欺について取り調べを進めるとともに、一連の広域強盗事件との関連についても本格的に捜査する方針です。

機内食提供も 熱い汁物やつまようじ除かれる

容疑者2人が乗った航空機にはNHKの記者も同乗しました。

記者によりますと2人は、ほかの乗客より先に搭乗し、最も後ろの列の中央の席に今村容疑者が、その1列前の席に藤田容疑者が座り、それぞれ両隣には警視庁の捜査員らが座っていたということです。

出発や離陸時以外は、周囲に緑色のカーテンが引かれ、ほかの乗客から中の様子が見えないようになっていました。カーテンが外されたときに2人の様子を見ると、今村容疑者は周りを見渡していて、藤田容疑者はじっと目を閉じていたということです。
離陸から1時間半ほどがたった日本時間の正午すぎに、航空機が公海上に出たと客室乗務員を通じて連絡があり、その後、2人は逮捕されたとみられます。

機内ではほかの乗客と同じフィリピン風の角煮などの機内食が出され、安全性を考慮して熱い汁物やつまようじは除かれたほか、スプーンやフォークも金属ではなくプラスチックのものが提供されたということです。

その後、着陸前にもカーテンが一時的に外され、今村容疑者が捜査員に「水はもらえないのか」と尋ねたり、記者をにらみつけたりする様子も見られたということです。

広域強盗 指示疑いの日本人2人逮捕 特殊詐欺事件で

一連の広域強盗事件で指示を出していた疑いがあり、フィリピンの入管施設から7日、日本に送還される藤田聖也容疑者(38)と今村磨人容疑者(38)の2人について、警視庁は別の特殊詐欺事件でキャッシュカードを盗んだ窃盗の疑いで、移送中の航空機内で逮捕しました。

日本に移送した後、特殊詐欺について取り調べを進めるとともに、一連の広域強盗事件との関連についても本格的に捜査する方針です。

フィリピン司法省「2人の裁判打ち切り確認 送還の準備できた」

日本がフィリピンに引き渡しを求めている渡邉優樹容疑者と小島智信容疑者のフィリピン国内の別の事件の裁判について、フィリピン司法省の報道官は現地時間の午前11時半前、報道陣に対して「2人の裁判が打ち切られたことを確認した。これで送還の準備はできた」と述べました。

残る2人の弁護士「裁判所の決定 遵守する」

渡邉容疑者と小島容疑者の代理人を務める弁護士のエルジュン・リコ氏は報道陣に対し「裁判所の決定に異議を申し立てるつもりはなく遵守する」と述べた上で、7日午後に入管施設を訪れ、2人と面会する予定だとしています。

残る容疑者2人 裁判打ち切り日本に送還へ

日本がフィリピンに身柄の引き渡しを求めた4人のうち、渡邉優樹容疑者と小島智信容疑者について2人の弁護士は、NHKなどの取材に対し裁判所が、2人が被告となっている別の事件の裁判を打ち切る判断をしたと明らかにしました。

これで、すでに日本に送還された藤田聖也容疑者と今村磨人容疑者に続き法的な条件が整い、近く日本に送還される見通しとなりました。

10:45ごろ 容疑者2人がマニラ国際空港を出発

藤田聖也容疑者と今村磨人容疑者の2人を乗せた飛行機が午前10時45分ごろ、日本に向けてマニラ国際空港を出発しました。
同行している警視庁の捜査員が飛行機の離陸後、機内で、特殊詐欺でキャッシュカードを盗んだ窃盗の疑いで逮捕する見通しです。

10:10すぎ 藤田容疑者と今村容疑者 飛行機に搭乗

マニラ国際空港では、日本時間の午前10時10分すぎに白いマスクをつけた藤田容疑者と今村容疑者の2人が複数の捜査員に連れられて階段をのぼり、飛行機に乗り込む姿が確認されました。このあと日本に向けて出発します。

フィリピン司法相 “日本人4人所持 24台の携帯電話引き渡す”

フィリピンのレムリア司法相は2人が収容施設を出た後記者会見を開き、藤田聖也容疑者と今村磨人容疑者を7日、強制送還すると発表するとともに、日本政府が身柄の引き渡しを求めている日本人4人が所持していたあわせて24台の携帯電話を証拠として引き渡すと明らかにしました。

9:00すぎ 収容施設から空港まで30分ほどで到着

このあと日本側に引き渡され、飛行機で日本へ向かう予定です。

4人の容疑者とは

渡邉優樹容疑者(38)、小島智信容疑者(45)、藤田聖也容疑者(38)、今村磨人容疑者(38)の4人は、フィリピンを拠点に日本に詐欺の電話をかけていたグループのメンバーとされ、警視庁は渡邉容疑者がグループの首謀者とみています。

「ルフィ」「キム」など名乗り実行役に指示か

関係が疑われるものも含めると14都府県に広がっている一連の強盗事件。フィリピンで収容されていた4人は、「ルフィ」や「キム」などと名乗って実行役に指示を出していた疑いがあります。

もともと4人は、フィリピンを拠点に日本に詐欺の電話をかけていたグループで中心的な役割を果たしていたとされていて、警視庁は、グループの首謀者が渡邉容疑者だったとみています。

特殊詐欺グループは、SNS上で「高額報酬」などと書き込んで「闇バイト」を募集し、応募者に対しては秘匿性の高い通信アプリを使って細かく指示を出していたとみられ、広域強盗事件の手口と多くの共通点がありました。

8日、渡邉容疑者らも日本に移送される見通しとなるなか、警視庁は、特殊詐欺について取り調べを進めるとともに、一連の広域強盗事件との関連についても本格的に捜査する方針です。

藤田聖也容疑者とは

藤田聖也容疑者は1984年生まれの38歳です。

関係者によりますと北海道七飯町の小、中学校を卒業し、函館市内の高校に進学しました。小、中学校の同級生の男性は「特に印象に残っていないが、普通の子という感じだったと思う。中学校を卒業して以降のことは全く知らないが、とんでもないことをしたなと驚いています」と話していました。

関係者によると藤田容疑者はその後、札幌に出て、繁華街のススキノで働いていたとみられ、そこで渡邉優樹容疑者(38)らと出会ったとみられています。当時の2人を知る男性は10年以上前に渡邉容疑者から一緒に事業をやらないかと持ちかけられ、札幌市内のマンションに呼ばれたときに藤田容疑者と会ったということです。

藤田容疑者は当時、宮本聖也と名乗っていたということです。2人はマンションの部屋でオンライン上で女性と会話できるサービスを行っていて、関係性については渡邉容疑者のほうが立場が上に感じたといいます。

男性は藤田容疑者について「男気のあるタイプだったが、『どうせ捕まるだけ』とか『何年かしたら出られる』と言うこともあり、あまり逮捕されることに罪悪感はなかったのかもしれない」と話していました。また、北海道にいる藤田容疑者の父親も取材に応じ、本人とは10年以上、連絡を取っていないことを明かしました。

「被害者に申し訳ないという思いか」という問いかけに対しては「はい」と答えました。藤田容疑者に望むことについては「どうしてほしいと言っても、どうしようもない」と語り、償って欲しいが償いきれるようなものではなく腹立たしい思いがあると明かしました。

今村磨人容疑者とは

一連の広域強盗事件で指示を出していた疑いがあり、特殊詐欺に関わったとして警視庁に逮捕された今村磨人容疑者は1984年生まれの38歳。

関係者によりますと少年時代を札幌市で過ごし、小学校からサッカーに打ち込むスポーツ少年でした。小・中学校の後輩の女性は当時の印象について「後輩にも女性にも優しくてかっこいい印象で憧れていた先輩でした。サッカー部に所属していてエースというか目立つ存在でした」と話しました。

一方で、中学校の同級生の女性は当時の様子ついて「不良と呼ばれていた人でした。他校の生徒とけんかしていたという話を聞いたことがあります」と話しています。

その後、札幌の繁華街、ススキノで客引きなどを行っていたとみられ、成人式で会ったという同級生はスーツを着て太った印象だったと語りました。そして今村容疑者は20代前半になった2008年ごろにススキノで女性が接待をする飲食店の経営を始めました。当時を知る男性は今村容疑者の印象について「お酒が好きで、じょう舌でおしゃべりが好きという性格だったように記憶しています。気が利く感じで先輩に対しての言葉使いもしっかりしていました」と証言します。

男性によりますと当初、店は繁盛していたということですが徐々に経営が悪化しカネの工面に頭を悩ませるようになり店は数年で閉店したということです。男性は「売り上げが悪くなってやめようかどうしようかというのは聞いていました。店が潰れたというのは知人から聞きましたが、その後、何をやっていたのかは知らないです」と話していました。

その後、今村容疑者はフィリピンに渡ったとみられ、現地を拠点に日本に詐欺の電話をかけるなど一連の特殊詐欺に関わっていた疑いが強まり、警視庁が逮捕状を取っていました。しかし、フィリピンの入管当局に身柄を拘束されたあとも収容されている入管施設の中でスマートフォンを使って外部と連絡を取り続け、一連の広域強盗事件で指示をしていた疑いが持たれています。

今村容疑者を知る女性 “給料遅延・未払いのケースも”

15年ほど前、札幌の繁華街・ススキノで今村容疑者が経営する接待を伴う飲食店で働いていた女性がNHKの取材に応じました。

今村容疑者は当時、店で働く女性の悩みを聞いたり相談に乗ったりしていたということで、「女の子に冷たくする感じはなかった。辞められたら困るというのもあったから商品として優しくしてくれていたんだと思う」と振り返りました。

一方、働いた分の給料が支払われないなど、給料の不満から店を辞める従業員も多かったということです。女性は「今村容疑者は働いた分の給料をくれず、『給料が払えないからもうちょっと待って』とか、『給料を半月分渡すね』と言って支払いが遅れ、そして1か月分くれないこともあった。しだいに従業員からの電話にも出なくなったと聞いていて、最後は給料をもらえていなかった子も多いと思う」と証言しました。

そして、今村容疑者が逮捕されたことについて「償って欲しいです。本当に反省してほしいとしか思いません」と話していました。