プーチン大統領 ボルゴグラードで戦勝80年記念式典出席 演説へ

ロシアのプーチン大統領は2日、第2次世界大戦で旧ソビエト軍がナチス・ドイツ軍と激戦を交わした南部の都市を訪れ、戦勝80年を記念する式典に出席する予定です。プーチン大統領がウクライナ侵攻をめぐって、どのような演説を行うかに関心が集まっています。

プーチン大統領が訪れるボルゴグラードは、かつてスターリングラードと呼ばれた南部の要衝で、第2次世界大戦中に旧ソビエト軍がナチス・ドイツ軍との激しい攻防戦の末に勝利しました。

2日で戦勝から80年になるのにあわせて現地で式典が開かれ、このうち軍事パレードでは当時の旧ソビエト軍の主力戦車「T34」やウクライナ侵攻で使われている戦車などが披露されました。

また、プーチン大統領は現地を訪れ、戦没者を追悼しました。

このあとコンサートの会場で演説を行う予定です。

ウクライナ侵攻を続けるプーチン政権は、アメリカやドイツなどが主力戦車の供与を相次いで表明するなど、ウクライナへの軍事支援を一層強めていることに激しく反発するとともに、欧米側からロシアを守るための戦いになっていると強調し、国民に結束を求めています。

プーチン大統領が第2次世界大戦の祖国防衛の象徴ともなっている歴史的な場所で、ウクライナ侵攻をめぐって、どのような演説を行うかに関心が集まっています。

ロシア国営メディア ニュースや特集 次々と

ロシアの国営メディアは、2日がナチス・ドイツを退けてから80年の節目の日にあたるとして、「独ソ戦」での勝利に関するニュースや特集を次々と報じています。

このうち国営テレビは、ボルドグラードの映像に第2次世界大戦当時の町の名前である「スターリングラード」という字幕をつけ、激しい攻防戦が行われた歴史を伝えています。

また国営通信社は、ボルゴグラードで記念の式典が行われ、プーチン大統領の出席が予定されていることや、スターリングラード攻防戦の始まりから終わりまでを解説する記事などを配信し、ロシアは「独ソ戦」の戦勝国だと強調しています。

スターリングラード攻防戦とは

第2次世界大戦中の1941年から45年にかけての4年間、ロシアを中心とする旧ソビエトとナチス・ドイツは各地で戦闘を繰り広げ、「独ソ戦」と呼ばれています。

軍事パレードが行われたボルゴグラードは、第2次世界大戦当時、「スターリンの町」を意味するスターリングラードと呼ばれ、数か月にわたるしれつな攻防戦のすえ、1943年の2月2日、ソビエト軍がナチス・ドイツ軍を退けました。

その後、ソビエト軍は反転攻勢に転じ、1945年にベルリンを陥落させ、「スターリングラード攻防戦」が「独ソ戦」の分岐点になったと言われています。

2日は「スターリングラード攻防戦」でナチス・ドイツ軍の最後の部隊が降伏してから80年の節目にあたります。

軍事パレードで登場する戦車「T34」とは

軍事パレードで登場する戦車「T34」は、1930年代後半に開発され、第2次世界大戦で旧ソビエト軍の主力を担いました。

長さがおよそ6メートルと、現在の戦車に比べてひと回り小さいものの、火力や機動力にすぐれ、第2次世界大戦では、ナチス・ドイツとの戦いを勝利に導いた象徴的な兵器として、ロシアで評価されています。

スターリングラード攻防戦でも、多くの「T-34」が投入されました。

「T-34」は戦後、社会主義諸国で広く導入され、1950年代まで東ヨーロッパのポーランドなどでも生産されていました。

イギリスのシンクタンク、IISS=国際戦略研究所によりますと、今でも東南アジアのベトナムや西アフリカのギニアなどで陸軍に配備されているほか、北朝鮮も保有しているとみられるということです。