アップルやアマゾンなど米IT大手5社 3か月決算 全社で減益

アップルやアマゾンなどアメリカのIT大手5社の去年12月までの3か月間の決算は、景気減速に対する懸念から企業がIT分野への投資を見直したりインターネット広告の配信を控えたりしたことなどを受けて、全社で減益となりました。

アメリカでは2日、IT大手5社の去年10月から12月までの3か月間の決算が出そろいました。

このうち、
▽アップルの最終的な利益は、13%減って299億9800万ドル、日本円にしておよそ3兆8500億円で、減収減益となりました。
アップルは、新型コロナウイルス対策で中国にある工場の生産が滞ったことから、最新のiPhoneの供給に影響が出たことなどが背景にあると説明しています。

また、
▽アマゾンの最終的な利益も、景気減速に対する懸念からIT分野への投資を見直す企業が増えたことなどから、2億7800万ドル、およそ350億円と98%減少、
▽マイクロソフトも、164億2500万ドル、およそ2兆1100億円と12%減少しました。

このほか、インターネット広告を主な収入源としている
▽旧フェイスブックのメタの最終的な利益も、46億5200万ドル、日本円にしておよそ5900億円と前の年の同じ時期と比べて54%減少したほか、
▽グーグルの持ち株会社のアルファベットも、動画投稿サイト、ユーチューブのネット広告収入が減り、136億2400万ドル、およそ1兆7500億円と33%減りました。

アメリカのIT大手の決算は、5社すべてで減益となり、大規模な人員削減でコストの削減を図ろうという動きが相次いでいます。

アメリカ 1月の人員削減 41%がIT企業

アメリカの再就職支援会社、チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが今月2日に発表した最新の調査によりますと、アメリカ企業全体で先月の人員削減の数は、10万2943人でした。

このうち、IT企業による人員削減は4万1829人と、全体で最も多い41%を占めています。

また、旧フェイスブックのメタやアマゾンが、大規模な人員削減を発表した去年11月のIT業界の人員削減は5万2771人でした。

これはこの会社が調査を開始した1993年以降、月間で最も規模が大きいIT業界のリストラだということです。

去年11月から先月までの3か月間では、人員削減が11万793人にのぼっています。

米IT業界に詳しい専門家「グレート・リセットが起きている」

アメリカのIT業界に詳しいサンノゼ州立大学のアハメド・バナファ教授に、なぜ大規模な人員削減が起きているのか、今後の課題などについて聞きました。

Q.なぜIT業界はこれだけの大規模な人員削減に踏み切ったのか?
A.要因はさまざまあるが、1つ目は新型コロナの感染拡大、2つ目はインフレだ。新型コロナについていえば企業は感染が拡大していたときと同じように、消費者がインターネットを長時間使い、需要が続くだろうと予想していたが、そうではない現実に気付き、余剰人員を削減し始めた。グレート・リセットが起きているのだ。

Q.インフレについては?
A.インフレは企業の経営判断に大きな影響を与える。インフレが個人消費を抑え、企業が広告を減らしていくだろうということにIT大手は気がついた。2023年はインフレがある種の景気後退を招くと言われている。2000年のITバブル崩壊や2008年のリーマンショックのときのように突然、人員削減を迫られないようIT企業は備えなければならない。

Q.IT企業が成長を続けるためにどのような戦略をとるべきか?
A.同じビジネスモデルにずっと頼っていてはいけない。テクノロジーに不変なのは、変わり続けることだけだ。変わることができず、新しいサービスを生み出せなければ、消えていくしかいない。