【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(4日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる4日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア国防省 一方的に併合の4州を南部軍管区に

ロシアの国営通信社によりますとロシア国防省は、一方的に併合したウクライナの4つの州について、南部ロストフ州に司令部がある南部軍管区の管轄下に置くことを決めたということです。

これについて、イギリス国防省は4日の分析で「ロシア軍が新たに占領した領土を長期的な戦略態勢に統合しようとする考えが浮き彫りになった」と非難しています。

米の射程の長いロケット弾供与にロシアが反発

ウクライナの東部や南部で激しい戦闘が続くなか、アメリカがウクライナに射程の長いロケット弾を含む追加の軍事支援を発表したことに対して、ロシア側は「アメリカは意図的に紛争をエスカレートさせようとしている」と反発しています。

アメリカのバイデン政権は3日、ウクライナに対しておよそ22億ドル、日本円にして2850億円の追加の軍事支援を行うと発表しました。

この中には「GLSDB」と呼ばれる、射程がおよそ150キロのロケット弾が含まれ、▽これまでアメリカがウクライナに供与してきたロケット弾に比べ2倍近い射程になる上、▽すでに供与されている高機動ロケット砲システム=ハイマースから発射することができます。

これに対して、ワシントンに駐在するロシアのアントノフ大使は「ウクライナに強力な武器を供与することでアメリカは意図的に紛争をエスカレートさせようとしている」と3日、SNSで反発しました。

欧米が相次いでウクライナへの軍事支援を強化する中、ロシア国防省は3日、北西部レニングラード州の演習場で最新鋭の戦車「T90M」を使った射撃訓練を行ったと発表し、欧米をけん制する狙いがあるとみられます。

ゼレンスキー大統領「ドネツク州で厳しいまま」

ウクライナのゼレンスキー大統領は3日夜、新たに公開した動画で「前線の戦況は、特にドネツク州で厳しいままだ。敵の激しい圧力に耐えているすべての兵士に感謝する」と述べ、前線で戦う兵士たちを鼓舞しました。

またアメリカが発表した追加の軍事支援について「バイデン大統領やすべてのアメリカの人々に感謝する」としたうえで「これらの支援が、ウクライナにできるかぎり早く届くようわれわれは協力しなければならない」と訴えました。

米 射程距離150キロのロケット弾供与へ

アメリカのバイデン政権は3日、ウクライナに対しておよそ22億ドル、日本円にして2850億円の追加の軍事支援を行うと発表しました。

この中には、GLSDBと呼ばれる射程がおよそ150キロのロケット弾が含まれ、これまでアメリカがウクライナに供与してきたロケット弾に比べ2倍近い射程になるとされています。

GLSDBは、アメリカがすでにウクライナに供与している高機動ロケット砲システム=ハイマースなどから発射することができるということです。

これによって、ロシアが一方的に併合したウクライナ南部のクリミアなども射程に入るとみられ、国防総省のライダー報道官は3日の記者会見で「ウクライナが長い射程の攻撃能力を手にすることで自国を防衛し、領土を取り戻すことができるようになる」と述べています。

仏伊 共同開発のミサイル ことし春にウクライナへ供与で合意

フランスのルコルニュ国防相とイタリアのクロゼット国防相が3日、電話で会談し、両国が共同で開発した地対空ミサイルシステム「マンバ」をことしの春にウクライナへ供与することで合意しました。

フランス国防省によりますと、この地対空ミサイルシステムは移動式で、弾道ミサイルや航空機、それに無人機などの迎撃が可能で射程はおよそ100キロだということです。

フランス国防省は、この地対空ミサイルシステムについて、今月1日にウクライナへの供与を発表したレーダー「グランド・マスター200」と組み合わせて使うと、より大きな効果を発揮でき、ロシア軍の攻撃に対する迎撃能力の向上に役立つとしています。

EU・ウクライナ首脳会談 支援継続を強調

ロシアによる軍事侵攻から1年になるのを前に、EUのミシェル大統領とフォンデアライエン委員長が3日、侵攻後、初めてそろってウクライナの首都キーウでゼレンスキー大統領と会談しました。
会談のあと開かれた会見でミシェル大統領は「ウクライナの未来はEUとともにある」と述べてウクライナとの連携を強調し、支援を継続していくことを改めて示しました。

またフォンデアライエン委員長は、ロシアによる軍事侵攻から1年となる今月24日までにロシアに対してミサイルや無人機に使用される技術などを対象にした追加の制裁を科す意向を示しました。

ウクライナのEU加盟へ向けたスケジュールは示されず

ウクライナはEUへの加盟を申請し去年、加盟交渉開始の前提となる「加盟候補国」に認められていて、会談ではこれについても話し合われました。
会見でゼレンスキー大統領は「われわれの目標は明確だ。加盟に向けて手続きを加速させていく」と述べました。

これに対しフォンデアライエン委員長は「ウクライナが達成しなければならないゴールがある」と述べ、さらなる改革が必要との認識を示したうえで加盟に向けた具体的なスケジュールは示しませんでした。

ロシア軍 死傷者20万人に迫る 米有力紙

軍事侵攻を続けるロシア軍はウクライナ東部のドンバス地域の掌握をねらい、戦闘を激化させているとみられています。

一方、アメリカの有力紙は当局者の話としてロシア軍の死傷者が20万人に迫っているという見方を示しています。
特に、ドネツク州のバフムトや近郊のソレダールをめぐる戦闘で、ロシア側は訓練が不十分な新兵や刑務所の囚人などを戦闘員として投入し、甚大な損害が出ていると指摘しています。
ただ、プーチン大統領は2日も第2次世界大戦中のナチス・ドイツとの激戦に重ね合わせるかたちで、ウクライナ侵攻を続ける姿勢を強調していて、ニューヨーク・タイムズはロシアの専門家の話として「人命の損失がプーチン大統領の戦争の目的を抑止する可能性は低い」とする見方を伝えています。

“侵攻さらに半年以上続く”68% ロシア世論調査

ロシアの独立系の世論調査機関はロシア国内で行った調査で、ウクライナへの軍事侵攻がさらに半年以上続くと予想する人が68%にのぼり、これまでで最も多くなったと発表しました。

独立系の世論調査機関「レバダセンター」は、毎月下旬に全国の1600人余りを対象に、対面形式で調査を行っていて2日、1月の調査結果を発表しました。

それによりますと、侵攻が「今後どれだけ続くか」という質問に対して、「1年以上」と答えた人が43%、「半年から1年」と答えた人が25%で、合わせて68%がさらに半年以上続くと予想しています。

これは去年11月から4ポイント増えて、最多となっていて、2月で軍事侵攻から1年となるものの長期化は避けられないという見方が、ロシア国内で広がっていることがうかがえます。
また「ウクライナをめぐる情勢に注目しているか」という質問に対して、「まったく注目していない」、もしくは「あまり注目していない」と答えた人は合わせて43%にのぼりました。

これは、予備役の動員が始まった去年9月から10ポイント増えていて、「レバダセンター」はロシア国内での関心が次第に低下していると指摘しています。

一方、「レバダセンター」が今月1日に公表したプーチン大統領の支持率は82%と依然、高い水準が続いています。

「レバダセンター」は、政権から「外国のスパイ」を意味する「外国の代理人」に指定され、圧力を受けながらも、独自の世論調査活動や分析を続けています。