卒業式や入学式でのマスク着用 推奨しないことを検討 政府

新型コロナ対策としてのマスク着用をめぐり、政府は卒業式や入学式では感染リスクは高くないとして、着用を推奨しないことなどを検討していて、専門家の意見も聞いたうえで、今月中のできるだけ早い時期に結論を得たい考えです。

政府は、新型コロナの感染症法上の位置づけを5月8日に、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行するのを見据え、マスクの着用を個人の判断に委ねることを基本とするよう見直す方針で、与野党双方からは、卒業シーズンを控え、学校現場では先行してルールを緩和するよう求める意見が出ています。

こうした中、政府は卒業式や入学式では式典中に継続的に会話が行われる状況が想定されず、体育館などは換気をしやすいことなどから、感染リスクは高くはないとして、一定の感染対策を講じることを条件に、マスクの着用を推奨しないことを検討しています。

この場合でも、着脱を無理強いすることがないよう求める考えです。

また、先月からイベントの人数制限の措置が緩和されたことも踏まえ、卒業式や入学式でも参加人数を抑える呼びかけをとりやめる案も出ています。

政府は、卒業シーズンが迫っていることを踏まえ、専門家の意見も聞いたうえで、マスク着用に関する社会全体の見直し時期にかかわらず、今月中のできるだけ早い時期に結論を得たい考えです。

加藤厚労相「見直し含め早期に検討 結果示したい」

加藤厚生労働大臣は閣議のあと記者団に対し「屋内でのマスク着用については、個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断によることを基本として検討する。この際、子どもに関しては、発育、発達の妨げにならないよう配慮が必要だという指摘があることに留意するとされている」と述べました。

そのうえで「卒業式のマスクの取り扱いについては、国会などでいろいろと議論してもらっているが、そうした意見を踏まえながら、文部科学省と連携しつつ、政府全体として、見直しも含めて早期に検討し、結果を示していきたい」と述べました。

東邦大学 舘田教授「場面に応じて着脱の判断を」

政府が卒業式や入学式では感染リスクは高くないとして、マスク着用を推奨しないことなどを検討していることについて、新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会メンバーで東邦大学の舘田一博教授は「卒業式で先生の話を静かに聞くような場面では感染リスクは高くないのでマスクをつける必要性は低いかもしれないが、式の後、友達どうしで集まって、大声で騒ぐような場面では感染を防ぐためにはマスクを着けたほうがいいし、持病がある人と同居し、家にウイルスを持ち込みたくない人は日常的に着けたほうがいい。マスクはコロナだけではなくインフルエンザなども含めて、感染対策に効果的なのは間違いないが、一人一人が感染リスクを考えながら場面に応じて着けるか外すかを判断する時期に来ている」と話しています。

そのうえで「マスクの着脱を推奨する具体的な場面についてどう提言していくか、専門家の間で議論を進めている。これまでは、マスク着用を原則にどの場面であれば外せるのか議論されてきたが、今後はマスクを着けないことを基本としながら、どの場面で着用すべきかと考え方を変えていく必要もある」と話しています。